■製造業 |
実践! PLM戦略──製造業の製品競争力優位の経営手法 | ||
●山田太郎=著/ネクステック=監修 ●PHP研究所 2005年6月 ●1300円+税 4-569-63630-6 |
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製品の企画、設計・開発、製造という全ライフサイクルで、付加価値創造が可能なPLM(Product
Lifecycle Management)。本書ではPLMを「顧客の要求仕様と製品仕様のバランスをとりながら組織横断型で製品仕様をマネジメントすること」と定義、その概要とフレームワーク、ソリューション、実装についてまとめる。 PLM概要では、PLMは部門や立場により意味が違っており、経営視点の「企業戦略」、設計から製造−メンテナンス−廃棄までの現場視点の「業務」、システム部門のITからの視点の「システム」の3点から見ることが重要と説く。PLMを実現するためには、製品のマスタ情報である部品表(BOM)の再構築、あるいは新規導入が必要だ。 PLMと、SCM/CRMとの違いについては、「モノ」と「つくり」に区別した場合、SCMとCRMは「つくり」の世界が中心で、どちらもプロセスイノベーションが主たる目的だ。一方、プロダクトイノベーションで製品を開発し利益を上げる仕組みを目指すのであれば、PLMが重要となる。 ほかに、スペックマネジメントを行ううえでの5レイヤドアプローチと9つのソリューション、標準化・モジュール化の必要性、機能VOC(顧客満足度調査)による売れる商品のつくり込み、コストマネジメントについて言及している。オーバースペック商品による薄利から脱却したい企業の経営者やマネージャ向け。(ライター・生井俊) |
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製造業CRM革命 | ||
●服部隆幸、藤本直樹=著 ●日刊工業新聞社 2004年6月 ●1800円+税 4-526-05297-3 |
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営業業務がCRM-SFAによって改善できると思い込んでいた第1幕の誤りに気付き、いまこそCRM第2幕を開幕しなくてはならない──と本書は始まる。 「営業内部に閉じたシステム」「一握りの顧客のリレーションシップ」「顧客視点の欠如」などの問題点や課題に対し、第2幕ではワン・トゥ・ワンの必要性を説く。具体的には、「自社の顧客をきちんと知る」「強力な販売組織を作る」「製品価値から関係価値への転換を図る」「流通の主導権を回復する」の4点を実現する仕組み作りとなる。 もの作りが本業の製造業でも、技術が飽和し、情報化が進んだ現在、「顧客接点のダイレクト化」「顧客のマーケティング」「情報の統合化」の3つのポイントをおさえた、顧客志向のビジネスモデルへの変革が必要だと説く。また、売り上げを上げるための仕組みやその実践、CRMシステムの動向、ケーススタディなどについてバランスよく解説している。 CRMシステムを導入したが効果が見えてこない製造業の情シス担当者、また、CRMとの連携を模索しているコールセンター部門担当者にとって、本書で解説する統合型CRMのインパクトは大きいかもしれない。一読をお勧めする。(ライター・生井俊) |
能力構築競争──日本の自動車産業はなぜ強いのか | ||
●藤本隆宏=著 ●中央公論新社(中公新書) 2003年6月 ●960円+税 ISBN4-12-101700-5 |
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最近薄日が差してきたとはいえ、日本経済に対する見方はずっと悲観的なままだ。この国の主力産業である製造業でも空洞化、中国脅威論が叫ばれている。しかし、本書の著者は「筆者自身の測定データや観察事実をみる限り、1990年代半ば以降、日本になお多く残る一流の生産・開発現場では、大幅な生産性向上や開発期間のさらなる短縮化がハイペースで進んでいた」と述べ、日本の自動車産業が持つ国際競争力について解説していく。著者はその源泉を「もの造りの組織能力」だとして、それを獲得していく過程で長期的な「能力構築競争」が行われたと分析する。能力開発競争とは企業が持つ「組織能力」を品質、コスト、納期、フレキシビリティなどの面で高めていく、長期的な競争のことだ。 本書で特徴的なのは、“製品”を「製品設計情報が素材すなわち媒体のなかに埋め込まれたもの」ととらえていることだ。従って、企業そのものが情報を媒体に効率的に埋め込む「一種の情報システム」というモデルで考察されている。また第10章に「ITと組織能力」があるが、そこでは「ITを上手に使いこなす組織能力」が企業の競争力につながった例が述べられている。 企業が競争力を獲得する手法の1つとしての(日本企業が得意な)能力獲得競争とは何か、そしてそこで“情報”がどのような役割を果たしているか──情報マネージャにとっても示唆に富む一書になっている。 |
トヨタ生産方式──脱規模の経営をめざして | ||
●大野耐一=著 ●ダイヤモンド社 1978年5月 ●1400円+税 ISBN4-478-46001-9 |
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日本郵政公社が業務改善にあたってトヨタに指導を求めたり、経済誌で特集が組まれるなど、このところトヨタ生産方式が脚光を浴びている。数年前のITバブルの最中、「これからはSCMだ」「コンカレント・エンジニアリングだ」と騒がれたが、ここへ来て“原点回帰”しているのだろうか。 本書は、いうまでもなくトヨタ・システムの生みの親自身による古典である。「ジャスト・イン・タイム」「かんばん」「自働化」「平準化」「多様化」など、トヨタ生産方式を表すキーワードは、後続の書籍でもさらに詳細に語られているが、その真意・真髄を知るには本書が最適だろう。そこには単なるノウハウではなく、現場の悪戦苦闘の中で鍛えられた骨太の“思想”がある。 また「五回のなぜ」という一種の思考法にも触れられているが、著者の、そしてトヨタという会社の、現場における“問題”に対するアプローチは、問題解決の教科書としても読むことができると思う。いままた読み返してみてほしい。 |
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