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■ソフトウェア品質
 
マインドマップから始めるソフトウェアテスト
●池田 暁、鈴木 三紀夫=著
●技術評論社 2007年6月
●2380円+税 978-4-7741-3131-3
 ここ数年でソフトウェアテストの書籍や専門誌が増えた。情報を得ることが容易になった一方で、使いこなすのは難しいというのが現状だ。本書では、テスト活動に取り組むに当たり、あまり公開されてこなかった「テスト全体の作業工程を知ること」「テストエンジニアの思考過程を知ること」を中心に、その勘所をマインドマップを描きながら学んでいく構成になっている。
 マインドマップは、堅苦しいルールに従って唯一の答えを導き出すものではなく、自由な発想で自由に描きながら、いろいろな気づきを得るものだ。とはいえ、要件定義書がある場合なら、慣れないうちは「要件定義の章」に当たる部分を、「マインドマップのメイン・ブランチ」として描いていくことを勧めている。要件定義書がない場合は、すぐにでも要件をまとめ、テストカテゴリ(=先人たちが工夫してきた知識)を参考に、マインドマップを描いていく。
 テスト計画書は項目数が多いため、1枚のマインドマップに描き切れない場合もあり、その際は複数枚に分けて描く。また、マインドマップにこだわらず、別の書式を検討した方がよいものもある。マインドマップを作成するメリットは、次から次へと思い付くことがあり、期待する以上に抜け漏れを事前に防止できる点にある、と説明する。
 作業工程全体を視覚的に、流れで理解できるマインドマップは、仕様書の「行間」の読み方に苦労している技術者から、教育者の立場にあるベテランの開発者まで役立ちそうだ。(ライター・生井俊)
 
ソフトウェア・レビュー技術──基礎から実践までのノウハウ
●織田 巌=著
●ソフト・リサーチ・センター 2006年7月
●2000円+税 4-88373-228-2
 ソフトウェア開発は人への依存度が高く、品質も人の影響が大きい。本書は、複雑さが増す中で誤りの少ないソフトを開発することが求められる開発現場に向けて、場面に応じた適切なレビューの方法を解説する。
 レビューとは静的文章とモデルを評価するもの。それに対してテストは、成果物の動作を実際に評価するもの。テストで動作確認をすると、1つの障害を修正したら次の障害が出現するような、モグラ叩き状態になることがある。一方、レビューの場合は一度に全部見ることができるため、一度に発見し修正できる点で効率的だ。
 レビューは、各工程終了時に行い、実施された作業検証することが基本となる。特に設計者が新人の場合や長期にわたる場合、ボリュームが大きい場合は中間レビューの実施が有効になる。一番効率的なタイミングは、初版(ドラフト版)ができた後だが、中間レビューは多少工数が増加しても「遅すぎるより早すぎる方が、まだ良い」という考えに基づいている。
 工程に合わせたレビューの実施や品質会計制度、レビューで収集されたデータの分析や評価を行う観点についても、分かりやすくまとめられている。(ライター・生井俊)

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