勉強会フリークからの脱出。“分かる”から“できる”へ仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(13)(2/2 ページ)

» 2011年06月01日 00時00分 公開
[竹内義晴特定非営利活動法人しごとのみらい]
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経営のことが“分かったつもり”のコンサルタント

 筆者自身、「分かったつもり」でずいぶん失敗をしてきました。恥ずかしいですが、その一例を紹介しましょう。

 筆者は、ITコーディネータという資格を持っています。資格の触れ込みは「IT経営を実現するプロフェッショナル」。資格の取得により、経営課題をさまざまな手法で分析し、課題を見いだし、ITを使って解決するための方法論を身に付けました。

 しかし、当時の筆者は起業していたものの、まだ経営というものを十分に体験していませんでした。まさに、「分かる」が「できない」状況です。それどころか、自分自身の仕事をどうすれば軌道に乗せられるのか、悩んですらいました。

 ですが、資格から見れば私は「コンサルタント」です。資格を取ったばかりのある日、知人の紹介で、ある中小企業の経営者に会いました。勉強した知識を試したかったこともあり、「私は経営とITの橋渡しができるプロフェッショナルです」と、勢い勇んで行きました。しかし、経営者の役に立つことは何もできなかったのです。

 もちろん、何もしなかったわけではありません。知識をベースに経営分析を行い、エンジニアとしてITの有効な使い方の話もしました。しかし、テキストどおりの経営分析が分かったところで、実際に経営したこともない人間に経営者の本当の課題が分かるでしょうか。経営者だからこそ抱える悩みやつらさに寄り添えるでしょうか。

 この失敗を最後に、筆者はコンサルタントと名乗ることをやめました。「分かる」けれど「できない」コンサルタントなど、何の役にも立たないと身をもって知ったからです。

 そこで、「まず自分自身が経営者として何らかの成果を出そう」「自信を持って提供できるものができたら、コンサルタントと名乗ろう」と思いました。まだまだ端くれですが、以前よりも少しは「できる」と言えることができたので、「今ならコンサルタントと名乗ってもいいかな」と思えるようになってきました。


 勉強会に参加してこれまで触れたことがない技術や人脈に触れると、知識が増えるうれしさと同時に、モチベーションも上がります。勉強してスキルアップをするのは素晴らしいことです。ぜひ、いろいろな勉強会に参加して刺激を受けてください。

 一方、いくら知識を身に付けても、実際に経験しなければ分からないことはたくさんあります。「理解して満足」で終わらせず、学んだことを実践する――これを徹底することが重要です。皆さんには、ぜひ「分かる」から「できる」に変わる喜びを知るエンジニアになってほしいと思います。

著者紹介

竹内義晴

特定非営利活動法人しごとのみらい理事長。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分がつらかった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場がつくれるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。ITmedia オルタナティブ・ブログの「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織づくりやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。



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