他に、「World Outliner」内を見ると、「Atmopsheric Fog」という項目がある。これは「フォグ」と呼ばれ、大気中における光の反射といったものを設定する。ちょっと分かりづらいので、実際に設定して見ていこう。
「Atmopsheric Fog」の詳細タブには図10のような設定項目がある。
項目が多いので全てを解説しないが、「Sun Multiplier」と「Distance OffSet」の2点について解説しておく。要は値を多くするか、少なくするかして、空の風景がどのように変化するかを確認するだけなので、他の項目については各自が試してみてほしい。各項目の詳細については下記のURL(英語)を参照してほしい。
「Sun Multiplier」は、値を大きくすると空の青さが薄くなり、値を小さくするほど空の青さが濃くなり澄んで表示されるというものだ。では、「Sun Multiplier」の値を「10.0」に設定してみよう(図11)。
値を大きくした分、少し空が澄んでいるように見える(下図)。
「Distance OffSet」は空の暗さを設定する値だ。
ここでは、値の違いによる変化を分かりやすくするために、マウスの右ボタンクリックでビューポートを移動させて太陽を表示させた。この時点では「Distance OffSet」の値は「0.0」になっている(図12)。この値を大きくすると、青空から暗い空に変化する。
「Distance OffSet」の値を「500.0」と指定してみた(図13)。
ここからは、「スカイ」を操作して夕暮れ時を演出してみよう。4.7より前のバージョンのUnreal Engineでは、「Directional Light(太陽)」を配置して、太陽の光源の向きを傾けることで容易に夕暮れ時の背景を作成できたのだが、4.7からは「Light Source(平行光源)」を使用するようになっているようだ。
ただ「Light Source」は、「World Outliner」内の「タイプ」を見ると「DirectionalLight」と明記されているので、もともとは4.7以前の「Directional Light」と同じものと思われる。ここからは、その手順を解説しよう。
まず、「モードパネル」の「全てのクラス」内にある「カメラ」を配置する。「カメラ」の「詳細」の「Auto Activate for Play」に「Player 0」を選択することを忘れないようにしてほしい。すでに「カメラ」を配置している場合は、配置している「カメラ」で設定を行うといい。
「回転ツール」や「移動ツール」を使って、「CameraActor」内に図14のように表示されるよう配置する。
また、「World Outliner」内の「Sky Sphere」を選択して、「詳細」から「Default」の「Cloud Opacity」に「2.0」と指定して、雲の量を多くしておく。
次に「World Outliner」から「Light Source」をダブルクリックする。「Light Source」が選択されるので、「回転ツール」で図15のような光源の向きにする。
この状態でビルドを実行すると、画面が図16のように変化する。
この状態で、「ツールバー」の「プレイ」を実行すると、動画4のように表示される。雲がゆっくりと流れているところも確認できるだろう。一応、空は夕暮れ時の空の色に代わり、「コーン(円錐)」に当たる太陽の光線も傾いている。
ここで気を付けねばならないのは、「Light Source」の光源の向きを変えた後は必ずビルドを実行しないと、結果が反映されないということだ。
最後に、Unreal Engine 4メニューから「保存」をクリックして「LightSourceSample」という名前で保存しておこう。
今回は、これで終わりだ。Unreal Engineも、バージョンが上がるたびにメニューや処理の方法が少しずつ異なっている。筆者も試行錯誤しながら、この原稿を書いている。読者の皆さんも、いろいろと開発環境を触って、まずはUnreal Engine 4の画面に慣れることが第一番になすべきことだと思う。
次回は、Textureを使ったMaterialの作成方法を解説する。お楽しみに。
薬師寺国安事務所代表。Visual Basicプログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。
1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット「PROJECT KySS」を結成。
2003年よりフリーになり、PROJECT KySSの活動に本格的に参加。.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。
Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindowsストアアプリを多数公開中。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。
Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。
Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。
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