シリコンバレーで20年近くにわたりITエンジニアとして働いてきた「エル氏」が、かの地での就転職活動方法を伝授します――え、コネ入社もあるの???
こんにちは、エル氏です。ひょんなことから米国に渡り、シリコンバレーの某大手IT企業で20年近くにわたりデバッグしてきた、ごくごく普通のソフトウェアエンジニアです。
私がシリコンバレーで働いてきた経験を元に「日本で働くごく普通のITエンジニアがどうしたらシリコンバレーで働けるようになるか」を書いていく本連載。第1回は、シリコンバレーで働くことの魅力をお伝えしました。
第2回となる今回は、みんなが気になる「どうやってシリコンバレーで仕事を手に入れるか」です。
シリコンバレーには多くのIT企業がオフィスを構え、たくさんのエンジニアが働いています。IT企業の中には、この世にはなかったモノを生み出し、社員を何万人、何十万人と抱える超巨大企業となった例がたくさんあります。
しかしそこで働く何万人もの社員全員が最先端の製品を開発する超エリート……というわけではありません。「世界中から超エリートだけが集まっている」というのは日本のマスコミが作り上げた大げさ過ぎる幻想です。
確かにシリコンバレーは、世界中からエンジニアが集まる街です。しかし、最先端のエンジニアしか働けないわけではありません。
最先端のプロダクトやサービスでも、エンジニアが作るのは中心となる本当に最先端なソフトウェア、ハードウェアだけではありません。それらを支える周辺のソフトウェア、ツール類、バックエンドのシステム、デバッグ用の環境、ビルドのシステム、テストのスクリプト――数え上げたらキリがありませんが、それらを開発、メンテするのも全てエンジニアの仕事です。最先端のテクノロジーを維持するためには、当たり前ですがその何倍ものたくさんのエンジニアの力が必要なので、さまざまなエンジニアの需要があるのです。
つまり、新たな商品が生み出されるたびに、たくさんの付随するエンジニアの需要が発生するのです。
付随する需要を満たすエンジニアは、最先端だったり超エリートであったりする必要はありません。それよりも「幾つもの修羅場を乗り切った経験」「全く新しいシステムでも今までの経験から、すぐに自分で習得していく能力」が求められます。
エンジニアに限らず、米国で仕事を得るためには、ある程度の「学歴」は必要です。
ここでいう学歴とは「大学名」のことではありません。何を大学で勉強したか――つまり「学部や学科の名前」という「学問」歴の方が重要です。米国には情報処理試験のような資格試験がないので、ITエンジニアにとっては「大学でIT関連の学部(いわゆるコンピュータサイエンス学科、通称「CS」)を修了した」ことが、資格試験に相当します。
コンピュータサイエンス学科にもピンからキリまであります。初心者向けのプログラミング言語入門のような、日本なら書店の入門書で独学できるような基礎的な内容を教える専門学校のようなものから、世界的に有名な教授を集めた最先端の研究を行うものまで、とにかく層が厚いのです。
米国で働くには、米国の大学(のコンピュータサイエンス学科)を卒業していた方が企業に理解してもらいやすいでしょう。しかし、情報工学科や電子工学科といったIT関連の学科を卒業していれば、日本の大学でも十分です。
逆に、IT関連学部を卒業していない場合は、採用の最初のフィルターにかかるのは至難の業といえます。文系卒の方は、「Udacity」や「Coursera」などのオンライン講座が発行してくれる履修証明を履歴書に追加しましょう。採用選考でプラスになります。
次ページからは、シリコンバレーでの就転職活動の方法をお伝えします。
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