さて駆け足で無線LANのセキュリティ技術について紹介をしました。現時点では、MACアドレスとSSIDの設定をきちんとして、WPA2を使えば取りあえず「ベストを尽くした」状態です。
では早速、WPA2を使って無線LAN環境を構築しましょう……といいたいところですが、残念ながらニンテンドーDSはWEPにしか対応していません。
WEP/WPAに対応している無線LANアクセスポイント機器はたくさん販売されていますが、「ニンテンドーDSにはWEP、そのほかの通信はWPA」といった使い方は基本的にできません。WEPで設定されたらWEPのみ、WPAで設定したらWPAでしか使えないのです。
ニンテンドーDSでWi-Fi通信をしたいけど、ノートパソコンの通信はWPAでしたい! というユーザーはいったいどうしたらいいのでしょうか? 解決策は2つ考えられます。
1つ目は、無線LANアクセスポイントを2台購入して1つはWEPにしてニンテンドーDS用、もう1つをWPAで設定してノートパソコンなどに対応させるのです。ニンテンドー専用のアクセスポイントであるならば、ゲーム機専用の無線LAN USBソフトウェアアクセスポイントというのもあるので、そのような機器で対処する方法もあります。
2つ目の対策は、WEP TSN(Transitional Security Network)を利用する方法です。この方法は、WPAが利用できるクライアントはWPAで接続し、WEPしか使えないクライアントはWEPで接続することができ、WPAとWEPを同時に利用できるのです。なので「DSにはWEP、PCにはWPA」という振り分け方ができるのです。これを使えばDSのためだけにすべてのクライアントをWEPへと下げる必要がなくなります。
Transitional Security Network対応の製品としては、アップルの「AirMac Extreme」があります。この場合はWEPとWPAのパスワードが同じものになるため、安全のために定期的にパスワードを変更することをお忘れなく。
【参考】
What is a Transitional Security Network (TSN)? http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=305100
AirMac Extreme (802.11n): WEP (TSN) セキュリティネットワークに参加するとき、WPA パーソナルパスワードが要求される
http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=305224-ja
正直なところ、無線LANのセキュリティ技術は完ぺきでなく、またニンテンドーDSの例のように、使用する機器によっては安全性の低い技術でしか接続しかできない場合もあります。
セキュリティを考えるときに一番大事なことは「何を得て、何を失うかはっきりさせること」です。利便性、手間、安全性、コスト……どれを取捨選択するのか?
具体的には
「無線LANはゲーム機しかつながないので、データが漏れても大丈夫。だからお金も手間も掛けたくない」
「ノートPCとゲーム機も無線LANで接続したい。だけどデータが漏れたら困るので、無線LANアクセスポイントを専用に買い、セキュリティ設定もばっちり」
といった感じで、ユーザーの目的でベストな回答は変わってきます。
現在利用している人もこれから利用を考えている人も、上記をポイントにして無線LAN環境を構築すればうまくいくはずです。
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