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» 2017年08月28日 05時00分 公開

フラッシュを知り尽くした男が語る、ビジネスを変革できるエンジニアの条件とはGo AbekawaのGo Global!〜Matt Kixmoeller編(2/3 ページ)

[取材・文:阿部川久広(Go Abekawa), 構成:翁長潤,@IT]

MITの専攻は「化学工学」

阿部川 少し話を戻して、キックスモーラーさんのご経歴についてお伺いしたいと思います。現在お幾つでいらっしゃいますか?

キックスモーラー氏 41歳です。

阿部川 お若いのですね。MITを卒業されたとのことですが、ご専門は何でしたか?

キックスモーラー氏 意外と思われるかもしれませんが「化学工学」です。実はMITに入学した当時は、将来これをやりたいという確たる思いはありませんでした。そこで一番興味があった化学工学を選びました。

 しかし、そのころはいわゆる第一世代のインターネット技術が広まった時期であり、1990年代の終わりにはそれが大きなテクノロジーのムーブメントになっていました。当然、就職に際してもITの中心地であり、私の地元でもあるカリフォルニア州で就職口がないかと思いました。そう考えていた矢先に、幸運なことに大学でIT関連を専門にしていた友人がカリフォルニアで起業することになり、一緒にやることになったのです。

阿部川 それが「Centrata」という会社ですね。これは何をする会社でしたか?

キックスモーラー氏 ピアツーピア(P2P)のコンピューティング技術を提供する会社でした。Centrataの考えは少し先を行き過ぎていたかもしれません。何社かの大手企業がクライアントになってくれましたが、残念ながら経営としてはあまりうまくはいきませんでした。

阿部川 その後、「Veritas」に入社したのですね。

キックスモーラー氏 これからはストレージ分野が伸びるだろうし、大変面白そうだと思って入社しました。Veritasでは入社当初、バックアップ分野を担当しました。これがとてもラッキーなことでした。

 というのも、当時の技術の潮流は、テープ技術をベースにしたバックアップから、ディスク技術を用いたストレージへと移行するタイミングだったからです。そのときは小さな市場でも、将来的には大きな市場に成長していくことが明白でした。

 ですから、フラッシュがメインストリームの技術に移行してきたとき、まるで昔見た同じ映画をもう一度観ているような気がしました。後にPure Storageに入り、現在のような大きな転換期にその中心で仕事ができることは大変幸せなことだと思っています。

 この転換を大きな市場創造のチャンスと捉えて、また「純粋(Pure)にフラッシュストレージの技術を市場に提供する」という意味も込めて、Pure Storageは設立されました。

実現不可能なアイデアでも顧客に強く提案できた理由

阿部川“Go”久広

阿部川 そして6番目の社員としてPure Storageに入社されるわけですね。当時は人数も少なかったでしょうから、製品に込めた理念は正しくても、現実的に、それだけでは会社は経営できなかったのではないでしょうか? 毎日、どのようなことを行っていましたか?

キックスモーラー氏 最初の1〜2年の私の主な仕事は、潜在的な顧客企業に1社でも多く面談し、フィードバックをたくさんもらうことでした。それはとても楽しい経験でした。というのも多くの顧客は、当社の持つストレージのアイデアは実現不可能だと思っていたからです。

 Pure Storageが成功した要因の一つは、最初の段階から妥協案は顧客に推奨せず、「とにかくフラッシュを信じてください、どうぞ信じて、思い切って崖から飛び降りてください」といって、このテクノロジーに全幅の信頼を置いて顧客に強く推奨したことです。そのようにフラッシュを推進した企業は、当時はPure Storageだけでした。それがかえってよかったのだと思います。

阿部川 現在Pure Storageは設立から約8年が経過し、キックスモーラーさんは副社長という要職に就いておられるわけですが、御社のキーワードのようなものは不変であり、それらはシンプルであること、そして「Evergreen(常緑=常に最新)」であることなどがあると思います。これら以外に、常に意識しておられる、他社との差別化のキーワードはありますか?

キックスモーラー氏 技術的には、ソフトウェアの面でも、ハードウェアの面でも常に「革新」を目指しています。その2つを最適に統合するという意味も含まれています。

 当社では、フラッシュ技術だけで構築されたデータセンターを究極の目標にしています。これはすぐに実現できるものではありません。当社のミッションは、顧客がデータを問題なく利用できるよう、ソリューションを提供し続けることです。そのためにはフラッシュのパフォーマンスを常に追求し続けることが大切だと思っています。

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