Gmailでメールを一元管理するには、新着メールや送信メールだけではなく、過去に受信したメールもGmailに集約すべきだ。PCのメーラーを利用してGmailに過去のメールを移す方法を解説する。
前回は、メール送信をGmailに集約するために、送信時の差出人を「〜@gmail.com」以外のメールアドレスに変更する方法を説明した。ここまでの連載でメール送受信についてはGmailに集約できるようになったので、最終回の今回は、過去に受信してアーカイブなどに保存したメールをGmailに移行・集約する方法を説明する。移行する際には、Windows上で利用できるメーラー(メールクライアント)を利用する。第2回(新着メールの集約)や第3回(送信メールの集約)と同様、原則としてスマートフォンではできない(あるいは効率が非常に悪い)作業であることを留意していただきたい。
過去に受信したメールが保存されている場所としては、移行元メールサーバー上のメールボックスか、あるいはPCのメーラーに管理されているローカルのメールボックスに大別できるだろう。例えばWebメールだけ利用している場合は前者に該当するだろう。しかし、どちらの場合でも、メーラーの機能を利用すると下図のようにGmailへメールを移動(コピー)できる。
PCにインストールしたメーラーを使って過去のメールを移行するつまり、ローカルのPCにインストールしたメーラーを使って過去メールのサーバーとGmailの2カ所へ(同時に)接続し、メーラーの持つコピー機能を使って、旧メールをGmailのサーバーへコピーすればよい。具体的な作業手順は次の通りだ。
移行したい過去のメールがメーラーにダウンロード済みであれば(ローカルのPCにメーラーがインストール済みなら)、すぐにメーラーからGmailへの接続作業に移ることができる(その手順は後で説明する)。しかし、移行元メールサーバーのメールボックスに保存されている場合は、まず何らかのメーラーをPCにインストールして移行元のメールサーバーに接続する必要がある。その手順はメーラーとメールサーバーの種類によって千差万別なので、本稿では詳しく説明しない。ISPのメールサーバーであれば、下表のようなサポート情報からメーラーの設定方法を確認できる。企業のメールサーバーであれば、その管理者に確認していただきたい。
| ISP/通信キャリア | PCのメーラーとの接続方法を解説しているページ |
|---|---|
| au one net(KDDI) | http://www.au.kddi.com/ support/internet/guide/mail/ |
| BIGLOBE | http://support.biglobe.ne.jp/ settei/mailinfo/#mailsettei |
| eo光 | http://support.eonet.jp/setup/mail/ |
| JCOM(ZAQ)(東京エリア) | http://faq.myjcom.jp/ 1001/faq_list.html?page=1&category=1276 |
| @nifty | http://www.nifty.com/mail/mailer/index.htm |
| NTTドコモ | https://www.nttdocomo.co.jp/ service/docomo_cloud/docomo_mail/function/other/index.html |
| OCN | http://tech.support.ntt.com/ ocn/mail/support/setup/index.html |
| So-net | http://faq.so-net.ne.jp/ app/answers/detail/a_id/2066 |
| Yahoo Japan | http://www.yahoo-help.jp/ app/answers/detail/a_id/47648/p/565 |
| ぷらら | IMAP4: http://www.plala.or.jp/ support/manual/mail/plala_mail/standard/setup_imap/ POP3: http://www.plala.or.jp/ support/manual/mail/plala_mail/standard/setup_pop3/ |
| 主要なISP/通信キャリアのメーラー接続設定の解説ページ(2014年5月時点) | |
メーラーの選択という点では、この後でGmailとIMAP4で接続する必要があるので、IMAP4に対応するメーラーを選ぶこと。無償で利用できるWindowsおよびIMAP4に対応のメーラーのダウンロードページを以下に記す。なお、Windows Liveメール2012のインストール方法については、「Outlook Express → Windows Liveメール2012移行ガイド」が参考になる。
移行元メールサーバーとの接続プロトコルにも注意が必要だ。もしWebメールで受信箱(受信トレイ)以外のフォルダーに過去のメールを保存している場合、メーラーとメールサーバーとの接続プロトコルにはIMAP4あるいはActiveSyncを選択する。原則として、POP3では受信トレイ以外のフォルダーを参照できないからだ。この場合、当然ながら、選択するプロトコルに対応するメーラーを用意する必要もある。特にActiveSync(Exchange ActiveSync)対応のメーラーは、Windows Liveメール2012やMicrosoft Outlook 2013など選択肢が限られるので、前述のサポート情報などをよく確認していただきたい。
受信トレイだけにメールを残しているなら、移行元メールサーバーとの接続プロトコルはPOP3でよい。メーラーからメールサーバーへの接続に成功したら、メールをメーラーにダウンロード(取得)しておくこと。
PC上のメーラーから移行対象のメールにアクセスできるようになったら、次はGmailに接続できるようにする。
GmailではデフォルトでIMAP4による接続を許可していない(無効化されている)。そこで、まずはGmailの設定を変更してIMAP4を有効化する。
Gmailの設定画面でIMAP4を有効化するGmail側でIMAP4を有効化したら、PCのメーラーで、新たなメールアカウントを追加するためのウィザードを起動する。主要なメーラーはGmailを認識して自動的に設定してくれることが多い。実際に筆者が試したところ、Windows Liveメール2012とOutlook 2013、Thunderbird 24、Becky!2については、Gmailのメールアドレスとそのパスワード、表示名(自身の氏名)という最低限のパラメーターを指定するだけで、自動的にIMAP4での接続設定が完了した。
Windows Liveメール2012にGmailのアカウントを追加する
Outlook 2013にGmailのアカウントを追加する
Mozilla ThunderbirdにGmailのアカウントを追加するもし自動的に設定されない場合は、下表を参考にメールサーバー名などを手動で設定していただきたい。
| 設定項目 | 設定内容 |
|---|---|
| 受信メールサーバー名(IMAP4サーバー) | imap.gmail.com |
| IMAP4ポート番号 | 993 |
| IMAP4でSSL/TLSを使用する | ○(有効にする) |
| 送信メールサーバー(SMTPサーバー) | smtp.gmail.com |
| SMTPポート番号 | 587または465 |
| SMTPでSSL/TLSを使用する | ○(プロトコルの種類を選択できる場合は、ポート番号に合わせて選ぶ。すなわち587番なら「TLS」「STARTTLS」、465番なら「SSL」とする) |
| 送信サーバーに対して認証が必要 | ○(有効にする) |
| ユーザー名またはアカウント名、ID | *****@gmail.com |
| パスワード | 上記のGoogleアカウントのパスワード(2段階認証を有効にしている場合はアプリケーションパスワード) |
| ゴミ箱のパス | [Gmail]/ゴミ箱 |
| 下書きフォルダーのパス | [Gmail]/下書き |
| 送信済みフォルダーのパス | [Gmail]/送信済みメール |
| アーカイブフォルダーのパス | [Gmail]/すべてのメール |
| 迷惑メールフォルダーのパス | [Gmail]/迷惑メール |
| IMAP4でメーラーからGmailに接続する際のパラメーター もしメーラーが自動的にGmailとの接続設定をしてくれない場合は、上記のパラメーターを適切に設定する。ただしゴミ箱などのフォルダーのパスについては、未設定でもメールの移行は可能だ(メーラーによってゴミ箱がもう1つ作成され、そちらに削除済みメールが移動され、Gmail本来のゴミ箱には移動されない、といった現象が発生する)。 | |
なお、Googleアカウントの2段階認証を有効にしている場合、Googleアカウントのパスワードではなく、アプリケーションパスワードを生成してメーラーに指定する必要がある。Googleの2段階認証については次の記事を参照していただきたい。
2段階認証が有効ならアプリケーションパスワードの発行が必要接続設定が完了すると、メーラーからGmailのメールボックスの各フォルダーを参照できるようになる。
Gmailとの接続設定が完了した後のWindows Liveメール2012Gmailとの接続設定が完了したら、メーラーのフォルダー間でメールをコピーする機能を利用して、移行元からGmailへメールを移行する。以下では、Windows Liveメール2012を例に説明するが、ThunderbirdやOutlookでも他のメーラーでも操作手順はおおよそ共通だ。
まずメーラー上で移行元のメールボックスにアクセスし、移行したいメールを保存してあるフォルダーを開く。これはPC上のローカルなフォルダーでも、移行元メールサーバー上の(リモート)フォルダーでもよい。
次に、移行したいメールを選択する。複数選択するには[Ctrl]キーや[Shift]キーを押しながらクリックしていく。[Ctrl]+[A]キーを押せば全て選択できる。選択したメールを右クリックし、[フォルダーにコピー]を選ぶとコピー先のフォルダーを選ぶダイアログが表示される。[フォルダーへ移動]を選べば「移動」すなわち移行元のフォルダーから選択したメールを削除できるが、万一移動に失敗したりした場合などに備えて、ここではコピーを選ぶことをお勧めする。あとは、コピー先フォルダーを選択して[OK]ボタンを押せば、メールのコピーが始まる。
Windows Liveメール2012で移行元から移行先へメールをコピーする(その1)
Windows Liveメール2012で移行元から移行先へメールをコピーする(その2)あとは、移行したいフォルダーごとに上記の操作を繰り返せばよい。
コピーにかかる時間は各メールサーバーの性能やインターネット接続速度などによって左右される。筆者が試したときには、Outlook.com(Exchange ActiveSync接続)からGmailへ500通のメールをコピーし終わるのに約20分かかった。
本連載では、新着メールと送信メール、過去の受信メールを従来のISPや企業のメールサーバーからGmailへ移行・集約する方法を説明してきた。本連載が読者諸兄のメール環境をより使いやすく変えていくために少しでも役に立てば幸いである。なお、アドレス帳の移行方法やメール集約後のスマートフォン/タブレットによる活用方法については、Windows TIPSなどで個別に説明していく予定だ。
■この記事と関連性の高い別のWindows TIPSほか
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.