デベロッパーが注目したいMSの開発関連技術「.NET MAUI」「Microsoft Dev Box」の威力とは：UI開発を支援、開発環境構築済みのクラウドPCを提供

Microsoftは開発者向けカンファレンス「Build 2022」で発表したツールやサービスのうち、Visual Studioユーザーにとって要注目の技術「.NET MAUI」と「Microsoft Dev Box」を紹介した。さらに「Azure Deployment Environments」とArm64対応の「Visual Studio」も取り上げている。

[＠IT]

　Microsoftは2022年5月26日（米国時間）、開発者向けの年次カンファレンス「Microsoft Build 2022」（2022年5月24〜26日開催）で発表したツールやサービスのうち、「Visual Studio」を使用する開発者にとって重要な技術「.NET Multi-platform App UI.NET MAUI」（.NET MAUI）と「Microsoft Dev Box」を紹介した。さらに「Azure Deployment Environments」とArm64対応の「Visual Studio」にも触れた。

　なお、Microsoftは2022年5月に「Visual Studio 2022 version 17.2」と「Visual Studio 2022 version 17.3 Preview 1」をリリースしており、Build 2022に合わせて「Visual Studio 2022 for Mac version 17.0」と「Visual Studio 2022 for Mac version 17.3 Preview 1」をリリースしている。

.NET MAUI

　.NET MAUIはAndroidやiOS、macOS、Windowsデバイス向けのネイティブアプリケーションのUIを、単一のコードベースから開発できるUIフレームワークとツールだ。

　デバイスごとに異なるスタックと言語を学ぶのではなく、単一の言語、単一のライブラリセット、単一のUIスタックを全てのデバイス向けに適用できる。

　.NET MAUIは「.NET 6」をベースに構築されているため、開発者はワークロードやプロジェクトの種類を問わず、統一された単一の.NETエクスペリエンスを享受し、期待通りの高パフォーマンスアプリケーションを作成できる。

.NET MAUIを採用したポッドキャストアプリケーション（提供：Microsoft）

　.NET MAUIを利用する、ハイブリッドWebアプリケーションも開発できる。

　JavaScriptの代わりにC#でインタラクティブなWeb UIを構築できる「Blazor」が利用可能だ。.NET MAUIとBlazorを組み合わせることで、モバイル、デスクトップ、Webで単一のWeb UIコンポーネントセットを再利用可能になる。

　.NET MAUIアプリケーションでBlazor Webコンポーネントを直接共有するとともに、ネイティブデバイスの機能とパッケージングにアクセスできる。

　.NET MAUIツールは、Windows用のVisual Studio 2022 v17.3 Preview 1.1と、Mac用のVisual Studio 2022 for Mac version 17.3 Preview 1で利用できる。その中には、ホットリロード技術も含まれている。これはコードを入力し、再ビルドすることなく、ライブプレビューとエミュレーターで変更をすぐに確認できるという技術だ。

Microsoft Dev Box

　Microsoft Dev Box（Dev Box）はクラウドサービスの一種だ。安全ですぐに使えるWindows開発者用ワークステーションを、あらゆる規模の開発チームに提供する。

　開発者はワークステーションの設定やメンテナンスに煩わされることなく、開発フローを維持し、コード作成に集中できる。

Microsoft Dev Boxの起動画面（提供：Microsoft）

　開発チームがDev Boxを特定のプロジェクトやタスク用にあらかじめ設定しておくことで、アプリケーションの構築と実行が数分で可能になる環境を用意できる。Dev Boxは、基本的にクラウド上の「Windows 11」マシンであるため、Visual Studioによる開発に最適だ。この他、IT部門は「Windows 365」を利用して、Dev Boxを「Microsoft Intune」や「Microsoft Endpoint Manager」と統合することで、一元的な管理、セキュリティ、コンプライアンスを確保できる。

　Dev Boxは現在、プライベートプレビュー段階にあり、数カ月後にパブリックプレビュー版がリリースされる予定だ。

Azure Deployment Environments

　Azure Deployment Environmentsもクラウドサービスの一種だ。セットアップ時間を最小限に抑える「Infrastructure as Code」（IaC）テンプレートを使って、開発チームがアプリケーションインフラを迅速に構築できる。その一方で、セキュリティやコンプライアンス、コスト効率を最大化できる。

　精選されたテンプレートのカタログから開発チームが目的のものを選択し、ローカルCLIかカスタム開発者ポータルから直接デプロイできる。

Azure Deployment Environmentsのセットアップ（提供：Microsoft）

　開発者はこれらのテンプレートを用いて、環境のプロビジョニングに伴う複雑さに悩まされることなく、アプリケーションのコーディングとテストに集中できる。さらに、開発インフラチームはAzure Deployment Environmentsを使って、チーム間の一貫性を維持し、共通の設定を一元管理し、セキュリティを高めることが可能だ。

　Azure Deployment Environmentsは現在、プライベートプレビュー段階にあり、数カ月後にパブリックプレビュー版がリリースされる予定だ。

Arm64対応のVisual Studio

　MicrosoftはBuild 2022で、次のVisual Studioプレビュー版がArm64版のWindows 11でネイティブに動作し、Armベースデバイス上におけるArm64アプリケーションの直接ビルドとデバッグをサポートすることも発表した。

　Arm64対応のVisual Studioのプレビュー版は、数週間後に公開される見通しだ。