君の名は? 未来に再会したときに気付くかな――Windows/Officeにおけるサービスオプション名の変更その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(93)(1/3 ページ)

Microsoftは自社製品や技術、機能の名称変更の理由を「ユーザーからのフィードバックに基づいて」「よりシンプルに」「より分かりやすく」と説明します。この言葉を目や耳にしたとき、筆者は少し警戒します。なぜなら、そうは思えないことが多々あるからです。英語表現なら分かりやすいのかもしれませんが、日本語環境となると……。

» 2017年09月26日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

連載目次

Windows 10のサービスオプションはシンプル? それとも複雑?

 Windows 10は「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」という概念に基づいて、以前よりも短いサイクルでアップグレード(「機能更新プログラム」という名前で)され、新しいバージョンに更新されていきます。

 一方、Windows 10は「最後のバージョン」として登場しましたが、このうたい文句(最後の……)と実際の違いは、一部の利用者(もしかしたら大部分の利用者)にとって、非常に分かりにくいものなのではないでしょうか。

 Windows 10では、新しいバージョンが通常の更新プログラムと同様、Windows Updateを通じて配布されます。Windows 10初期リリースと次のNovember Update(バージョン1511)までは、新しいバージョンの更新プログラムを「機能アップグレード(Feature Upgrade)」と表記し、Windows Updateの詳細オプションにある「機能アップグレード(Feature Upgrade)」の設定で延期(既定4カ月)することができました。

 Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)から、新しいバージョンの更新プログラムを「機能更新プログラム(Feature Update)」と表記するようになり(これに対して、通常の更新プログラムは「品質更新プログラム(Quality Update)」と表記)、Windows Updateの詳細オプションの設定も「機能の更新を延期する(Defer feature updates)」に表記が変更されました。

 そして、Windows 10 Creators Update(バージョン1703)のWindows Updateの詳細オプションでは「Current Branch」(既定)なのか「Current Branch for Business」なのか、機能更新プログラムをいつ受信するのかを決定する「ブランチ準備レベル(Branch Readiness Level)」を選択(宣言)する設定に変更されています(画面1)。なお、「グループポリシー」や「ローカルポリシー」によるブランチ準備レベルの宣言は、Windows 10 バージョン1607からの機能です。

画面1 画面1 Windows 10 バージョン1703からは、Windows Updateの詳細オプションで「ブランチ準備レベル」を選択(宣言)する方法に変更

 Windows 10のWindows Updateに行われてきたこれらの変更は、“ユーザーのフィードバック”や“分かりやすさ”のためというよりも、「事実上のアップグレードインストール」を通常の更新プログラムのインストールのように装う、ある種の隠匿のためなのではないか、といった意図を感じてしまうのは筆者だけではないと思います。そして、間もなくリリースされる次のバージョン「Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)」からは、ブランチ準備レベルの名称が「Semi-Annual Channel(Targeted)」と「Semi-Annual Channel」に変更される予定です。

 Current BranchやCurrent Branch for Businessという用語は、多くの日本人にとってはなじみのない表現です。Windows 10でようやくこの用語になじんできたところで、Semi-Annual Channelに変更です。英語圏の人にとっては、とても分かりやすい名称変更なのかもしれませんが、Semi-Annual、Channel、Targetedという、これもまた日本人にとってなじみのない表現に変わってしまいます。

 2017年4月の発表時には「Semi-Annual Channel(Pilot)」「Semi-Annual Channel(Broad)」という名称でしたが、“ユーザーからのフィードバックに基づいて”、「(Targeted)あり/なし」の新名称に落ち着いたようです。Insider PreviewのUI(ユーザーインタフェース)や、公開されているドキュメントを見ると、新名称の日本語訳は「半期チャネル(ターゲット)」または「半期チャネル(ターゲット指定)」と、「半期チャネル」になるようです(現在も開発中であるため変更される可能性はあります)。

 Windows 10のInsider Previewで提供されているプレビュービルド(筆者が確認した限り、2017年8月リリースのビルド16257以降)には、既にその変更が実装されています(画面2)。なお、Windows 10バージョン 1703のUIには反映されませんが、公式には2017年7月のWindows 10 バージョン1703のCurrent Branch for Business向けリリースから、Semi-Annual Channelとして提供されています。

 サービスオプションの名称変更については、以下のドキュメントで説明されています。

画面2 画面2 Windows 10のブランチ準備レベルは、Windows 10 Fall Creators Updateから「Semi-Annual Channel(Targeted)」と「Semi-Annual Channel」に変更になる予定(画面はInsider Previewのプレビュービルド16275、日本語訳は変更の可能性あり)
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

AI for エンジニアリング
「サプライチェーン攻撃」対策
1P情シスのための脆弱性管理/対策の現実解
OSSのサプライチェーン管理、取るべきアクションとは
Microsoft & Windows最前線2024
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。