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■マーケティング、Web-CRM
 
ペルソナ作って、それからどうするの?――ユーザー中心デザインで作るWebサイト
●棚橋 弘季=著
●ソフトバンク クリエイティブ 2008年6月
●2800円+税 978-4-7973-4710-4
 ここ数年、Webが生活の中に入り込むようになり、人々のライフスタイルが変化してきている。米国主導で作られてきたWebデザイン(方法論)が日本でも主流の中で、暮らしとWebデザインの関係性をどう再構築していくべきかを、ユーザー中心デザインの「ペルソナ」を解説しながら探る。
デザインは暮らしの中の問題点を解決するものだ。問題点を発見し、定義するのと同時に「誰のためのデザインか」も考えておく必要がある。この「誰のどんな問題を解決するのか」を明示するデザイン手法が「ペルソナ/シナリオ法」だ。これは、デザインプロセスの上流工程でユーザーの要件を明示するために用いられる。ペルソナとは架空のユーザー像で、これによりデザインに何が必要で、どうあるべきかをユーザー視点から考えることが可能になる。
ユーザー中心のデザインを実施するためには、「ひとりで考えない」「議事録を作る」「計画を立てて行動する」「何度も検証してコンセプトを壊す」といった7つの作法がある。著者は、これを意識しなくてもできるようにすることで、ユーザー中心デザインのアプローチを真に創造的な仕事の方法として用いることができる、と説く。
2段組380ページ超の本書、ユーザー中心デザインの概要から、体制づくり、データ収集、プロトタイピングといった実践まで、広範囲をカバーする。専門書として拾い読みするには、内容に冗長な部分が多いが、ときには哲学書のような発見もある。(ライター・生井俊)
 
Web担当者を育てるコミュニケーション力
●玉井 光則、佐藤 有美=著
●技術評論社 2008年5月
●1780円+税 978-4-7741-3467-3
 Webサイトやそれに関連する各種コミュニケーション手法を、どのように企業活動に役立てていくか――。「技術的なことが分からないから、仕事がうまくいかない」と考える担当者は多い。本書では、担当者はもちろん、悩めるクライアントを助けたい制作会社(Web屋)の問題を解決する「Webコミュニケーション」を説明する。
まず、問題解決の鍵になるのは「クライアント力」だ。クライアント力とは、Webサイトの成功を導くために担当者に求められる能力のこと。それは、「社内コミュニケーション能力」「制作サイド(Web屋)とのコミュニケーション能力」「ユーザーあるいは消費者のためのコミュニケーション能力」の3つから構成される。大切なのは、社内の情報を集約したり、調整したり、コンセンサスを形作ることで、これが制作を左右する。
Webサイトを作るという行為は目的ではない。商品購入や資料請求・お問い合わせなど、ユーザーによる何らかの「フィードバック」が目的である以上、ユーザーとコミュニケーションが成立していることがサイト運営で大前提となる。ホスピタリティ(おもてなし)を意識することで、ほかのWebサイトとの差別化や親近感の醸成、生の情報を得ることができるようになり、サイト運営の喜びやユーザー満足につながる、という。
サイト構築時に気を付けることとして、動線設計(本書表記ママ)や社内のチーム体制を整えることに加え、表現に一貫性を持たせる「トーン&マナー」やエスカレーション、メール対応期限などのルール決めにまで言及している点が実践的だ。(ライター・生井俊)
 
大企業のウェブはなぜつまらないのか──顧客との対話に取り組む時機と戦略
●本荘 修二=著
●ダイヤモンド社 2007年2月
●1600円+税 978-4-478-00022-0
 ネットの世界では、大企業の組織力が発揮されにくく、顧客の期待に応えていない現状がある。本書はこのような課題の構造を明らかにし、何をなすべきかを示したものだ。
 「日本人は、どこまでネット化するのか」、これは企業がネットの影響を考えるに当たって最も基本的な質問だが、意外と人々の認識には差がある。一部にはネット普及懐疑論も聞かれるが、日本人の約6割がすでにネット化しているため、大勢は決したと見られる。ただし、B to Cに関しては3.5兆円(2005年)で、eコマース率はまだ1.2%にすぎないという冷ややかにならざるをえないデータがある。
 既存メディアとネットがどう付き合うべきかについては、対立ではなく融合する方向にあると説く。すなわち、メディア全体で考えると消費者が広告を避ける傾向が強まっており、この危機的状況に対してクロスメディア、顧客にかかわるビジネスプロセスの融合という方向が見えるという。これは既存のメディアの地位が下がるのではなく、新たなメディアであるネットの地位が上昇するととらえるのが妥当だ。全般的なメディア効率低下に対して、大企業の事業活動の方向として「メディアの組み合わせ」が鍵になる。経済学者のシュンペーターは「イノベーションは新結合から生まれる」と教えたが、この状況はまさにそれに当たる、と解説する。
 Web2.0の影響度から始まり、変わる顧客の姿、大企業のネット化に必要なロードマップ、ネット化に取り組む推進力など、さまざまなテーマに触れている。内容に目新しさはないが、このあたりをさらっておきたいマネージャ向けの本だろう。(ライター・生井俊)
 
ポストモダン・マーケティング──「顧客志向」は捨ててしまえ!
●スティーブン・ブラウン=著、ルディー和子=訳
●ダイヤモンド社 2005年1月
●2400円+税 4-478-50246-3
 モダン・マーケティング=顧客志向マーケティングを痛烈に批判する一書。冒頭、顧客至上主義はいまや年貢の納め時であり、「顧客は王様」という言葉は死語だと指摘する。そして現在のマーケティングは顧客中心のものではなく、「入手が難しいこと」と「目立つこと」を組み合わせることが必要だと説く。
 事例では、エルメスやスターバックスといった企業のほか、映画監督やミュージシャンまでを取り上げ、“顧客を追いかける”のではなく、“追いかけさせる”方法を示す。一見すると、時代の逆を行く刺激的な見出しが並ぶ。しかし、「マーケティング=売ること」の本質をとらえようとした本だ。
 LESSON1「お客を憤慨させて売上を上げる方法」から、LESSON11の「ねずみ捕りに上手に罠を仕組む方法」まで、ジョークを織り交ぜながらのマーケティング講義は300ページを超える。見出しだけでなく、「Attention」という方向性を確認する問いかけを随所に盛り込み、長さを感じさせない構成になっている。
 マーケティング用語に閉口しているマネージャクラスが読むと、一種の清涼剤に感じるかもしれない。(ライター・生井俊)

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