業務で使う
デスクトップLinux カタログ


北浦 訓行
2005/2/1

 パワーユーザー向けで開発部門に最適
 SUSE LINUX Professional 9.2

 
製品名: SUSE LINUX Professional 9.2
URL: http://www.novell.co.jp/products/linux/suse/prof/
価格 オープンプライス(推定市場価格:2万790円)

 SUSE LINUXの開発元である独SUSE LINUX社は、日本でマーケティング活動を行っていなかったため、日本人にとってはなじみが薄かった。しかし、ノベルによるSUSE LINUX社の買収とマーケティング活動の本格化により、日本でも認知度が大きく向上した。

 SUSE LINUX Professional 9.2(以下SLP)は、カーネル2.6.8をはじめとする最新技術を搭載した、パワーユーザー向けのディストリビューションである。最大の特徴は、高い完成度に定評のある設定・管理ツール「YaST」だ。SLPは、設定変更はもちろん、自身のインストールさえもYaSTで行う。ユーザーインターフェイスが統一されているため、操作に戸惑うこともない。

 また、SLPのハードウェア認識力は非常に高い。ほかのディストリビューションでは認識できなかった周辺機器でも、SLPではメーカー名や機種名などが表示された。ただし、認識できてもドライバが存在せず、使えない場合もある。

製品概要

 SLPの標準デスクトップ環境はKDE 3.3だが、GNOME 2.6なども用意されている。

SLPのデスクトップ(KDE 3.3)(画像をクリックすると拡大表示します)

 Windowsの共有フォルダへのアクセスは、Konquerorで行う。[Windows Network]アイコンをクリックすると、ワークグループのアイコンが表示される。

 SLPの標準文字コードはUTF-8である。アプリケーションのメニューは日本語化されているが、KDE関連のヘルプは英文だ。ただし、SLPには330ページ超のユーザガイドと750ページ超のアドミニストレーションガイドが付属しているため、それらを参照すれば問題ない。

 SLPは、日本語入力プログラムとしてWnn7を採用している。SLP 9.1ではATOK Xが採用されていたが、SLP 9.2はすべてのソフトウェアで32bit版と64bit版を提供することになり、64bit版が存在するWnn7に変更されたのである。Wnn7のオン/オフは[Alt]+[半角/全角]キーで行う。また、変換モードや機能の切り替えは、Wnn7上のボタンから呼び出せる設定パネルで行うようになっており、Windowsから移行したユーザーでも違和感はないだろう。

 デフォルトのWebブラウザはKonquerorだが、CD-ROM内にはMozillaやFirefox、Galeonなどが収録されている。メールクライアントはKontactだが、同様にKMailやXimian Evolutionも利用可能だ。オフィススイートは、ノベルによって機能強化されたOpenOffice.org 1.1.3 Novell Editionがインストールされる。

印刷機能

 SLPの印刷環境はCUPSである。プリンタの設定は、SUSE LINUXのオリジナル設定ツール「YaST」で行う。プリンタのインストールは、ウィザード形式になっていて分かりやすい。また、ローカルのプリンタでもネットワークプリンタでも、自動的にスキャンして一覧を表示してくれるため、インストール作業は容易である。

YaSTによるプリンタの設定画面(画像をクリックすると拡大表示します)

アップデートとサポート

 パッケージのアップデートは、SUSE LINUX独自のYaST Online Update(YOU)によって行う。一連の設定作業はウィザード形式になっているので難しくない。また、YOUでは自動アップデートの設定もGUIで行うことができて便利だ。

 ノベルが行う無償のユーザーサポートは、インストール関連に限定される。サポート期間はユーザー登録後90日間で、サポート手段は電子メールだ。

 
関連記事:
プロダクトレビュー[SUSE LINUX Professional 9.1日本語版]
プロダクトレビュー[Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9]
プロダクトレビュー[Novell Nterprise Linux Services 1.0]

5/8

Index
業務で使うデスクトップLinux カタログ
  「デスクトップLinux」は普及するか?
  Novell Linux Desktop 9
  Red Hat Professional Workstation
  Sun Java Desktop System, Release 2
SUSE LINUX Professional 9.2
  Turbolinux 10 Desktop
  Vine Linux 3.1 CR
  デスクトップLinux選択のポイント

Linux Square全記事インデックス


 Linux Squareフォーラム 製品情報・レビュー関連記事
特集:2007年、Linuxディストリビューションの歩みを振り返る
商用、非商用ともにメジャーバージョンアップが相次いだ2007年。主なディストリビューションを取り上げ、アップデート内容を紹介します
プロダクトレビュー[Ubuntu 7.10 日本語ローカライズド Desktop CD]
海外のみならず日本国内でも人気急上昇中のUbuntu。優れたインターフェイスを備えるとともに、豊富な機能がコンパクトにパッケージされている
特集:業務で使うデスクトップLinux カタログ
定型業務さえこなせればよいという部門も多い企業環境は、コンシューマ市場以上にLinuxへの移行が容易ともいえる。そこで、6つのLinuxディストリビューションを紹介する
特集:Linuxで動くリレーショナルデータベース・カタログ
データベースサーバのOSとしてLinuxを採用するケースが増えている。Linuxで動作する7つの主なリレーショナルデータベースを紹介する。製品導入の際の参考にしてほしい
特集:Windowsで動くXサーバ・カタログ
やや特殊な用途に用いられてきたXサーバだが、活用しだいでは普通の管理用途にも有用だ。そこで、Windowsで動作する6本のXサーバを紹介する。選択の参考にしてほしい
特集:Linuxで動くJavaアプリケーションサーバ・カタログ
アプリケーションサーバは、いま最も開発競争が激しいジャンルの1つだ。その中から、Linuxに対応する5つの商用製品を紹介する。製品導入の際の参考にしてほしい
特集:Linuxで動くWebグループウェア・カタログ
Linuxを業務用サーバに採用するケースも増えている。そこで、Linuxをサーバとして利用するWebベースのグループウェアを紹介しよう

MONOist組み込み開発フォーラムの中から、Linux関連記事を紹介します


Linux & OSS フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Linux & OSS 記事ランキング

本日 月間