あおぞら銀行はコロナ禍以前から、社外にいても携帯電話で社内の固定電話機と内線電話が使えるFMC(Fixed Mobile Convergence)を利用していた。しかし、テレワークを本格化し、より進化したコミュニケーションを実現するには課題があるため、FMCからBYODによるスマホ内線に切り替えた。その狙いと特徴を明らかにする。
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あおぞら銀行(本店 東京都千代田区麹町6-1-1、従業員数《連結》2382人)は旧日本債券信用銀行が源流で、事業再編など専門的な金融を得意とし、本・支店20店舗を有している。2017年に本店を九段下から現在地に移転した。
電話基盤は2005年からシスコシステムズ合同会社の「Cisco Unified Communications Manager」(以下、CUCM)を使ったオンプレミスのIP電話を運用している。本社移転を契機に外出の多い営業部門を中心に約800台のスマートフォン(スマホ)を会社から貸与し、FMC(Fixed Mobile Convergence)によるスマホ内線を実現していた。
しかし、社給スマホによるFMCでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で拡大したテレワークへの対応やコストの面で課題があった。そこで、FMCから社員のスマホを使うクラウドPBXに移行して課題の解決を図るとともに、利便性の高いコミュニケーション基盤を構築した。
クラウドPBXの導入を担当したインフラストラクチャーマネジメント部システムインテグレーション第三グループ課長の木村俊介氏によると、FMCはスマホ購入や維持コストが高いだけでなく、スマホの特徴を生かしたテレワークに有用な機能が使えないという欠点があった。
FMCはスマホが普及していない2010年以前にガラケー(フィーチャーフォン)での利用を前提に作られたサービスだ。ダイヤル操作のみで、スマホであってもガラケーとしての使い方しかできない。あおぞら銀行がFMCに満足できなかったのも無理はない。
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