編集鈴木 キャリアについて教えてください。日本と比べて米国は転職を重ねることが多いと思うのですが、アンドリューさんは長い間同じ会社にいらっしゃいます。アンドリューさんにとって、Clarisはどういった場所なのでしょうか。
アンドリューさん 私も最初はここでこんなに長く仕事をするとは思っていませんでした。今ではClarisは自分のデベロッパーとしてのアイデンティティーの一部ですし、デベロッパーコミュニティーの一員でもあります。将来、仕事を引退することになったとしても、デベロッパーコミュニティーにはいつでも参加しているのではないでしょうか。
テクノロジーの進化は本当に速いのですが、Clarisやコミュニティーでは常に新しいことを学んでいくことができるからです。加えて、メンターやチームメイトなど、素晴らしい仲間たちと一緒に好きなことができる。これは本当に幸福なことだと思っています。
編集鈴木 引退を考えることはありますか?
アンドリューさん そうですね、引退を考えてもよい年齢になってきたとは思っています。そのことを友人と話すと「(引退して)好きなことをやれば、それが生きる目的になるだろう」と。ただ私の場合は、この仕事やコミュニティーにいることが生きる目的なので、単純に仕事を辞めて何か新しいことをやるということは考えにくいです。
もちろん仕事以外のことで情熱を持ってやれることはたくさんありますよ。写真が今でも好きですし、音楽も好きですし。ですから引退については考えてはいませんが、まあ、いつかはするかもしれません(笑)。
特に写真を撮ることは、幼いころに祖父がカメラを買ってくれたときからずっと大好きで続けてきました。ニコンのレンズはたくさん持っていますし、アートフォトを撮影するのも好きです。私の友人の多くはキヤノンを愛用していますが、祖父はニコンのファンでしたからね。
アンドリューさんは「Claris一筋34年」だ。
そう書けば、あたかも変化を嫌う職人気質を連想するかもしれない。しかし、Clarisは市場に合わせるように自らを変化させている。そもそも、長年の経験と技術を持つ老舗や匠(たくみ)こそ、変化を繰り返して成長しているものだ。
以前、「ジョブ型雇用」は英語にならないという話をした。世界中のどこでも、雇用はジョブ型でしかあり得ないからだ。今までそのようにしなくとも日本企業が成長できたのは、1つは市場が右肩上がりだったから、もう1つは国際競争が激しくなかったから、と私は考えている。社内でコストと時間をかけて社員のスキルをトレーニングする余裕がなくなってきたことが「ジョブ型雇用」という要求を産んだのだろう。
アンドリューさんは30年以上、自らを変化させ、スキルを加え、常に進化してきた。そのような人材をClarisが手放すはずはない。
リクルートの創業者、江副浩正氏は「自ら変化を創り出し、変化によって自らを変えよ」と言った。変化はどう起こるかは分からないが、確実なことが2つある。必ず変化は起こる。そしてそれが予測できないなら、自分から変化を創り出すのが手っ取り早い。
現在訪れているAIの時代に、Clarisはどのように自らを変化させていくのだろうか。
アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD) 訪問教授 インタビュアー、作家、翻訳家
コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時から通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学の学部長、教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行う他、作家、翻訳家としても活躍中。
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