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■社会的責任、リスクマネジメント
 
「不祥事」を止めるISO思考
●有賀 正彦=著
●光文社 2007年5月
●952円+税 978-4-334-93411-8
 ISO取得企業の不祥事が相次いでいる。ISO制度が無意味で機能しないものとならないように、そのマネジメントシステムについての正しい内容と本来の目的を解説し、自立した組織作りができる考え方をまとめたのが本書だ。
 前半は、不二家の賞味期限切れ問題や関西テレビの情報番組捏造などを振り返りながら、ISO的な考え方を示す。ISOの最大の目的は、問題が起こらないようにすることではなく、問題が起きた後にどう再発を防ぐか、が一番のキモになる。再発防止のためには、現在の仕事の手順や能力を見直すことが必要だが、「問題の真の原因を特定しにくい」「問題の真の原因を除去する再発防止の手順に、有効性があるか判然としない」という2点からきちんと実施するのは難しい。
 まっとうに機能していないISOの現状があるとはいえ、ISOを活かさなければ社会負担が増えるため、今後は多くの組織がISOを理解し有効に活用していくしかない。組織がISOを真に理解し、自立してシステムを改善することができる仕組みを確立すれば、トータルで見れば社会的なコストは低減する。それは、コンプライアンスの順守だけでなく、業務や提供する製品やサービスの質を向上させ、そのことを信頼ある認証制度の枠組みで外部に示していくことで可能となる、という。
 登録制度が形骸化していることについて、審査登録機関のブランド化や審査担当機関を無作為抽出で選定するべきなど、ISO認証自体の改革にも言及している。(ライター・生井俊)

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