■営業・セールス、SFA |
IT日報で営業チームを強くする | ||
●長尾 一洋=著 ●実務教育出版 2006年2月 ●2000円+税 4-7889-0730-5 |
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営業の日報は企業の実態を映し出す鏡であり、また、日報によって企業を変えることができる。1000社を超える実例を基に、営業力や企業体質強化につなげる「ITによる日報」(SFA)のノウハウをまとめたもの。 まず、なぜ日報に嘘やごまかしが多いかに触れ、頑張っても売れない時代であり、日報を計画書と考える発想の転換を促す。そして、日報に「次回行動予定欄」を設けるだけで、その日に自分(営業)がしたことだけでなく、商談相手の反応が盛り込まれることになり、劇的に日報や行動が変わる。そこでのメリットは、上司のアドバイスが事前に入れやすくなることにあるという(第1章)。 日報システム運用前には、社員の意識改革が欠かせない。経営トップが参加するキックオフミーティングの実施や、操作説明をしがちな情報システム部門ではなく、営業改革であることを前面に打ち出せるプロジェクトリーダーによる研修の意義を説く。それにより、行動管理日報の悪循環を断ち切り、顧客創造日報にするための意思統一を図る。その際、「キーボード入力が苦手」というような抵抗勢力を説得しつつ、顧客情報は会社の財産であることを徹底させることが大切になる(第5章)。 ほかに、案件管理型、ルート型など営業スタイル別に日報システム構築のポイントがまとめてある点や、個人から営業チームへ変えていく手法など参考になるだろう。(ライター・生井俊) |
営業変革──しくみを変えるとこんなに売れる | ||
●渡部 弘毅=著 ●メディアセレクト 2005年11月 ●1333円+税 4-86147-010-2 |
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CRMコンサルタントの著者が、「売れる仕組み」のノウハウを物語仕立てで紹介する。大手企業のコンサルタント「田辺裕三」が主人公。田辺が中堅ベンチャー企業の営業変革プロジェクトを担当し、紆余曲折する中から活路を見いだし、第二創業期を迎えるまでのストーリー。 田辺とベンチャー企業とのやりとりに、マイケル・ポーター教授が説く事業領域の魅力度を判断するフレームワーク「5 Forces」や、トップのコミットメントの重要性、意識改革を行うための合宿研修など、キーワードや重要なイベントを織り込む。 また、優秀な営業マンの知恵を標準化する取り組みでは、「ノウハウを全部さらけ出したら、これからもトップ成績を続けるのは無理」と反発をくらった上に、その幹部社員が辞めるという、改革に伴う痛みを体感する。しかし、意識改革への負の精算が済んだことで、一匹狼的営業マンのノウハウにスポットがあたり、その窮地を救う。 途中、状況別の戦略を解説したコラムを挿入し、売れる仕組みの理解を深める工夫をしている。難しい用語を極力排除して、読みやすさを優先させている点に好感が持てる。営業マネージャだけではなく、情シス部門の若手が読んでも参考になりそうだ。(ライター・生井俊) |
これなら勝てる! 必勝の営業術 55のポイント──最強の兵法を営業改革に活かせ | ||
●長尾 一洋=著 ●中央経済社 2004年11月 ●2200円+税 4-502-59170-X |
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経営者やベテラン営業担当者は「がんばれば売れる」という強烈な成功体験を持っている。しかし、そういった時代は終わった。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があるように、原点に学ぶことが大切だ。本書は孫子の教えに学び、新しい時代にあった営業改革の進め方を55のポイントにまとめる。 原点は同じでも、ITを利用して売り方や営業スタイルは変える必要はある。その手法を「作戦篇」「軍形篇」「虚実篇」など13に分類し紹介する。まず、孫子の兵法とその通釈を述べ、そこから営業革新のための解釈と解説が加えられている。 例えば、「善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり」という言葉は、「得意分野に絞って営業活動を展開すべき。難しい顧客や無理な新規開拓で大手柄を立てようと思ってはならない」と解釈する。そして、きれいにまとめられた成功事例ではなく、日々の日報入力により蓄積された案件履歴、商談履歴が参考になると説く。 営業論で終わることなく、随所にSFAやCRMシステムの画面キャプチャを載せ、具体的なIT活用方法を紹介するなど、すぐに活用できる要素が多い。SFAを導入したい、もしくは導入したが活かせていない企業のマネージャ向け。(ライター・生井俊) |
営業が変わる──顧客関係のマネジメント | ||
●石井淳蔵=著 ●岩波書店 2004年6月 ●780円+税 4-00-700114-6 |
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本書は、「営業という仕事の意味」という読み物から始まる。“お客さんのための営業”や“ノルマ”の意味について、先達の言葉を引用し営業の本質を問う。 第3章「属人の営業と組織の営業」では、1人の営業マンが深くお客さんに食い込む属人的な営業ではなく、組織でアプローチする営業のメリットをうたう。住宅販売の現場では、モデルハウスの宣伝広報、お客さんのニーズの聞き取り、研究所への案内など、仕事がきちんと分解されている。それぞれの分野の責任者が明確になると、ムダが省けるだけでなく、営業担当者それぞれの能力(専門性)の向上にも役立つ。そして、専門化されたすべての分野を一通り理解したとき、一人前の「お客さん担当」になれるという。 前半部分は営業の技術について語られるが、後半はそのマネジメント手法へと展開する。営業をプロセスでとらえ、案件の進ちょくを管理することから始まり、最終的には“お客さんとの継続的な関係”を重視する仕組み作りを目指す。CRMの強化を考えているマネージャやSFA導入を提案したいSEに、本書でその前提となる「プロセス営業」を学ぶことをお勧めしたい。(ライター・生井俊) |
製造業CRM革命 | ||
●服部隆幸、藤本直樹=著 ●日刊工業新聞社 2004年6月 ●1800円+税 4-526-05297-3 |
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営業業務がCRM-SFAによって改善できると思い込んでいた第1幕の誤りに気付き、いまこそCRM第2幕を開幕しなくてはならない──と本書は始まる。 「営業内部に閉じたシステム」「一握りの顧客のリレーションシップ」「顧客視点の欠如」などの問題点や課題に対し、第2幕ではワン・トゥ・ワンの必要性を説く。具体的には、「自社の顧客をきちんと知る」「強力な販売組織を作る」「製品価値から関係価値への転換を図る」「流通の主導権を回復する」の4点を実現する仕組み作りとなる。 もの作りが本業の製造業でも、技術が飽和し、情報化が進んだ現在、「顧客接点のダイレクト化」「顧客のマーケティング」「情報の統合化」の3つのポイントをおさえた、顧客志向のビジネスモデルへの変革が必要だと説く。また、売り上げを上げるための仕組みやその実践、CRMシステムの動向、ケーススタディなどについてバランスよく解説している。 CRMシステムを導入したが効果が見えてこない製造業の情シス担当者、また、CRMとの連携を模索しているコールセンター部門担当者にとって、本書で解説する統合型CRMのインパクトは大きいかもしれない。一読をお勧めする。(ライター・生井俊) |
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