じぶん観察力は「生まれ持った資質」ではありません。今からでも身に付けられます。
「自分は今、これが正しいと思っているけれど、なぜ、これを正しいと思っているのだろう?」と「考え」を振り返ったり、「自分は今、目の前の出来事にイラっとしているけれど、何がイラっとさせるのだろう?」など、感情が発生した「理由」を振り返ったりすることを意識し、習慣にすると、自然と身に付きます。
けれども、「意識する」と言っても、すぐには習慣にできないかもしれません。そこでオススメなのが「思ったり感じたりしたことを記録する」手法です。具体的に「行動」し「目に見える」形にすると、習慣化しやすくなります。記録媒体は、私は紙のノートを使っていますが、スマートフォンのメモアプリなどでもいいでしょう。
記録には他にもメリットがあります。自身の考えや感情を書き出すと、「自分の考えを目で見る」ことになり、考えや感情に外側から「客観的に触れる」ことになります。細かな感情変化を記録すると、「感情が発生するパターン」に気付くこともあります。
普段、大ざっぱに捉えている感情への理解が深まるでしょう。
心穏やかに働きたいと願っているエンジニアにとって、ネガティブな感情は「できれば、関わりたくない存在」かもしれません。だから、「出さない」感情コントロールが一般的だったのでしょう。
しかし、バグを未然に防ぎ良好なシステムを開発するためには、変化に気付き、必要な対処をすることが大切です。同様に、心穏やかに働くために大切なのは、発生している感情に気付くことです。感情に気付くからこそ、必要な対処ができるのです。
次回(4月14日掲載)は、5段階感情コントロールの2番目、ネガティブな感情を「受け入れる」についてお話しします。
竹内義晴著 すばる舎 1566円(税込み)
自分の「感情スイッチ」を探し、より実践しやすい感情スイッチの切り替え方を、[気付く→受け入れる→鎮める→切り替える→活かす]の5つのステップで紹介していく
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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