Microsoftがオンライン会議ツールの「Microsoft Teams」を"メタバース対応"させる「Mesh for Teams」を発表した。 3Dアバターと仮想空間を使い、 現実のミーティングや共同作業を再現する。
Microsoftは2021年11月2日(米国時間)、同社カンファレンスMicrosoft Igniteで、「Mesh for Teams」を発表した。これは オンラインミーティングツールの「Microsoft Teams」を"メタバース対応"させるもので、3Dアバターと仮想空間を使い、 現実のミーティングや共同作業を再現する。プレビュー版を2022年前半に予定している。
Microsoftはコンシューマー分野、エンタープライズ分野を問わず、あらゆるレベルでメタバース化を進めている。Mesh for Teamsもその一環だと、会長兼最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラ氏は説明した。
「これがどれだけ画期的なことなのか。いくら強調してもし過ぎることはない。もう工場のフロアをカメラ越しに見るのでなく、フロア自体にいることができる。同僚たちとビデオ会議をするのではなく、同じ部屋に彼らと一緒にいることができる。ゲームをプレイするのでなく、ゲームの中にいることができる」
Microsoft Teamsでは、「Togetherモード」や「Presenterモード」で、現実と仮想空間の連携が試みられてきた。Togetherモードは、大規模なビデオ会議やオンラインセミナーで、参加者の画像を、会議場などを模した背景に割り付け、あたかも一緒であるかのように見せるモード。Presenterモードは、プレゼンテーションスライドの前に講演者の映像を重ね合わせられる機能。
これらは2Dで現実と仮想空間を結び付けるものだったが、メタバース基盤の「Microsoft Mesh」と組み合わせることにより、3Dで没入感に富んだコミュニケーションやコラボレーションを実現できるようになるという。
ビデオ会議で顔を見せたくない時、カメラをオフにすると、通常は名前や静止画が表示されるだけ。せっかく出席しているのに、存在感が薄れがちだ。他の参加者から、会議に集中していないと受け止められることもある。
Mesh for Teamsでは、まず日常的なビデオ会議で、自分の分身として3Dアバターが使える。このアバターは、自分が話すとそれに合わせて口を動かす。また、拍手などのリアクションをジェスチャーで表現する。今後のリリースでは、出席者の表情をカメラでトラッキングし、アバターに反映させる機能も投入する計画だという。アバターを使う、使わないは出席者でそろえる必要がない。
3Dアバターで自分を表現することで、自分自身にとっても、他の参加者にとっても会議が自然なものになるという。
さらに進んだ機能として、会議室やオフィスを仮想空間として設定できる。HoloLensなどのVRヘッドセットを身につけた参加者は、この仮想空間内を自由に動き回れる(アバターは上半身のみ)。そして説明会に参加したり、 近くにいる人と雑談したりできる。
ITコンサルティング企業のAccentureでは、 年間約10万人に達する新入社員のオンボーディング(研修、定着化) に、Mesh for Teamsを活用していることを紹介した。コロナ禍で対面のミーティングやコミュニケーションができず、オンボーディングは難しくなっていた。だが、同ツールを使うことで、 既存社員とのネットワーキングが促進され、企業文化の理解も進んだという。
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