エンジニアの間で長く語り続けられた35歳定年説。でもこれからは、全エンジニアが長く活躍する時代です。
以前「プログラマー35歳定年説」といったものがありましたよね。
35歳定年説の要因には、35歳ぐらいになると「知識やスキルをアップデートしにくくなる」「体力が落ちる」といった身体能力を指すこともあれば、「年上のエンジニアには指示を出しにくい」のような客先との関係に起因するものもあります。また、ある程度年齢を重ねると「技術力よりも、チームをまとめることの方が重要」のような、マネジメントに起因するものもあります。
その結果、35歳ぐらいでプログラマーを離れる人が多かったのです。
でも、私は思います。「いまは、35歳定年説など唱えている場合ではない」と。「いまこそ、全エンジニアが活躍するときだ」と。
なぜ、「35歳定年説など唱えている場合ではない」のか。その理由は、エンジニアが活躍しない/できないと、日本が詰んでしまうからです。
これをお読みの皆さんも、「日本の人口が減っている」「少子高齢化が進んでいる」ことは、きっとご存じだと思います。
実はいま、人口減少がかなりヤバいのです。
どのぐらいの勢いで減っているのか? 具体的な数字でお伝えしますと、2022年には約80万人の人口が減少しました。これは、佐賀県や山梨県の人口と同じぐらいの数字です。つまりいま日本では、1年に1つの県がなくなるぐらいの勢いで人口が減っているのです。
……とはいえ、80万人といわれてもあまりピンとこないかもしれません。
では、これはどうでしょうか? 人口が減るということは、必然的に働く人(生産年齢人口)も減ります。令和4年版の「情報通信白書」によると、生産年齢人口(15〜64歳)のピークは1995年の約8716万人でした。2020年は約7509万人。つまり、25年間で日本の生産活動を担う人口が約1200万人減少しました。
大切なのはここからです。2025年の生産年齢人口の推計は7170万人で、2040年の推計は5978万人。約1200万人の人口減少にこれまでは25年かかっていましたが、これからはわずか15年しかかからないのです。
人口が減るスピード感もさることながら、計算では働く人の人口が現在の約8割になります。つまり、いままで10人でやっていた仕事を8人でやることになるのです。これ、ちょっとヤバくないですか?
しかも、人口というのは何らかの対策をしたからといってすぐに増えるものではありませんし、仮に少子化対策で出生率が多少増えても、仕事ができるようになるためには約20年かかります。つまり、これから数十年、働く人の数が減り続けるのは決定事項なのです。
今後は人口が急激に減少し、働く人の数がどんどん減っていき、かつ、高齢化します。この現実に「これ、さすがに何とかしないとマズいんじゃないの?」と思うわけです。
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