注目のDockerサポートは? Nano Serverは?――Windows Server 2016 Technical Preview 3登場! 新機能ピックアップ:vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(25)(3/3 ページ)
2015年8月20日(日本時間)、Windows Server 2016の最新プレビューリリース「Windows Server 2016 Technical Preview 3」が公開されました。本連載でこれまでに取り上げた内容からの変更点や、新たに追加された機能をまとめて紹介します。新機能については次回以降で詳しく解説します。
[TP3 変更点]RDSは第2世代仮想マシンと個人用セッションデスクトップをサポート
リモートデスクトップサービス(Remote Desktop Services:RDS)関連では、TP2までに「リモートデスクトッププロトコル(RDP)10.0」、RemoteFX仮想GPUの機能強化(4K解像度やVRAMの調整、OpenGLおよびOpenCL API対応)、MultiPoint Serviceといった新機能が提供されました。
Windows Server 2016 TP3では、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)とも呼ばれる仮想マシンベースのデスクトップ展開で、第2世代仮想マシンのテンプレートが新たにサポートされます。また、セッションベースのデスクトップ展開では、従来からのマルチユーザーセッション用のコレクションに加えて、新たに「個人用セッションデスクトップ(Personal Session Desktops)」がサポートされます。
仮想マシンベースのデスクトップ展開ではこれまで、WindowsデスクトップOSのEnterpriseエディションの一般化(Sysprep)済みインストールを含む第1世代仮想マシンをテンプレートとして、仮想デスクトップ用の仮想マシンを自動作成および再作成することができました。この機能に、新たに第2世代仮想マシンのサポートが追加されます(画面10)。
個人用セッションデスクトップ(Personal Session Desktops)は、Windows Server 2016 TP3を実行するリモートデスクトップ(RD)セッションホストをシングルユーザーで利用するシナリオになります。
現在、DaaS(Desktop as a Service)をクラウドで提供しようとする場合、マルチテナント環境ではWindowsデスクトップOSを実行できないというライセンス上の制限があります。そのため、主要なWindowsベースのDaaS(Azure RemoteAppやAmazon WorkSpaces)は、WindowsデスクトップOSの代わりにWindows Server OSを使用しています。個人用セッションデスクトップは、この利用シナリオをリモートデスクトップサービスの管理機能に統合するものです。
Windows Server 2016 TP3ではWindows PowerShellでのみ、この種類のコレクションを作成することができ、ユーザーの自動割り当てまたは手動割り当て、管理者権限の付与など、VDIの個人用仮想デスクトップと同様の機能を提供します。この新しいコレクションは、現状、サーバーマネージャーに統合されたリモートデスクトップサービスの管理コンソールには表示されません(画面11)。今後のプレビューまたは正式リリースでは、GUIによるコレクションの作成と管理が可能になる予定です。
画面11 新しいコレクションの種類である個人用セッションデスクトップは、「New-RDSessionCollection」コマンドレットの「-PersonalUnmanaged」パラメーターで作成する。ユーザーへの管理者権限の付与も自動化できる
System Center 2016 Technical Preview 3も提供中
Windows Server 2016 TP3の公開と同時に、「System Center 2016 Technical Preview 3」(以下、System Center 2016 TP3)もリリースされました。
System Center 2016 TP3では、主要なコンポーネントでWindows Server 2016の新機能への対応やWindows 10への対応がさらに進んでいます。例えば、「Virtual Machine Manager」は、Windows Server 2016の新しい役割である「Network Controller」へ初めて対応しました(画面12)。
画面12 System Center 2016 Technical Preview 3のVirtual Machine Managerは、Windows Server 2016の「Network Controller」に対応
Technical Preview 3を入手するには
Windows Server 2016 TP3およびSystem Center 2016 TP3は、以下のWebサイトから無料でダウンロードできます。Windows Server 2016 TP3の評価期限は、「2016年7月15日」まで。System Center 2016 TP3、Configuration ManagerおよびEndpoint Protectionが60日間、それ以外のコンポーネントが180日間となっています。
また、Microsoft Azureでは、Windows Server 2016 TP3ベースのAzure仮想マシンのテンプレートが用意されており、簡単に評価することができるようになっています。
- Windows Server 2016 Technical Preview 3(マイクロソフト TechNet Evaluation Center)
- System Center Technical Preview 3(全てのコンポーネント)(マイクロソフト TechNet Evaluation Center)
- System Center Configuration Manager and Endpoint Protection Technical Preview 3[英語](マイクロソフト TechNet Evaluation Center)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その6)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その5)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その4)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その3)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その2)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その1)
- ついに完成、Windows Server 2016 評価版をインストールしてみた
- Windows Server 2016の「サーバー管理ツール」に追加された4つの新機能
- 小規模ビジネス専用エディション、Windows Server 2016 Essentialsの機能と役割
- 管理者権限をコントロールする2つのアプローチ――必要最低限の管理(JEA)と特権アクセス管理(PAM)
- Hyper-Vホストクラスタの新機能(2)──仮想マシンの開始順序
- 速報! Windows Server 2016の正式リリースは2016年9月末に
- Hyper-Vホストクラスタの新機能──仮想マシンのノードフェアネス
- Dockerとの相互運用性が向上したWindowsコンテナ[後編]
- Dockerとの相互運用性が向上したWindowsコンテナ[前編]
- いつでも、どこからでも使える、Windows Server 2016向けリモート管理ツール「サーバー管理ツール」
- Windows Server 2016 TP5の「サーバーの役割と機能」、TP4からの変更点まとめ
- Windows Server 2016 Technical Preview 5の評価方法と注意点
- Hyper-V上のLinux仮想マシンで新たにサポートされる機能
- 実録:Windows ServerコンテナでSQL Serverを動かしてみた
- Windows Server 2016で大きく変わるライセンスモデル
- Windows 10の「ワークプレース参加」はどうなる?[後編]
- Windows 10の「ワークプレース参加」はどうなる?[前編]
- 意外と賢くなったWindows Server 2016のWindows Defender
- パブリッククラウドでDaaSを可能にするWindows Server 2016の新機能
- 実運用への道に近づいた、新しい「Nano Server」[後編]
- 実運用への道に近づいた、新しい「Nano Server」[前編]
- 明らかになった「Hyper-Vコンテナー」の正体(2)――コンテナーホストのセットアップ方法
- 明らかになった「Hyper-Vコンテナー」の正体(1)――その仕組みと管理方法
- ついに日本語版が登場、Windows Server 2016テクニカルプレビューこれまでのまとめ
- 仮想マシンのための「仮想TPM」――仮想化ベースのセキュリティ(その2)
- 物理マシンとユーザーのための「デバイスガード」と「資格情報ガード」――仮想化ベースのセキュリティ(その1)
- “Hyper-Vの中のHyper-V”で仮想マシンを動かす
- ADドメインはもう不要? ワークグループでクラスター作成が可能に――フェイルオーバークラスターの新機能(その3)
- 可用性をさらに高めるクォーラム監視オプション「クラウド監視」――フェイルオーバークラスターの新機能(その2)
- 短時間のノード障害に耐える仮想マシン――フェイルオーバークラスターの新機能(その1)
- WindowsコンテナーをDockerから操作するには?――あなたの知らないコンテナーの世界(その4)
- IISコンテナーの作成で理解するコンテナーのネットワーク機能――あなたの知らないコンテナーの世界(その3)
- 所要時間は1分未満! 今すぐできるWindows Serverコンテナーの作り方――あなたの知らないコンテナーの世界(その2)
- Windows ServerのDockerサポートとは?――あなたの知らないコンテナーの世界(その1)
- 注目のDockerサポートは? Nano Serverは?――Windows Server 2016 Technical Preview 3登場! 新機能ピックアップ
- 「Webアプリケーションプロキシ」はマルチデバイス環境におけるリモートアクセスの“要”
- クラウド時代のセキュリティ担保にはActive Directoryフェデレーションサービスが必須となる?
- 4ステップで理解する「ストレージレプリカ」のセットアップと構成方法
- 低コストでデータの災害復旧対策を実現する新たなSDS「ストレージレプリカ」とは
- 記憶域スペースの新機能「記憶域スペースダイレクト」を理解する(後編)
- 記憶域スペースの新機能「記憶域スペースダイレクト」を理解する(前編)
- Hyper-Vホストから仮想マシンゲストの操作を可能にするPowerShell Directとは
- Windows Server 2016世代のクラウド基盤の守護者、Host Guardian Serviceとは
- 注目のNano Server、その謎に迫る――コンテナー技術との関係はいかに?
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 米グーグルのDockerコンテナ管理サービスが一般提供開始
米グーグルがGoogle Cloud Platform上で提供しているDockerコンテナオーケストレーション/管理サービス、Google Container Engineが2015年8月26日、ベータ段階を終了、一般提供が開始された。 - Dockerが新機能・サービスを続々発表、主要クラウドプレーヤーとの距離も緊密に
Dockerがイメージ管理や分散アプリケーション管理自動化を推進する機能を発表。アルファ版やプレビュー版だが、既に複数のクラウドサービスプロバイダーが対応を表明している。 - “Windows 10へのアップグレード:失敗”はエラーではなかった――アップグレードインストールの簡単まとめ
“Windows 10 Proにアップグレード:失敗”エラーが記録されていた筆者のノートPCに、ようやく無償アップグレードの通知が来ました。このノートPCのアップグレードとアップグレード後のちょっとしたトラブルをリポートします。 - トラブルに遭遇したらどうすればいい? ――Windows 10のアップグレードで知っておくべき対処法
2015年7月29日、Windows 10が正式にリリースされ、無料アップグレードを予約したWindows 7/8.1 PCへの配布が始まりました。今回は、Windows 10へのアップグレード前、そしてアップグレード後に知っておくべきことをまとめました。 - 「Windows 10を入手する」アプリは表示されましたか――Windows 10の無料アップグレード予約が開始
Windows 10が「2015年7月29日」にリリースされることが正式発表されました。この発表に合わせ、無料アップグレード対象のPCでは「Windows 10を入手する」アプリによる無償アップグレードの案内と予約が始まりました。