Windows Server 2016には、マルウェア対策として「Windows Defender」が既定でインストールされます。特に設定しなくても、サーバで有効な役割に応じてうまく動作するようになっていて、意外と賢いのです。
Windows Server 2016に標準搭載される「Windows Defender」については、Windows Server 2016 Technical Preview(TP)2をベースに、本連載第3回で取り上げました。今回は、このときにはお伝えできなかった最新情報をフォローアップします。
Windows DefenderのGUI(Graphical User Interface)はWindows Server 2016 TP3まではオプションであり、必要があれば手動で追加することができました(Server Coreインストールでは追加は不可)。Windows Server 2016 TP4ではフルインストールオプションの「Windows Server 2016 Technical Preview 4(Desktop Experience)」でインストールした場合、Windows DefenderのGUIも既定でインストールされます(画面1)。
ただし、Windows DefenderのGUI機能が既定でインストールされるかどうかは、次のWindows Server 2016 TP5や正式リリースでは変更される可能性もあります。Windows ServerにはGUIを持たない「Server Core」インストールもあるので、“Windows DefenderのGUIはオプション”と考えた方がよいでしょう。GUIがなくても、コマンドプロンプトやWindows PowerShellを使うことで、定義ファイルの更新やスキャンを実行することができます。
コマンドプロンプトから定義ファイルをアップデートして、スキャンを実行する場合は「MpCmdRun」コマンドを使用します。
cd %ProgramFiles\Windows Defender\MpCmdRun MpCmdRUn -SignatureUpdate -MMPC MpCmdRun -Scan -ScanType 1
Windows PowerShellの場合は、「Update-MpSignature」や「Start-MpScan」コマンドレットを使用します。また、「Get/Add-MpPreference」コマンドレットを使用すれば、詳細な構成を確認および構成することが可能です。
Update-MpSignature -UpdateSource MMPC Start-MpScan -ScanType QuickScan
Windows Defenderは、Windows Server 2016 TP3から提供された「Nano Server」でもサポートされます。Nano Serverでは、Windows Defenderのサポートパッケージを追加することで導入できます(画面2)。Server Coreやフルインストールと同様、「MpCmdRun」コマンドまたはWindows PowerShellのコマンドレットを使用することで、更新/スキャン/構成が可能です。
本連載第3回では、Windows Serverにインストールされている役割に合わせて、「Add-MpPreference」コマンドレットで拡張子やパス、プロセスの例外設定を行う必要があると説明しました。
Windows Server 2016 TP4からは、Windows Defenderに「Automatic exclusions(自動例外)」機能が追加されて、既定で有効になっており、Windows Serverの役割に応じて標準的な例外設定が自動で行われます。試しに、「Get-MpRreference」コマンドレットを実行してみてください。「DisableAutoExclusions(自動例外を無効にする)」が既定で「False(無効)」になっていることを確認できるでしょう(画面3)。
例えば、Hyper-Vの役割が有効になっていれば、次の「拡張子の例外」と「パスの例外」が自動適用されます。この例外設定は、クイックスキャンに対して適用されます。フルスキャンには適用されません。
*.vhd
*.vhdx
*.avhd
*.avhdx
*.vsv
*.iso
*.rct
*.vmcx
*.vmrs
%ProgramData%\Microsoft\Windows\Hyper-V
%ProgramFiles%\Hyper-V
%SystemDrive%\ProgramData\Microsoft\Windows\Hyper-V\Snapshots
%Public%\Documents\Hyper-V\Virtual Hard Disks
%systemroot%\System32\Vmms.exe
%systemroot%\System32\Vmwp.exe
その他の役割に対応した既定の例外については、以下のドキュメントで説明されています。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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