VMwareは、GPUを仮想化することで人工知能や機械学習ベースのワークロードをサポートする「vSphere Bitfusion」機能を発表した。2020年7月末までに提供開始する。
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VMwareは2020年6月3日(米国時間)、GPUを仮想化することで人工知能(AI)/機械学習(ML)ベースのワークロードを助ける「vSphere Bitfusion」機能を発表した。2020年7月末までに提供開始するとしている。
vSphere Bitfusionは、VMwareが2019年に買収したBitfusionのソフトウェアプラットフォームを仮想化プラットフォーム「vSphere 7」に統合したもの。「Enterprise Plus」エディションの一部として提供される。
VMwareは、「AI/MLアプリケーションを仮想化環境にデプロイする顧客が急速に増加している。vSphere Bitfusionを利用すれば、ハードウェアアクセラレーターをこれまで以上に効率的に活用できる。今回、最適なプラットフォームをこうした顧客に提供できる」と述べている。トレーニングや推論に特化したML環境で効果的に機能する。
vSphere Bitfusionは、ハードウェアアクセラレーターリソースのプールを作成することで、AI/MLワークロードの弾力的なインフラを実現するもの。vSphereはGPUに対応したオンデマンドで使用できるAI/ML用クラウドプールを構築できるようになった。ネットワーク全体にわたってGPUを効率的に利用でき、GPUの使用率も向上する。
VMwareは、「これは、vSphereが十数年前にCPUの共有を可能にした際と同様の方法で、vSphere BitfusionがGPUの共有を可能にするということだ。GPUの配置に偏りがあったとしても、GPUリソースの偏りはなくなる。エンドユーザーとサービスプロバイダーは、大きな恩恵を受けるだろう。例えば、サービスプロバイダーは、サービスとしてGPU(GPU as a Service)を提供できる」と述べている。
vSphere BitfusionクライアントはvSphere 6.7以降の環境に対応しており、vSphere Bitfusionサーバの利用にはvSphere 7が必要になる。vSphere Bitfusion用の「vCenter Server」プラグインが用意されており、vCenter UIの中でvSphere Bitfusionの管理や構成を実行できる。
vSphere Bitfusionは、クライアントとサーバの両コンポーネントともLinuxで動作する。クライアント側は「Red Hat Enterprise Linux」「CentOS」「Ubuntu」に対応する。サーバ側は、vSphere 7でVMwareの「Photon OS」に構築された仮想アプライアンスとして動作する。
vSphere Bitfusionは、MLソフトウェアの「TensorFlow」や「PyTorch」を使用するAI/MLアプリケーション向けであり、グラフィックスやレンダリングには適用されない。
vSphere BitfusionはCUDAアプリケーションであり、プログラマーがGPUアクセラレーションにアクセスできるようにするために、NVIDIAのCUDA APIを使用する。Bitfusion技術は、CUDAコールをインターセプトすることでGPUを使用する。仮想デスクトップインフラ(VDI)や画面転送には対応していない。
なお、vSphere Bitfusionを効率的に利用するには、10Gbps以上のネットワーク環境に加え、クライアントとGPUサーバの間のレイテンシを50μs以下に抑える必要がある。
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