2022年2月、Microsoftは仮想マシンとその関連リソースを同時に自動削除するオプションが正式に利用可能になったことを発表しました。このオプションを構成していない既存の仮想マシンについても、Azure仮想マシンの削除時にオプトインすることができます。
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これまで「Azureポータル」やAzure CLI(コマンドラインインタフェース)の「az vm delete」コマンド、Azure PowerShellの「Remove-AzVM」コマンドレットでAzure仮想マシンを削除した場合、Azure仮想マシン(の構成)は削除されますが、ディスクやネットワークインタフェース(NIC)、パブリックIPアドレスなどは自動的には削除されませんでした。
これは、再デプロイや別の仮想マシンでの再利用を意図したものですが、この仕様を知らないと、使用していないリソースに対して課金が続き、無駄なコスト(特にディスク)が発生することになります。そのため、使用していないリソースについては、手動で削除する必要がありました。しかし、同じリソースグループに多数のAzure仮想マシンをデプロイしている状況では、未使用のリソースを正しく選択して削除するのは容易なことではありません(画面1~3)。
なお、Azureポータルの個々の仮想マシンブレードからの「削除」については、現在、後述する新しいインタフェースによって、仮想マシンと同時に削除するオプションが利用可能になっています。
2022年2月中旬以降、Azure仮想マシン、Azure CLI、Azure PowerShellが更新され、「マネージドディスク(Managed Disks)」で作成したAzure仮想マシンのOSディスク、データディスク、NIC、パブリックIPアドレスを、仮想マシンと同時に削除するオプションが利用可能になっています(画面4)。
Azure CLIの「az vm create」コマンドでは「--os-disk-delete-option」「--data-disk-delete-option」「--nic-delete-option」オプションで、Azure PowerShellの「New-AzVm」コマンドレットでは「-OSDiskDeleteOption」「-DataDiskDeleteOption」「-NetworkInterfaceDeleteOption」オプションでそれぞれ指定できます(いずれも自動削除する「delete」または削除しない「detach」)。
これらの自動削除オプションを有効にして作成したAzureポータル、Azure CLI(az vm delete)、Azure PowerShell(Remove-AzVM)からAzure仮想マシンを削除すると、「仮想マシン」リソースの削除と同時に、「自動削除(VMと共に削除)」を指定したリソースも削除されるようになります。
なお、対象はマネージドディスクのOSディスクとデータディスク、NICとパブリックIPアドレスであり、それ以外のリソースは従来と同様、Azure仮想マシン削除後も残ることに注意してください(画面5)。ただし、通常、残るリソースは、課金に大きく影響するものではありません。
個別のAzure仮想マシンのブレードから「削除」コマンドを実行した場合、自動削除オプションの構成の有無に関係なく、つまり、「自動削除(VMと共に削除)」オプションの提供前にデプロイされたAzure仮想マシンの場合でも、マネージドディスクのOSディスクとデータディスク、NIC、パブリックIPを同時に削除する(ただし他に関連付けられていない場合)ためのオプションが利用可能です(画面6)。自動削除オプションの有効化は、これらの既定値を決める(有効な場合に自動選択)ものです。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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