「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition」の一般提供開始、SMB over QUICでWindows 11との安全なファイル共有が可能にMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(161)

Microsoftは2021年11月上旬、「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition」の一般提供を発表しました。同時に、これまでプレビュー提供であったAzure Editionだけの機能「SMB over QUIC」と「Azure拡張ネットワーク」の一般提供も開始され、実運用環境で利用できるようになりました。

» 2021年11月18日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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「Microsoft Azure最新機能フォローアップ」のインデックス

Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Windows Server 2022 Datacenter:Azure Editionとは

 「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition」(以下、Azure Edition)は、Microsoft AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)環境にのみデプロイして実行できる、「Windows Server 2022」の特別なエディション、製品単位(SKU)です。

 これまで「Microsoft Server Operating Systems Preview」オファーでプレビュー提供されていましたが、一般提供(GA)開始後はOSのインストールタイプに応じて以下の2つのイメージと通常サイズのOSディスク、SmallDiskサイズのOSディスクの計4イメージが「Windows Server」オファーで利用可能になりました(画面1)。

  • Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition(デスクトップエクスペリエンス環境)
  • Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Core(Server Core環境、画面2

画面1 画面1 「Windows Server」オファーとしてAzure Editionの各イメージが利用可能になった
画面2 画面2 Azure仮想マシン上にデプロイしたAzure Edition Coreのデスクトップ(Azureポータルに組み込まれた「Windows Admin Center」プレビューからアクセスしたところ)

 Azure Editionは、Windows Server 2022 DatacenterやStandardと共通のOSビルド「20348」ベースで開発され、Windows Server 2022の全機能に加え、Azure Editionだけの以下の機能を提供します。

  • Azure拡張ネットワーク
  • SMB over QUIC
  • ホットパッチ(注:Azure Edition Coreのみ)

 「ホットパッチ」はまだプレビュー段階ですが、「Azure拡張ネットワーク」と「SMB over QUIC」はAzure Editionと同時に一般提供開始となり、実運用環境でも利用可能になりました。

 例えば、Azure Editionを実行するAzure仮想マシンをファイルサーバとして構成し、SMB over QUICを有効にすれば、同時期に一般提供が開始された「Windows 11」をクライアントとして、VPN(仮想プライベートネットワーク)を使用しない、安全なファイル共有をAzure上の仮想マシンとの間で実現できます(画面3)。

画面3 画面3 Azure仮想マシンが提供するSMB共有で、Windows 11からSMB over QUIC(UDP/443)でシームレスに接続

 SMB over QUICを利用すれば、ファイアウォールフレンドリなUDPポート443のみを使用したSMBファイル共有が可能になります(「Windows 10」はSMB over QUICに非対応)。なお、SMB over QUICの環境構築方法については、本連載の第155回を参考にしてください。

ホットパッチ(プレビュー)では初めてのホットパッチ提供

 前述したようにホットパッチは現在プレビュー中ですが、この機能は数カ月ごとの再起動が必要な「累積更新プログラム」と、その間の再起動を必要としない「セキュリティ更新」をAzureの自動パッチ管理機能で適用することで、長期間の連続稼働を可能にする機能です。

 2021年11月の月例更新の際には、「Azure Edition Core」(ホットパッチはデスクトップエクスペリエンス環境に非対応)に対して初めてホットパッチが提供されました(画面4画面5)。

画面4 画面4 ホットパッチはAzure Edition Coreでのみ利用可能な自動パッチ管理オプション
画面5 画面5 2021年11月10日、11月のセキュリティ更新がホットパッチの形で提供された

 Azure Editionを含むWindows Server 2022と、2021年10月19日に正式リリースされた「Azure Stack HCI バージョン21H2」は、同じOSビルドであり、更新プログラムが共通です。その関係もあって、更新プログラム名に「Azure Stack HCI, version 21H2」が含まれますが、ホットパッチ(Hotpatch)はAzure上のAzure Edition Coreに対してのみ提供されます。

 なお、ホットパッチを使用しない、Azureの自動パッチ運用機能(Azure調整済み、Azureオーケストレーション)については、2021年11月初めから一般提供となり、WindowsとLinuxのAzure仮想マシンで有効化できます。

 また、現在、プレビュー提供中の「Azure Automanage」は、ホットパッチなど、Azure Editionだけの機能の構成と管理に対応していることも発表されています。詳しくは、以下の公式ブログを参照してください。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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