ここでは、OpenUp/Basicをブラウジングする方法を紹介します。OpenUp/Basicは、表1に記載したように、RUPのサブセットで、体制3〜6名、1か月/反復、開発期間3〜6か月間程度のアジャイル開発にフォーカスした開発プロセスです。
RUPと聞くと、大規模プロジェクト向けの難解な開発プロセスという印象がありますが、OpenUp/Basicは、最小限のコンテンツで完結した開発プロセスを構成しており、RUPに比べていくらか分かりやすくなっています。
具体的には、RUPからビジネスモデリングや各種ツールに関するコンテンツが省略されています。
EPF Composerでは、以下の2つのパースペクティブがあります。
表2 EPF Composerのパースペクティブ | |
パースペクティブ | 説明 |
Browsing | 開発プロセスを参照するモード |
Authoring | 開発プロセスを編集するモード |
EPF Composerの右上部分をクリックすると、パースペクティブを変更できます。ここでは、[Browsing]パースペクティブを選択します。
次に、EPF Composerの上部で[Configuration]を選択します。
[Browsing]パースペクティブでは、[Configuration]と[Content]という2つのビューがあります。Configurationビューは、開発プロセス(ここでは、OpenUp/Basic)のコンテンツの論理的な階層構造を表示します。Contentビューは、Configurationビューで指定されたコンテンツの詳細を表示します。
Configurationビューでは、以下の項目がそれぞれ階層的に表示されます。
表3 Configurationビュー | |
項目 | 説明 |
Disciplines | タスクの分類。例えば、要件定義、設計など |
Domains | 成果物の正式な分類。各成果物は必ず1つのDomainに分類される |
Work Product Kinds | 分かりやすさを考慮した成果物の分類。Domainsとは異なり、各成果物は複数のWork Product Kindsに分類できる |
Role Sets | ロールの分類 |
Tools | ツールの分類 |
Processes | タスクの実行順序を定義したもの。WBS(Work Breakdown Structure)やアクティビティ図で表示される |
Custom Category | 開発プロセスの任意の要素の分類。使い方は自由 |
上記の[Processes]の中には、[Capability Pattern]と[Delivery Processes]が含まれます。[Capability Pattern]は、いくつかのタスクを組み合わせたもので、[Delivery Process]は、図3で紹介したようなソフトウェアライフサイクルです。OpenUp/Basicは、図7のような階層構造となっています。
[Configuration]ビューで、[Processes]→[Delivery Processes]→[OpenUP/Basic Lifecycle]をクリックするとOpenUp/Basicのソフトウェアライフサイクルが[Content]ビューに表示されます。
図8の[Content]ビューに表示されている[Inception]はパイロット開発などを行うプロジェクト初期の反復です。図9の[Inception Iteration]という部分をクリックすると、該当するWBSの詳細がアクティビティ図で表示されます。
さらに、アクティビティ図の中の任意の要素をクリックすると、タスクの詳細が表示されます。
次に、OpenUp/Basicをパブリッシングする方法を紹介します。パブリッシングとは、開発プロセスのコンテンツをHTML出力する機能です。先ほどは、EPF Composerを使って、OpenUp/Basicの内容を参照してきましたが、パブリッシングすれば、プロジェクトメンバはブラウザのみで開発プロセスを参照できるようになります。
まずは、[Configuration]メニューから[Publish]を選択します(図11)。すべてデフォルト設定のままパブリッシングして構いませんが、出力先フォルダは変更した方がよいでしょう(図12)。デフォルト設定では、パブリッシングが完了するとブラウザが起動します。
先ほど[Browsing]パースペクティブで参照した内容とは、パブリッシングして表示されている内容が少々異なっています。これはパブリッシングの対象や表示順序が別途指定されているためです。
ここまでの説明でEPFの全体像がある程度分かっていただけたと思います。次回は、OpenUp/Basicを使わずに、「日本語」で開発プロセスを一から作成する方法を紹介します。
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