愛媛編:中予においでんか、南予にきさいや――地方との相性問題を考えるITエンジニア U&Iターンの理想と現実(29)(2/4 ページ)

» 2017年09月22日 05時00分 公開

中予地方、松山市の「産業」〜アート、教育、研究の拠点〜

 東予地方がモノ寄りでメカニックなイメージであるのに対し、中予地方は、教育、文化、観光、商業といった“ヒト”寄りだ。いろいろな産業があるので、移住後の仕事の幅が広がるに違いない。

 1つ目の仕事は「クリエーター」。

 松山市は、文化的なコンテンツの発信地だ。夏目漱石や正岡子規にちなんだイベントがしばしば開催される。2017年は、俳句イベント「俳都松山宣言2017」が行われる。道後温泉では、アートの祭典「道後オンセナート」が開催され、数十人のアーティストが作品を展示するという。

 VRなどの最新技術を生かせる資産が無尽蔵にあるので、「アート×IT」の可能性があるといえよう。

 2つ目は「研究開発」である。

 愛媛大学には、工学部、理学部、医学部、農学部があり、理系のイベントがしばしば開催されている。研究者の仕事に触れ、実務者とは異なる視点を知ることは、学術都市ならではのメリットだ。研究開発型のエンジニアなら、開発テーマには事欠かないだろう。

 3つ目は「企業への就職」だ。一般企業の技術部門で働けば、異なる分野の知識と経験を得られる。

 愛媛県は、UIJターン(※)の推進事業に取り組んでおり、県外学生のUターン就職促進事業「保護者のための就活セミナー」やUターン就職希望学生と若手社会人との交流会「マツヤマカフェ」などを開催している。

※ UIJターン=Uターンは出身地に戻ること。Iターンは出身地以外の地方に移住すること。Jターンは出身地近くの地方都市に移住すること

中予地方、松山市の「暮らし」〜充実、安定の生活基盤〜

 松山市には、愛媛県唯一の空港がある。定期的に上京したい向きには大きな評価ポイントだろう。松山―東京間のフライトは1時間半で、日帰りが可能だ。

 中心部には、幼稚園、公立小中高、大学、大学院までの教育機関が、徒歩圏内にまとまっている複数の基幹病院があり、AEDもそこかしこに設置されている。子ども、子育て支援新制度が進んでおり、郊外にも施設がある。家族連れも安心して移住できるだろう。

 特筆すべきは、生活コスパの良さだ。物価が日本一安いという説もある松山市。食品は県内の美味がそろい、ネットスーパーも便利だ。

 賃貸物件の家賃も安い。学生向け物件の多いことが、その一因だろう。単身者の移住には最適だ。市中心部には、レンタルのソーシャルオフィスもでき始めている。スタートアップ移住も考えられるだろう。

 松山市は、安定した生活基盤でITエンジニアの仕事を支えてくれる。都会での競争に疲れたら、ぜひ松山へ。

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