デスクトップLinux カタログ
北浦 訓行
2005/2/1
デスクトップLinux選択のポイント
一般的な事務作業は、Webブラウザとメールクライアント、オフィススイートがあればこなせるはずだ。これらに関しては、すでにオープンソースで優れたソフトウェアが開発されているため、移行の障害になることはほとんどない(編注)。ただ、使うのであればできるだけ新しいバージョンがいいだろう。特にOpenOffice.orgは、1.1.2から1.1.3へのマイナーバージョンアップでもかなりの数の新機能が追加されている(1.1.3から1.1.4は、ほとんどバグフィックスのみ)。CD-ROMに収録されているソフトウェアは古くても構わないが、最新版に近いパッケージを提供している製品を選んだ方がいいだろう。
編注:オフィススイートについては、「ファイルのやり取りが発生するPC間でソフトウェアが統一できる場合」という限定が必要だろう。統一できない場合は、ファイルの互換性が移行にとって深刻な障害となり得る。 |
日本語の表示や入力に関しては、オープンソースソフトウェアですべて実現可能だが、できるだけ商用の日本語フォントや日本語入力プログラムを使いたい。日本語入力プログラムについては変換効率や使い勝手は商用ソフトウェアの方が優れているし、特にWindowsからの移行では商用ソフトウェアの方が違和感が少ない。
プリンタも多くの職場で必須だろう。今回紹介した6製品は、いずれも一昔前のLinuxディストリビューションでは考えられないほど多くのプリンタに対応している。エプソンやキヤノン、沖データなどが開発したドライバやフィルタを収録している製品も多い。しかし、ドライバやフィルタが用意されていることと、そのプリンタが使用できることは別である。製品によっては評価版が用意されているので、事前にそれを利用して職場のプリンタが使えるか否かを確認した方がいい。
パッケージのオンラインアップデートはどの製品も対応している。それに加えて、クライアントのアップデートや設定、アプリケーションのインストールなどをサーバ側から管理する機能をサポートしているものもある。PCの数が数台程度ならそのような機能は必要ないかもしれないが、クライアント数が多くなるほど個々の管理は難しくなる。そのような環境では、クライアントの一元管理も視野に入れた選択が必要になるだろう。
今回試用した6製品は、いずれも機能は十分であり、日本語の表示もほとんど問題はない。いずれも選択するに値するレベルに達していると思う。その中でも印象的だったのは、SUSE LINUXの完成度の高さだ。ハードウェアの認識率が高く、インストールから設定までユーザーインターフェイスがYaSTに統一されている点に使いやすさを感じた。
導入するクライアント数が多い場合は、Novell Linux DesktopかRed Hat Professional Workstation、Sun Java Desktop Systemからの選択になるだろう。Windowsからの移行を考えるならNovell Linux Desktop、アプリケーションの動作実績ならRed Hat Professional Workstation、UNIXとの併用ならSun Java Desktop Systemに一日の長があるように思える。もちろん、自社のシステムを十分に検討し、それに応えることのできるサービスとサポートを提供しているディストリビューションを選択する必要があるのはいうまでもない。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デスクトップLinuxスペック表(大サイズ)へ 注:各パッケージのバージョンはインストール時のもの。アップデートにより変動 ※ 推定市場価格 |
8/8
|
|
|
||||||||||||||||
|
Linux Square全記事インデックス |
Linux Squareフォーラム 製品情報・レビュー関連記事 |
特集:2007年、Linuxディストリビューションの歩みを振り返る 商用、非商用ともにメジャーバージョンアップが相次いだ2007年。主なディストリビューションを取り上げ、アップデート内容を紹介します |
|
プロダクトレビュー[Ubuntu 7.10 日本語ローカライズド Desktop CD] 海外のみならず日本国内でも人気急上昇中のUbuntu。優れたインターフェイスを備えるとともに、豊富な機能がコンパクトにパッケージされている |
|
特集:業務で使うデスクトップLinux カタログ 定型業務さえこなせればよいという部門も多い企業環境は、コンシューマ市場以上にLinuxへの移行が容易ともいえる。そこで、6つのLinuxディストリビューションを紹介する |
|
特集:Linuxで動くリレーショナルデータベース・カタログ データベースサーバのOSとしてLinuxを採用するケースが増えている。Linuxで動作する7つの主なリレーショナルデータベースを紹介する。製品導入の際の参考にしてほしい |
|
特集:Windowsで動くXサーバ・カタログ やや特殊な用途に用いられてきたXサーバだが、活用しだいでは普通の管理用途にも有用だ。そこで、Windowsで動作する6本のXサーバを紹介する。選択の参考にしてほしい |
|
特集:Linuxで動くJavaアプリケーションサーバ・カタログ アプリケーションサーバは、いま最も開発競争が激しいジャンルの1つだ。その中から、Linuxに対応する5つの商用製品を紹介する。製品導入の際の参考にしてほしい |
|
特集:Linuxで動くWebグループウェア・カタログ Linuxを業務用サーバに採用するケースも増えている。そこで、Linuxをサーバとして利用するWebベースのグループウェアを紹介しよう |
|
|
- 【 pidof 】コマンド――コマンド名からプロセスIDを探す (2017/7/27)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、コマンド名からプロセスIDを探す「pidof」コマンドです。 - Linuxの「ジョブコントロール」をマスターしよう (2017/7/21)
今回は、コマンドライン環境でのジョブコントロールを試してみましょう。X環境を持たないサーバ管理やリモート接続時に役立つ操作です - 【 pidstat 】コマンド――プロセスのリソース使用量を表示する (2017/7/21)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、プロセスごとのCPUの使用率やI/Oデバイスの使用状況を表示する「pidstat」コマンドです。 - 【 iostat 】コマンド――I/Oデバイスの使用状況を表示する (2017/7/20)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、I/Oデバイスの使用状況を表示する「iostat」コマンドです。
|
|