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» 2010年09月09日 20時13分 公開

環境のせいにしない。できることから始める仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(1)(2/2 ページ)

[テイクウェーブ 竹内義晴,@IT]
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少しずつ行動することで分かった「自分戦略」

 「目の前で起きていることに向き合うこと」

 「自分自身に問い掛け、自分の頭で考えること」

 「いまの自分にできる小さな行動を起こすこと」

 この3つは、筆者が最も大切にしていることです。

 なぜ筆者がこの3つを大切にするようになったのかをお話ししたいと思います。

 筆者がエンジニアだったころ、過大なプレッシャーから、仕事へのやりがいを失っていた時期がありました。「会社が悪い」「顧客が悪い」と、その理由を環境や周囲のせいにしていました。同時期、上司から「チームをまとめる仕事をやってくれないか」といわれ、仕方なく引き受けました。「動かない部下が悪い」「なんで分かってくれないんだろう」――まとまらないチームに頭を抱えました。

 上司、会社、顧客、部下……「周囲に何とかしてほしい」「環境を変えてほしい」と懇願しましたが、環境はなかなか変わってくれませんでした。

 そこで、自分にできることから変えてみようと考えました(最初は、半ば「仕方なく」でしたが……)。コーチングや心理学などに触れ、職場の雰囲気を明るくする基礎を学びました。そして、誰にでもできるような、コミュニケーションのちょっとした工夫をすることから始めました。

 すぐに劇的な変化が起こるわけではありませんでしたが、少しずつ行動することで、成果が出始めました。顧客の中には、筆者のチームを評価してくださる方も出てきました。また、一緒に働く仲間の声を聞いて、どのようにすれば職場が明るくなり、チームがまとまるのか、そのコツが次第に分かるようになっていきました。

 それまでは、周囲に懇願するばかりで、自分からは何も行動を起こそうとはしませんでした。また、なんとなくボンヤリと「エンジニアであり続けたい」と考えていただけで、「何のために働いているのだろう」「仕事って何だろう」と、真剣に考えたことはありませんでした。明確なキャリアビジョンも、目標も持ってはいませんでした。

 けれども、自分から行動することで少しずつ成果が出て、成長の喜びを覚えるようになりました。

 少しずつ結果が出る喜びを知ってから、「もっと多くの人の役に立つ仕事がしたい」と考えるようになりました。「明確なキャリアビジョンを描かなければならない」「目標を持たなきゃ」などと思わなくても、自然とやりたいことが明確になっていったのです。

 こうして得た「自分戦略」は、本当に貴重でした。

 エンジニア時代、プレッシャーの多かった職場は「最悪の職場」だと思っていましたが、いまではその環境にいられたことに感謝しています。「目の前で起きていることに向き合うこと」「自分自身に問い掛け、自分の頭で考えること」「いまの自分にできる小さな行動を起こすこと」――この3つの「自分戦略」を与えてくれ、少しずつ結果が出ることの喜びを教えてくれた、最高の「ギフト」だったのですから。

自分にできることから始めてみよう

 よく「キャリアビジョンや目標を描くことが大切だ」といわれます。それが「やる気の源」であると説く人もいます。しかし、無理に「目標を持とう」「やる気を出そう」と思っても、なかなか目標を思い描くことができず、やる気もわいてこないという人は少なくないでしょう。「明確なキャリアビジョンを描けないわたしって、ダメなんじゃないか」と、不安になってしまうかもしれません。

 もちろん、キャリアビジョンや目標を描くことは大切です。でも、うまくいかないのなら、まずは「エンジニアの仕事を続けたい」という自分の気持ちに正直になってみてはいかがでしょうか。実現性や損得を「頭で考える」よりも、エンジニアを続けることの楽しさを「体で感じる」というイメージです。そして、いま目の前で起きていることに向かい合い、どうすればそれが実現するのかを考え、何か新しい行動を始めてみましょう。小さなことで構いません。少しずつ試行錯誤を重ねていく中で、見えてくるキャリアビジョンや目標もあるのです。

 筆者がこれまでやってきたことは、「自分にできることをやる」ということでした。当たり前ですが、人間は自分にできることしかできませんから。これなら、きっとあなたにもできるはずです。例えば、自分の気持ちや、身に付けた技術をブログにアウトプットしてみるのもいいでしょう。いまできることを、自分の頭で考え、行動に移してみてください。

 あなたがいま、「ちょっとだけ頑張ればできそうなこと」は何ですか?


 読者の皆さんの中には、「あなたはいま、エンジニアではないじゃないか。エンジニアでもないのに、『自分らしいエンジニア』なんて……」と思う人がいるかもしれません。確かにそうですね。筆者はいま、開発の第一線からは離れていますから、エンジニアとはいえません。

 しかし筆者はいま、自分の好きな仕事を楽しんでいます。仕事の中に、生きる意味や幸せがあるから、好きな仕事をしているといってもいいかもしれません。その考え方の基本は、エンジニア時代に学んだことです。それに、「自分がやりたい仕事を選択し、楽しむ」ということに、職種はあまり関係がないように思います。

 今回は、概念的なお話が中心になりました。次回からは、開発の現場やプロジェクトマネジメント、コンサルティングなどのシーンで、実際に起こりそうな問題や悩みに触れながら、その際の解決策や思考法などについて、具体的なお話をしていきたいと思います。

 1人でも多くのエンジニアに、自分らしく働いてほしいと願っています。そのお手伝いができれば幸いです。

著者紹介

竹内義晴

テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分がつらかった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場がつくれるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。ITmedia オルタナティブ・ブログの「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織づくりやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。



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