仕事をしていると、相手に行動の改善を求める必要がある場合があります。
例えば同僚がスケジュール通りに報告書を出してくれないとき。「報告書の約束は昨日までだったよね? いつできるの? 約束までにちゃんと出さないとダメだよ」と責め立てるように伝えてしまいがちです。この場合、「なぜ、あなたは〜」のように、主語が「あなた」になっています。
そこで、主語を「私」にすることを意識します。「報告書ですが、今日の15時までに出してもらえると(私は)うれしいです」のように。
主語を「私」に変えることで、相手を責めるのではなく、自分の感情を伝える感じになって、柔らかい印象になります。
相手に行動の改善を求める必要があるときは、「命令」を「疑問文」にしてみましょう。
例えば、先ほどの報告書。「今日の15時までに出しなさい」という命令は、キツい印象です。これを疑問文にして、「報告書ですが、今日の15時までに出せますか?」や、「報告書ですが、今日の何時ごろなら出せますか?」とすると、「命令」が軽い「お願い」や「確認」のニュアンスになります。
繰り返しになりますが、テキストコミュニケーションは対面よりも非言語情報量が少なく、解釈を相手にゆだねる分誤解が生じやすい、という特徴があります。何かしらの誤解が生まれ始めているとき、テキストでやりとりを続けると、ますます誤解が広がり、感情的になってしまいがちです。
そのような場合は、数分でも話をした方が、感情の糸をほぐせます。少しでも「伝わっていないな」と思ったら、「Webミーティングしませんか?」などと提案して直接話しましょう。
在宅勤務、テレワークにおけるオンラインコミュニケーションのポイントを見てきました。
在宅勤務やテレワークによって、私たちは強制的に、対面によるコミュニケーションが遮断されました。相手の存在を五感で感じられない、人間関係が分断されたような状態になったのです。
逆に、このような制限を受けたことによって、今までのコミュニケーションが曖昧だったことに気付くと同時に、改めて、コミュニケーションの大切さを知る機会にもなりました。
それならば、これを単なる「非常事態だから」とせずに、今まで以上にコミュニケーションを良好にし、働きやすい会社にするきっかけにしてみるのは、いかがでしょうか。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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