デスクトップLinux カタログ
北浦 訓行
2005/2/1
目新しさよりも安定性を求める人に Vine Linux 3.1 CR |
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Project Vine(http://vinelinux.org/)が開発を行っているVine Linuxは、安定性を重視したディストリビューションだ。従って、最新版である3.1でもカーネル2.4を採用している。ただし、Vine Linux 3.0からGTK+2ベースとなったため、以前はインストールできなかったアプリケーションも動作するようになっている。
Vine Linuxは、作り込まれた日本語環境に定評がある。また、収録するソフトウェアを絞り込むことによって、CD-ROM 1枚に収まるコンパクトさを実現している点は、巨大化の進むディストリビューションの中で異彩を放っている。ただ、それでは使い勝手が悪い面もあるため、VinePlusというプログラム集が用意されている。OpenOffice.orgなどの巨大なアプリケーションは、VinePlusに収録されている。Vine Linux 3.1 CR(以下VL)のパッケージにはVinePlusのCD-ROMが同梱されているが、aptを使ってプログラムを個別にインターネットからダウンロードすることもできる。
製品概要
VLのデフォルトデスクトップ環境はGNOME 2.4である。
VLのデスクトップ(画像をクリックすると拡大表示します) |
最近は、多くのディストリビューションがWindowsの共有フォルダへのアクセス機能を標準で提供しているのだが、VLの場合はやや異なる。VinePlusから、gnome-vfs2-extrasとsamba-common、samba-libsmbclientをインストールする必要がある。
VLの標準文字コードはEUC-JPである。日本語表示に定評があるVLだけに、アプリケーションのメニューも日本語化されている。
VLには、日本語入力プログラムとしてVJE-Deltaが収録されている。VJE-Deltaのオン/オフは[Ctrl]+[Space]キーで行う。モードや機能の切り替えは、VJE-Delta上のボタンで行う。これらのボタンは、日本語変換オフ時には非表示にしたり、ボタンのサイズを小さくしたりできる。WindowsのMS-IMEのような、各種設定を行うためのダイアログボックスはない。
デフォルトのWebブラウザはMozilla 1.7.3で、メールクライアントはSylpheed 1.0.0beta1となっている。日本語の表示クオリティにこだわっているだけあって、Webブラウザやメールクライアントの表示は読みやすくて好感が持てる。オフィススイートは、VinePlusにOpenOffice.org 1.1.2が用意されている。
印刷機能
Vine Linuxは、3.0から印刷環境がCUPSに変更された。設定ツールはGNOMEの「CUPS印刷マネージャー」である。筆者の環境では、ネットワーク接続のレーザープリンタは問題なく使えたが、USB接続のインクジェットプリンタは認識できなかった。プリンタについては十分に動作検証した方がいいだろう。
VLに限った話ではないが、「CUPS印刷マネージャー」はシンプル過ぎて、行うべき設定が分かりにくい。WebブラウザからアクセスできるCUPSの管理ツールの方がいいかもしれない。
CUPSの管理ツール(画像をクリックすると拡大表示します) |
アップデートとサポート
アップデートパッケージは、Project Vineから提供される。Project Vineからリリースされているパッケージの新規インストールやアップデート作業は、apt-getコマンドまたはX Window Systemで動作するSynapticで行う。その際、依存性のあるパッケージも自動的にインストールされる。
ハンコムリナックスが行っている無償のユーザーサポートは、インストール関連に限定される。サポート期間は、ユーザー登録後30日間。サポート手段は電話と電子メール。また、ヴァインカーブが導入、設定、保守に関するサポートを行っている。契約は1年単位で、3インシデントが15万7500円、10インシデントが31万5000円だ。
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