Windows OSにActive Directoryドメインユーザーとしてサインインし、さらにMicrosoftアカウントに関連付けておくと、同じMicrosoftアカウントでサインインした複数のPC間でシステムの設定を同期できる他、設定のバックアップとしても利用できる。
対象OS:Windows 8.1/Windows 10
Windows 8.1やWindows 10でシステムにサインインする場合、ローカルのユーザーアカウントではなく、Microsoftアカウントを使ってサインインすると、複数のWindows PC間で設定を自動的に同期させることができる。
同期可能な項目としては、Windows デスクトップのテーマやデザインなどの「個人設定」、Webサイトやネットワークに接続する際のユーザー名やパスワード、Webブラウザのお気に入りや履歴、スタート画面やWindowsストアアプリの一覧などがある。
ユーザーがカスタマイズした項目の情報はMicrosoftアカウントに関連付けられているインターネット上のストレージに保存され、サインインやサインアウト時に自動的に同期処理が行われる。OneDriveのようなクラウドストレージなども併用すると、設定だけでなく、ユーザーのドキュメントファイルなども簡単に共有/アクセスできる。
このMicrosoftアカウントを使ったサインインと同期機能は、ローカルアカウントを利用している場合だけでなく、Active Directoryドメイン環境(Active Directoryドメインアカウント)でも利用できる。
この場合は、最初にドメインアカウントでシステムにサインイン(ログオン)するので、通常のActive Directoryのサービス(認証など)は全てそのまま使える。さらにMicrosoftアカウントを使った各種設定項目の同期機能も同時に有効になる(Active DirectoryドメインアカウントはProかEnterprise、Educationエディションでのみ利用可能)。
たとえ社内でしかPCを使わない場合でも、複数PC間で設定をそろえたり、(障害発生に伴う)再インストールやフルリストア後の環境復旧なども容易になる。
また、1つのMicrosoftアカウントをドメイン参加のPCと非ドメイン(ワークグループ構成)のPC間で共用してもよいので、例えば会社と自宅のPC間で設定を統一する(いわゆる「BYOD」のような運用)、といったことも可能だ(ただしセキュリティには十分注意して運用すること)。
本TIPSでは、Active Directoryドメインアカウントのまま、Microsoftアカウントによる同期機能を利用する方法、つまり「Active DirectoryドメインアカウントをMicrosoftアカウントに追加する(関連付ける)」方法を解説する。
なお作業に必要なMicrosoftアカウントの概要や作り方については以下の記事を参照していただきたい。
Active Directoryドメインアカウントでサインインしつつ、Microsoftアカウントも利用するには、まずドメインアカウントでサインインしてから、Microsoftアカウントを「追加する(Windows 10の場合)」か、「関連付け(Windows 8.1の場合)」する。それぞれ操作方法が異なるので、分けて解説する。
■同期機能の有効化
Windows 10のActive Directoryドメイン環境で同期機能を使うためには、まず通常通りドメインのアカウント(「<ドメイン名>\<ユーザー名>」)とそのパスワードでWindows 10にサインインする。Domain Adminsグループのような管理者権限のあるアカウントではなく、通常のDomain Usersグループに属する一般ユーザーアカウントでもよい。
そして[スタート]メニューから[設定]アプリの[アカウント]画面を開き、右下に表示されている[Microsoftアカウントを追加]のリンクをクリックする。
(4)の[Microsoftアカウントを追加]クリックすると、追加するMicrosoftアカウントの入力画面が表示されるので、利用したいMicrosoftアカウント名(メールアドレス)とパスワードを入力して[サインイン]をクリックする。
正しくサインインできると、アカウントの設定画面には次のように[確認する]というリンクが新しく表示されるので、これをクリックして、PCの認証(登録)を行う。
(1)の[確認する]をクリックすると、Microsoftアカウントの認証画面が表示されるので、指示に従って認証を受ける。どのような方法で認証するかは、Microsoftアカウントの作成時にユーザーが選択・設定しているはずだ。
以上でMicrosoftアカウントの追加作業は終了である。正しく確認できると次のように、ドメインアカウントと追加されたMicrosoftアカウントが表示されているはずである。
後は同期させる項目を設定したり、OneDriveやメールアカウントを設定したりする。
■同期する項目の設定
Microsoftアカウントで同期する項目は、アカウントの設定画面の左側にある[設定の同期](上の画面の(4))で制御できる。
設定をオンにすると、そこに含まれる設定項目が全てのPCで同期されるので、場合によってはトラブルの原因となることがある。
例えばWebブラウザのホームページを会社のイントラネット固有のページに設定しておくと、自宅のPCでも同じ場所を表示しようとして(通常は)エラーとなるだろう。そのような場合は、ホームページはどこからでもアクセスできる場所にしておき、お気に入りバーに登録したリンクなどからイントラネットを呼び出すようにするなどの工夫が必要になる。
何を同期させるか、よく考えて設定していただきたい。
■同期機能の無効化
Microsoftアカウントとの関連付けを解除して、同期機能を完全に無効化するには、先ほどの[アカウント]画面右下に表示されているMicrosoftアカウント名をクリックする。すると[削除]というボタンが表示されるので、それをクリックして削除する。
■同期機能の有効化
Active Directoryドメイン環境で同期機能を使うためには、まず通常通りドメインのアカウント(「<ドメイン名>\<ユーザー名>」)とそのパスワードでWindows 8.1システムにサインインする。Domain Adminsグループのような管理者権限のあるアカウントではなく、通常のDomain Usersグループに属する一般ユーザーアカウントでもよい。
そして設定チャーム([Windows]+[C]キー)から[PC設定の変更]を開く。すると[PC設定]の画面が開くので、[アカウント]という項目をクリックして、現在のサインインアカウントの情報を確認する。
この画面にある[Microsoftアカウントに関連付ける]をクリックすると、次のような関連付けする項目の選択画面が表示されるので、適切なものを選択する。
デフォルトでは、[スタート画面]と[アプリ(インストールしたアプリの一覧)]以外が選択された状態になっている。PCごとにインストールされているアプリケーションは異なるだろうから、これらはオフでよいだろう。設定確認後、[次へ]をクリックする。
次の画面では、関連付けるMicrosoftアカウントを指定する。
[次へ]をクリックすると、入力したMicrosoftアカウントが正しいかどうかの確認画面が表示されるので、指示に従って認証を受ける。どのような方法で認証するかは、Microsoftアカウントの作成時にユーザーが選択・設定する。
[次へ]をクリックするとセキュリティコードの入力画面が表示される。同時に、あらかじめ登録したメールアドレスへセキュリティコードが送信されたり、あるいは登録した電話番号へショートメッセージや音声でコードが送信されたりするので、コード(数桁の数字)を受け取って画面に入力する。
正しいセキュリティコードを入力すると、OneDriveの設定画面が表示される。
次は最終確認画面が表示されるので、[接続]をクリックして関連付け作業を完了させる。
[接続]をクリックするとMicrosoftアカウントへの関連付け作業が行われる。処理が完了すると次のような結果画面が表示される。
以上で関連付け処理は完了である。後はいつもの通り、ドメインアカウント(「<ドメイン名>\<ユーザー名>」)とそのパスワードを使ってサインアウトやサインインを行えばよい。ローカルアカウントをMicrosoftアカウントに切り替えた場合と異なり、サインインは元のドメインアカウントとそのパスワードを使って行う。
同じMicrosoftアカウントを共有するいずれかのPCでサインアウトするとその設定がクラウド上に保存され、次回サインインすると、その設定が再現される。
■同期する項目の設定
Microsoftアカウントで同期する項目は[PC設定]の画面にある[OneDrive]−[同期の設定]で制御できる。
■同期機能の無効化
Microsoftアカウントとの関連付けを解除して、同期機能を完全に無効化するには、[PC設定]の[アカウント]−[お使いのアカウント]で[関連付けを解除する]をクリックする(先の画面参照)。
■更新履歴
【2016/07/06】Windows 10に対応して内容を更新しました。
【2014/09/05】初版公開。Windows 8.1対象。
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