新シーズン開幕から約1カ月が経過したNBA(米プロバスケットボールリーグ)。表舞台でサムスンが派手なパートナー契約を結ぶ一方で、ゲームの舞台裏ではiPadが重要な役割を果たすようになっているという。
アップルがオリジナルのiPadをリリースしたのが2010年の3月。それからざっと3年半が経過し、現在ではさまざまなところでタブレット端末が使われるようになっている。
新シーズン開幕から約1カ月が経過したNBA(米プロバスケットボールリーグ)も例外ではなく、ゲームの舞台裏ではiPadがかなり重要な役割を果たすようになっている、という話を1つ紹介する。
The Wall Street Journal a month ago revealed that Samsung of South Korea signed a lucrative deal with the NBA worth a hundred million bucks to provide its tablets and TVs that referees will use to review close calls. It’s part of the Galaxy maker’s ongoing and massive advertising push which includes big name celebrity endorsements, event sponsorships, sports tie-ins and more.
But despite the partnership which moves Samsung into the valuable space so close to the action, Bloomberg is reporting today that NBA is still very much in love with their iPads and has produced a video explaining how NBA uses Apple’s devices to improve their games.
How NBA teams are using iPad to improve their game - iDownload
http://www.idownloadblog.com/2013/11/20/samsung-deal-be-damned-nba-is-still-loving-their-ipads/
では、上記の例文に出てきたキーワードとキーフレーズを見ていこう。
原文 | 訳 |
---|---|
reveal〜 | (〜を)明らかにする |
sign | 契約する |
lucrative | もうかる、大金が絡む |
close call | 判定が難しいプレイ |
endorsement | endorse(裏書きする、お墨付きを与える)の名詞形、エンドースメント |
(be)in love with 〜 | 〜と恋愛関係にある、〜にほれ込んでいる、〜を大変気に入っている |
improve | 質(もしくは内容)を高める、改善する、向上させる |
アップル対サムスン の「コートでの戦い」というと、この2年ほどは「法廷」(court)での特許をめぐる裁判が真っ先に思い浮かぶ。だが実はバスケットボールコートの周りでも、両社(の製品もしくはプラットフォーム)のつばぜり合いが繰り広げられているようだ。
10月下旬には、サムスンがNBAと推定総額1億ドルとされる複数年契約を結んだとWall Street Journal(WSJ)で報じられていた。契約内容は、専らプロモーション(広告)に関連するもので、試合中にコートサイド(テレビ中継のカメラに映りやすいところ)で使うテレビモニターやタブレットをサムスンが提供する。一方NBAからはサムスン製品限定でアクセスできるビデオコンテンツを供給する、といった施策が含まれているという。
NBAはこれまでも中国の家電メーカー、ハイアール、それにHPとパートナーシップを結んでいた。また韓国企業との提携についても、起亜自動車(Kia Motors)との先行例などがある(2011年のオールスター・ダンクコンテストでは、優勝したブレイク・グリフィン選手が自動車の上を飛び越えてシュートを決めるという荒技を披露していたが、この時に使われていたのも起亜のクルマだ)。
最近では、「世界で一番多くの広告費を使う企業」になったサムスンだが、2012年にはGalaxy Note IIのプロモーションで、現在のNBAを代表するスーパースター、レブロン・ジェームスを起用するなど、これまでに何度かバスケットボール関係者と手を組んだ経験がある。
なお、サムスンの昨年の広告費は、全世界で合計40億ドル以上に増加。今年は140億ドルに達するとの見方も出ている。それに対し、マイクロソフトの広告費は今年6月末までの1年間で26億ドル、アップルのそれは9月末までの1年間で11億ドル程度だ。
閑話休題。
サムスンが表側で派手な話題を振りまく一方で、肝心の選手やコーチ陣にとってはiPadが手放せない存在となっているという話が、先ごろBloomberg TVで流れていた。
iPadが手放せない存在になっている訳は、スポーツテック(Sportstec)という会社が提供するビデオデータベース/解析システムが、今のところiPad(iOS)にしか対応していないから。また「30チーム中28チームでこのシステムが採用され、選手やコーチ全員にiPadが配布されている」という説明からは、このシステムがほぼデフォルトとなっている気配も伝わってくる。
もっとも、サムスンの結んだパートナーシップが専らコンシューマーをターゲットにした施策であるのに対し、スポーツテックのシステムは、ある種の「B2B」商材ともいえ、その点ではかなりの違いがあるようにも思える。が、そういうことには配慮せず「サムスン対アップル」という対決の構図を描きたがる……メディアとは得てしてそんなもの、といえるかもしれない(下記記事の見出しもそんな例の1つ)。
スポーツテック幹部の話の中には、試合中の全攻防について「誰がシュートを決めたか」(外したか)だけでなく、「その時、他の選手がどこにいて、どうしていたか」など、ボールと人の動きを全て記録・解析する。しかもその解析作業をほぼリアルタイムで行う……などという説明も出てくる。その結果、各チームのコーチがハーフタイム中に前半戦の展開をチェックした上で戦術などを修正する(後半戦に備えて戦術を考える)、といったことが可能になっているそうだ。
このビデオでもう1つ目を引いた点は、米国代表チームのヘッドコーチ(HC)も務める強豪デューク大学のマイク・シャシェフスキー(Mike Krzyzewski、よく「コーチK」と呼ばれる)HCが、スポーツテックのシステムにお墨付きを与えている、というところ(Youtubeには、スポーツテックが製作・公開した下記のビデオもある)。
Bloomberg TVのビデオには、「このシステムに大学関係者で最初に関心を持ったのはコーチK」とあり、また「今年のNCAAトーナメント(全米大学選手権)で優勝したルイヴィル大学でも導入」などとあるから、プロに加えてカレッジレベルでもある程度導入が進んでいるとも想像される。
ただし、スポーツテックのシステムをまだ採用していない2チームが今シーズンそれぞれ好調なスタートを切っている。特にインディアナ・ペーサーズは今のところ勝率で首位タイに着けており、ダラス・マーベリクスの方も、開幕前の予想より健闘しているのは、ちょっと皮肉なところかもしれない。
上記の背景を踏まえて、冒頭の英文を少しずつ区切りながら読み解いてみよう。
[1] The Wall Street Journal (a month ago) revealed /
[2] that Samsung (of South Korea) signed a lucrative deal (with the NBA) worth a hundred million bucks /
[3] to provide its tablets and TVs that referees will use to review close calls. /
[4] It’s part of the Galaxy maker’s (ongoing and massive) advertising push /
[5] which includes big name celebrity endorsements, event sponsorships, sports tie-ins and more.
[6] But despite the partnership /
[7] which moves Samsung into the valuable space (so close to the action), /
[8] Bloomberg is reporting today /
[9] that NBA is still very much in love with their iPads /
[10] and has produced a video /
[11] explaining how NBA uses Apple’s devices (to improve their games).
[1] Wall Street Journalが(1カ月ほど前に)[2]を明らかにした
[2] (韓国の)サムスンが(NBAとの間で)1億ドルもの大金が絡む取引契約を結んだ
[3] (この契約締結により)サムスンは、審判が微妙な判定を見直す際に使うタブレットやテレビモニターを提供することになった
[4] この契約はGalaxyのメーカー(サムスンのこと)が展開している(現在進行中の、大規模な)広告キャンペーンの一部
[5](この広告キャンペーンの中には)、大物有名人によるエンドースメント、イベントのスポンサー、スポーツ関連のタイアップなどが含まれている
[6] そうした(巨額の契約料が絡む)提携にもかかわらず
[7] この提携により、サムスンは(試合にとても近いところ=コートサイドという)貴重なスペースを確保することになった
[8] Bloombergが本日伝えたところによると
[9] NBAは依然としてiPadが大好きで
[10] NBA(の各チーム)が試合内容を改善するためにAppleの端末を使っている、その様子を説明したビデオを(Bloombergは)制作・放映していた
文法など、全体に不明解な部分も目立つ文章なので、細かい点は気にせず読み飛ばそう。
では最後に、もう一度英文を読み直してみよう。
The Wall Street Journal a month ago revealed that Samsung of South Korea signed a lucrative deal with the NBA worth a hundred million bucks to provide its tablets and TVs that referees will use to review close calls. It’s part of the Galaxy maker’s ongoing and massive advertising push which includes big name celebrity endorsements, event sponsorships, sports tie-ins and more.
But despite the partnership which moves Samsung into the valuable space so close to the action, Bloomberg is reporting today that NBA is still very much in love with their iPads and has produced a video explaining how NBA uses Apple’s devices to improve their games.
1. サムスンとNBAとの提携契約(合意)を報じたのはどの媒体ですか?
2. サムスンがNBAに提供することになったというタブレットやテレビは、誰がどんな場面で使うものですか?
オンラインニュース編集者。「広く、浅く」をモットーに、シリコンバレー、ハリウッド、ニューヨーク、ワシントンなどの話題を中心に世界のニュースをチェック。「三国大洋のメモ」(ZDNet)「世界エンタメ経済学」(マイナビニュース)のコラムも連載中。
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