ノークリサーチは中堅、中小企業が考えるローコード/ノーコード開発ツールの利点や課題に関する調査結果を発表した。それによると年商が大きい企業ほど「ユーザーの都合に合わせて修正できること」をメリットと考えていることが分かった。
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ノークリサーチは2022年12月19日、ローコード/ノーコード開発ツールの活用について企業が考える利点や課題に関する調査の結果を発表した。なお調査では年商5億円未満の企業を「小規模企業」、年商5億〜50億円の企業を「中小企業」、年商50億〜500億円の企業を「中堅企業」と定義している。
ローコード/ノーコード開発ツールの利点について聞くと、「ユーザーがアプリケーションを作成できる」という回答は(ローコード/ノーコード開発ツールを)導入済み企業で43.2%、導入予定の企業では23.1%だった。「ユーザーの要求仕様を自由に反映できる」については、導入済み企業が40.3%、導入予定企業が35.2%。「ユーザーの都合に合わせて改変できる」は、導入済み企業の30.9%に対して、導入予定企業が37.5%だった。
「ユーザーの要求仕様を自由に反映できる」「ユーザーの都合に合わせて改変できる」は、導入済み企業と導入予定企業のどちらも3割以上の回答率があることからノークリサーチは「アプリケーションを自ら作成できるという点だけでなく、運用後も自社の要件を反映しやすいという点をユーザー企業は評価している」と分析している。
ローコード/ノーコード開発ツールの利点をユーザー企業の年商規模別に分析すると、中小、中堅企業は「ユーザーの要求仕様を自由に反映できる」「ユーザーの都合に合わせて改変できる」を利点と捉える企業が多かったのに対し、小規模企業は「ユーザーがアプリケーションを作成できる」ことを利点と考えていた。
この点についてノークリサーチは、「IT企業が小規模企業向けの簡易なアプリケーション開発で十分な収益を得ることは容易でないため、ユーザー企業が自作できる手段を提供することはユーザー企業とIT企業の双方にとって有効な解決策の一つとなり得る。ただし、業務全体やデータの整合性を無視してアプリケーションが乱立する状況は避けなければならない。小規模企業層にユーザーがアプリケーションを作成できることの利点を訴求する際には、旧来のエンドユーザーコンピューティングで生じた弊害が再発しないように注意を払うことが大切だ」と指摘している。
また、ローコード/ノーコード開発ツールを活用する際の課題については「複雑な処理はプログラムが必要になる」と回答した企業の割合が26.7%で最も高かった。「超高速開発ツール」「PaaSとして提供されているもの」「iPaaS/データ連携ツール」といった、ローコード/ノーコード開発ツールのジャンル別に見ると、超高速開発ツールはツール全体と同じ傾向だったのに対して、PaaSとして提供されているものとiPaaS/データ連携ツールでは「開発ツール固有のスキルが必要になる」と回答した企業の割合が相対的に高かった。ノークリサーチはこうした背景から「今後はIT企業が利用するツールとユーザー企業が利用するツールを使い分けて提案することも重要になる」と予想している。
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