マルチクラウドとオンプレミスの一元管理がさらに容易に――Azure Arc対応Virtual Machine Managerの一般提供が開始Microsoft Azure最新機能フォローアップ(210)

Microsoftは、これまでプレビュー提供していたAzure Arcサービス群の一つ「Azure Arc-enabled System Center Virtual Machine Manager(Arc対応SCVMM)」が一般提供されたことを発表しました。

» 2023年11月28日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Arc対応SCVMMはAzureの管理機能をオンプレミスのSCVMMに拡張

 マルチクラウドとオンプレミスで一貫した管理プラットフォームを提供する「Azure Arc」は、現在、Microsoft Azure以外でホストされる次の種類のリソースに対し、一元化された統一管理機能を提供します。このうち、Azure Arc対応の「System Center Virtual Machine Manager」(以下、Arc対応SCVMM)が2023年11月15日(米国時間)に一般提供となりました。

  • サーバ(Azure Arc-enabled Servers):一般提供中
  • 仮想マシン(Azure Arc VM Management on Azure Stack HCI、Azure Arc-enabled VMware vSphere):プレビュー中
  • Kubernetesクラスタ(Azure Arc-enabled Kubernetes):一般提供中
  • データサービス(Azure Arc-enabled Data Services):一般提供中(SQL Managed Instance)、プレビュー中(PostgreSQL Hyperscale)
  • SQL Server(Azure Arc-enabled SQL Server):一般提供中
  • SCVMM(Azure Arc-enabled SCVMM):一般提供中(新)

 Arc対応SCVMMは、AzureのコントロールプレーンをオンプレミスのSCVMM管理環境に拡張し、Azureのセキュリティ、ガバナンス、管理機能を、SCVMMで管理されている資産に一貫して使用できるようにします。

 SCVMMで管理されているオンプレミスのプライベートクラウドをAzureに接続すると、Azureポータルからオンプレミスの仮想マシンに対して、管理者、開発者、エンドユーザーは次のようなセルフサービス操作を実行できるようになります(画面1画面2)。

  • 仮想マシンの作成、開始、停止、一時停止、削除
  • Azureロールベースのアクセス制御(RBAC)の使用によるセルフサービス操作の許可
  • SCVMMリソース(仮想マシン《VM》、テンプレート、VMネットワーク、ストレージ)をAzureポータルに表示
  • SCVMMで管理されているVMの発見とAzure Arcにオンボード(Azure Arc仮想マシンと同等の管理が可能に)
  • Arc-connected machineエージェントをSCVMMのVMに大規模展開

画面1 画面1 Arcリソースブリッジを作成し、SCVMM管理サーバをAzureに接続する
画面2 画面2 Azure Arc仮想マシンとして、カスタムの場所として登録されたSCVMM環境にVMをデプロイする(画面は「Bring Azure to your System Center environment: Announcing GA of SCVMM enabled by Azure Arc」から引用)

 また、「Windows Server 2012/2012 R2」のVMがAzure Arcに登録されることで、Azure Arcによる「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」の購入や管理も可能になります(画面3)。

画面3 画面3 Windows Server 2012/2012 R2を実行するVMがAzure Arcに登録されると、ESUの購入や管理が可能に(ただし、購入には「Windows Server SA」が必要)

 Arc対応SCVMMは、SCVMM 2019およびSCVMM 2022とともに動作し、最大1万5000のVMを持つSCVMM管理サーバをサポートします。プレビュー期間中の2023年9月22日以前にオンボードしたArc対応SCVMMがある場合は、現在の接続をいったん削除し、再接続して新しいバージョンに切り替える必要があります。その他の前提条件や手順については、以下のドキュメントを参照してください。

SCVMM 2022 Update Rollup 2のArc対応SCVMM向け新機能

 Microsoftは2023年11月7日(米国時間)に「System Center 2022」製品群に最新の更新プログラム「Update Rollup 2」をリリースしました。SCVMM 2022 Update Rollup 2には、「Azure Arcブレード」が新たに追加されます。

 この新しいブレードからは、Arc対応SCMMMのAzureへの接続(Arcリソースブリッジのデプロイ)を開始し、Azureポータルへのクイックアクセスを提供する他、Arc対応SCVMMの概要や前提条件、デプロイ手順、Arc-connected machineエージェントの大規模展開のガイダンスにアクセスすることができます(画面4)。

画面4 画面4 SCVMM 2022 Update Rollup 2で追加される「Azure Arc」ブレード

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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