Linux Tips

VMware Player用の仮想マシンを作成するには

北浦訓行
2008/2/14

 VMware Playerには、仮想マシンを作成する機能がない。そのため、「仮想マシンでLinuxを手軽に使用するには」で説明したように、既成の仮想マシンをダウンロードするのが一般的な使用法だ。

 しかし、好みのOSを好みの仮想マシンで使用することも不可能ではない。ここでは、QEMUの付属ツールなどを利用して、新規に仮想マシンを作成する方法を説明する。

 VMware Playerで実行可能な仮想マシンには、少なくとも仮想ディスクのイメージファイル(.vmdk)仮想マシンの設定ファイル(.vmx)が必要となる。

 仮想ディスクのイメージファイルは、QEMUのディスクイメージユーティリティ「qemu-img」で作成できる。Fedora 8の場合、QEMUはyumコマンドでインストールすることができる。

# yum install qemu

 qemu-imgコマンドで.vmdkファイルを作成する場合、以下の書式を実行する。

$ qemu-img create -f vmdk <ディスクイメージ> <サイズ>

 例えば以下のコマンドを実行すると、一瞬でFedora8.vmdkという10Gbytesの仮想ディスクイメージが作成される。作業時間が短くて済むのが、QEMUを使用する場合のメリットだ。

$ qemu-img create -f vmdk Fedora8.vmdk 10G
Formating 'Fedora8.vmdk', fmt=vmdk, size=10485760 kB
$ ls -lh Fedora8.vmdk
-rw-r--r-- 1 nori nori 1.4M 2008-02-08 00:36 Fedora8.vmdk

 ここでは「10Gbytes」と指定したにもかかわらず、作成されたファイルのサイズは1.4Gbytesとなっている。仮想ディスクのサイズは、仮想マシンを実行してOSをインストールするなどして実際に使用されるファイルなどが増えていくと、それに伴って増えていく。

 次に、仮想マシンの設定ファイル(.vmx)を作成する。このファイルはテキストで記述されているため、テキストエディタで新規に作成することも可能だし、ほかの仮想マシンから流用することもできる。ここでは、EasyVMX.com(http://www.easyvmx.com/)というWebサイトの仮想マシン作成機能を利用することにする。

 WebブラウザでEasyVMX.comにアクセスすると、[easyvmx][Super Simple][easyvmx 2.0]という3つのボタンが表示される。

[ユーザ]パネル
easyvmx.comの画面

 [easyvmx 2.0]は、原稿執筆時点ではベータ版となっているが、3つの中で最も機能が豊富だ。Windows Vistaへのフル対応やVMware Workstation 6に対応した仮想マシンの作成、共有フォルダの設定などが実現されている。

 [easyvmx]は、ごく一般的な仮想マシンを作成することができる。設定項目はそれほど多くない。ただし、共有フォルダの設定はできない。

 [Super Simple]は最小限の設定項目で、取りあえず試しに仮想マシンを作成する場合に便利だ。

 ここでは、[Super Simple]で仮想マシンの設定ファイルを作成してみる。EasyVMX.comのトップページで[Super Simple]をクリックすると、仮想マシンの設定画面が表示される。

[ユーザ]パネル
仮想マシンの設定画面(クリックすると拡大します)

 各項目を入力もしくは選択する。

 注意する点は、[Virtual Machine Name]をqemu-imgコマンドで作成した仮想ディスクと同じ名前にすることだ(ここでは「Fedora8」)。また[Virtual Machine Disk Size]も、qemu-imgコマンドで指定した仮想ディスクのサイズと同じにする。

 そして、Fedora 8のインストールメディアとして、.isoファイルを指定する。ここでは、torrentでダウンロードしたFedora-8-i386-DVD.isoを指定した。

 設定が完了したら[Create Virtual Machine]ボタンをクリックする。すると、仮想マシンが作成される。

[ユーザ]パネル
仮想マシンが作成された後の画面

 [Fedora8.zip]のリンクをクリックしてFedora8.zipをダウンロードすると、仮想マシン一式が入手できるが、ここではqemu-imgコマンドで仮想ディスクを作成済みなので、Fedora8.zipは必要ない。

 画面をスクロールさせていくと、作成された.vmxファイルの内容が表示される。この設定を選択してクリップボードにコピーして、テキストエディタにペーストする。

[ユーザ]パネル
設定ファイルの表示(クリックすると拡大します)

 テキストエディタ(gedit)を起動して、コピーした内容を張り付ける。そして、Fedora8.vmxという名前で保存する。

[ユーザ]パネル
仮想マシンの設定ファイルを貼り付けたgedit

 以上で、仮想マシンの作成作業は完了だ。VMware Playerを起動して、[Open an existing Virtual Machine]ボタンをクリックして、Fedora8.vmxを読み込む。すると、指定したインストールメディアが起動して、Grubの画面が表示される。

[ユーザ]パネル
インストーラの初期画面

 あとは、通常の手順でインストール作業を行えばいい。

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