なぜ「疲れた」と言ってはいけないのか〜山崎元流 疲れ対策三選:経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」(15)(3/3 ページ)
エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、ビジネス的な観点が必要だ。ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんがエンジニアに必要な考え方をアドバイスする本連載。今回は「疲れ」がもたらすマイナス効果と、オリジナルの疲れ対策法を解説する。
いよいよ疲れたときは、15分から30分ぐらい仮眠を取ると応急処置になる。椅子に座ったままで、目を閉じて休む。デスマーチ真っただ中の開発現場でも、それぐらいは許してほしいものだ。「眠り」の状態にあるかどうかは気にしなくていい。目を閉じるだけでも、刺激が減って脳が休まる。30分休んでも、次の2時間の生産性が3割上がれば十分モトは取れる。
自分の「リズム」を把握して、仕事のペースに緩急をつける
「寝た方がいいことは分かっている。しかし締め切りは今日なのだ」という場合にはどうすればよいか。
誰しも、調子の上がる時間帯が一日のうち2〜3時間くらいあるはずだ。パフォーマンスが問われる重要な仕事をその時間に充てて、それ以外の時間は雑務をこなすなど「流して」仕事をして、疲れの回復を期するのだ。
ビジネス本を読むと、朝から午前中に集中力と処理力が高い人が多いようだが、筆者は若いころから夜型なので、午前中が苦手だ。エンジニアにもこのタイプが多いのではないだろうか。
午前中の筆者は、午後や深夜の半分以下のパフォーマンスしか出せない。その日の睡眠状況によって前後するが、仕事の能率のピークタイムは、だいたい午後3時から6時の間ぐらいだ。だから、重要な仕事をこの時間に集中的にこなせるように一日のスケジュールを組む。こうした自分のリズムを利用すると、いくらか疲れ問題を解決できる。
あえて締め切りを設定して自分を追い込み、仕事を長引かせないようにする
これと併用すると有効な手段は、小さな「締め切り」の設定だ。例えば、6時までに仕事を終えたいと決めたら、6時半に出掛けなければ間に合わない予定を入れる。試験中に頭が働くように、人間にとって締め切りの効果は絶大だ。
締め切りを作るのはリスクが大きいのではないかと思うかもしれないが、案外そうでもない。先に締め切りがあると思うと、ピークに設定した時間よりも前の時間から、何をどのようにしたらいいかを半ば無意識に考え始めて準備が進んでいることが多い。疲れをこれ以上増やさないために、仕事を長引かせないようにする、というわけだ。
いずれにせよ、疲れていいことはないし、他人に疲れを伝染するのは迷惑だ。「疲れた」はオフィスで禁句にしたいものだ。
- 賃貸vs.持ち家、どっちがお得?――住居選びも戦略だ
- 選手でいるべきか、コーチになるべきか――ミドルエンジニアのキャリア選択
- 得するランチ、損するランチ――ランチタイムの活用方法5選
- ハイスペックPCを買うべきか、我慢すべきか――今から考えておきたい老後の資産
- なぜ、エンジニアにも「マーケット感覚」が必要なのか
- エンジニアに高い学歴は必要か
- エンジニアの職場に必要なのは「課長」か「リーダー」か
- なぜ「疲れた」と言ってはいけないのか〜山崎元流 疲れ対策三選
- 経済学で考える、EXILEよりAKB48を選んだ場合の損失コスト
- 無駄無駄無駄! 効率化するために知っておきたい会議の3つの目的と4つの進め方
- 新入社員への適切な接し方
- 嫌いな上司の対処法
- エンジニアに必要な国語の技術
- エンジニアも知っておきたい出世のコツ四箇条
- 営業マンと“そこそこ”うまくやっていくための3ステップ
- ノーベル賞受賞で考える、技術の成果は誰のもの?
- エンジニアが28歳までにキャリアプランを立てるべき理由
- あなたの「顧客」は誰だ?
- 「締切厳守」と「割り切り」の気になる関係
- 面接という「商談」を成功させるためには
- エンジニアが生き残るために、頼りにすべきものとは
- なぜ理系は文系に使われるのだろうか?
筆者プロフィール
山崎 元
経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。
2014年4月より、株式会社VSNのエンジニア採用Webサイトで『経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」』を連載中。
※この連載はWebサイト『経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」』を、筆者、およびサイト運営会社の許可の下、転載するものです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 嫌いな上司の対処法
エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、ビジネス的な観点が必要だ。ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんがエンジニアに必要な考え方をアドバイスする本連載。今回は嫌いな上司がいるときのチェックポイントとケース別対処法を伝授する - 無駄無駄無駄! 効率化するために知っておきたい会議の3つの目的と4つの進め方
エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、ビジネス的な観点が必要だ。ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんがエンジニアに必要な考え方をアドバイスする本連載。今回は会議の「無駄」を省く必殺技を伝授する - なぜ理系は文系に使われるのだろうか?
エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、技術を経済活動につなげるためのビジネス的な観点が必要だ。では、そのために何を考え、何を行えばよいのだろうか。本連載では、ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんが、あえて非エンジニアの立場から、エンジニアに足りないものをアドバイスする