長時間労働が習慣化しやすいIT業界。部下や同僚を過労死させない、そして自分が倒れてしまわないために、エンジニアや管理職は何をすればよいのだろうか。IT訴訟事例を解説する本連載、今回は「エンジニアの過労死」が争われた判例を解説する。
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先日、「新国立競技場の建築現場で働いていた若手社員が、長時間の残業に耐えかねて自ら命を絶つ」という残念な事件があった。大手広告代理店に勤めていた女子社員が自殺してしまった事件もまだ記憶に新しい。ご本人はもちろん遺族の方々の悲しみはいかばかりかと思う。
長時間残業が恒常化している過酷な労働といえば、IT企業はその典型のようなところである。私も若いころは常時130時間程度の残業をしており、200時間を超えることも少なくなかった。
今はさすがにそこまでの会社は少なくなったと思うが、それでも他の業界と比べて労働時間の長さはトップクラスではあるまいか。自殺までいかなくても、過労が原因で入院したというエンジニアやプロマネの話はよく聞くし、この連載でも以前に、顧客の高圧的な態度と長時間の作業でプロマネが入院してしまったプロジェクトの例を紹介したことがある。
IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回は「IT開発の現場で体調を崩し、亡くなってしまった従業員の過労死が認められるか」が争われた裁判を紹介する。
普段とは異なるテーマだが、IT業界の発展のため、そして何より、IT業界で働くエンジニアがこんな不幸に巻き込まれないために、あえて取り上げることにした。
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