ロジックツリーは文字通り、木の形を横に描いた図です。一番左に問題の「根」を書き、右方向に「幹」「枝」「葉」といった具合に思考の要素を分解していきます。でき上がったロジックツリーを見ると、自分でも簡単にできると思いがちですが、実際にやってみると、意外と難しいことに気付くはずです。特に、思考の粒度に応じて「幹」「枝」「葉」にうまく分類できなかったり、細かな点に注視するあまり、「幹」の部分を見落としてしまったりするケースが多いのではないでしょうか。
ロジックツリーをうまく描くポイントは、末端の要素を考えることなく、まずは幹をしっかりと考えること。
上記の例で言えば、「社内vs社外」以外にも、「開発部門vs利用者部門」「業務時間中vs平日夜間vs休日保守中」など、偏りがないよう考えていきます。幹も枝も偏らないように、かつ漏れがないように考慮し、また全体を見渡して、重複しないようにチェックします。「幹」の部分を適切に決められるようになるためには、実際に何度もツリーを書き、実践の中でコツを身に付けていく必要があります。
ロジックツリーで適切に図解できるようになると、漏れや重複を正確に検証しやすくなります。言い換えると、先に述べた「MECEであるかどうか?」が検証しやすくなり、論理的に考えをまとめ上げられるようになるのです
チーム内の意思疎通も、このロジックツリーを使ってMECEの考え方にのっとって議論を進めると、論点のずれを防止できる他、互いの意見の一致している部分、ぶつかっている部分を明確化しつつ、話し合いを進められます。アイデアの漏れやダブりも防ぐことができます。
前述のように最初は難しく感じるかもしれませんが、ロジックツリーには大きな効果が期待できます。ぜひ実践してみてください。
次回は、演繹法(えんえきほう)や帰納法で根拠を明確にする方法を解説します。
上村有子
エディフィストラーニング インストラクター。外資SIer、証券会社を経て2000年に野村総合研究所入社。現在、情報化戦略、コンプライアンス、ビジネスコミュニケーション領域のコース開発、講師。専門分野はBA(ビジネスアナリシス)、コミュニケーション。
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