複数の物事や事象を並列に述べるときには、「内容の重要性が高いものから低いものへ」という順番で記述します。
重要性の高さは、読み手のことを考えて判断しなければなりません。例えば、読み手の関心が高いもの、読み手にとって価値評価の高いもの、最も大きな利害を読み手にもたらすものなどの重要性が高いといえます。
1.問題点を以下のように認識
2.問題点A
3.問題点B
4.問題点C
1.問題点を以下のように認識
2.最も重要な問題点について
3.次に重要な問題点について
4.上2つほど重要ではない問題点について
ランダムに並べるのではなく、問題点の重要性を考えて、重要な順に記述します。
全体に関するトピックから細部についてのトピックへと展開します。これは、システムや組織、ハードウェアやソフトウェアなど形あるものについての記述だけでなく、目標、問題点や問題の原因など概念的なものの記述についても当てはまります。最初のまとまりで全体像を示し、その後の1つひとつのまとまりで個々の細部について記述します。
1.部署Aが抱える問題
2.部署Bが抱える問題
3.部署Cが抱える問題
4.これらの部署の問題が相互に影響して、組織全体の問題になる
5.組織全体が抱える問題
1.概要:各部署の問題が相互に影響して、組織全体の問題となる
2.組織全体が抱える問題
3.部署Aが抱える問題
4.部署Bが抱える問題
5.部署Cが抱える問題
個別の部分から説明すると、読み手は相互の関係を把握できません。全体から部分へ展開すれば、読み手は全体と部分の関係を考えながら内容を把握できます。
手順や経緯、経過、歴史などについて記述する項目では、時系列に沿って展開するとよいでしょう。
1.システム改良の経過を以下に記述
2.2007年5月に当社が改良
3.2009年3月に当社が改良
4.2010年1月に当社が改良
5.2008年5月のお客さまが改良
6.2009年10月にお客さまが改良
7.現在のシステムの状態
1.システム改良の経過を以下に記述
2.2007年5月に当社が改良
3.2008年5月にお客さまが改良
4.2009年3月に当社が改良
5.2009年10月にお客さまが改良
6.2010年1月に当社が改良
7.現在のシステムの状態
上記のように、改良の主体が異なっていても1つの見出し項目で説明する場合、時系列に沿った順番にします。もし、改良の主体ごとに分けて記述したいのであれば、それぞれに別項目を立てて、各項目で時系列順に記述すればよいでしょう。
複数の事例や事象を紹介、解説する記述は、「一般的なものから例外へ」というように、認知度の高いものから低いものへと展開します。
1.家庭の高速回線接続の概論
2.ADSL接続の概要と普及状況
3.CATV接続の概要と普及状況
4.電力線通信の概要と普及状況
5.光ファイバ接続の概要と普及状況
1.家庭の高速回線接続の概論
2.光ファイバ接続の概要と普及状況
3.ADSL接続の概要と普及状況
4.CATV接続の概要と普及状況
5.電力線通信の概要と普及状況
上記の例は、家庭に接続する高速回線の種類やその普及状況を紹介、解説する見出し項目の展開です。高速回線として認知度の高いもの、最もよく利用されているものから順に記述していきます。光ファイバが最も認知度が高く、よく使われ、次いでADSL、その後にCATV、電力線通信という順になるのではないでしょうか。
谷口 功 (たにぐち いさお)
フリーランスのライター、翻訳家。企業にて、ファクシミリ通信網を使ったデータ通信システム、人工知能、日本語処理関連のソフトウェア開発、マニュアルの執筆などに関わる。退職後、コンピュータ、情報処理、通信関連の書籍の執筆、翻訳、各種マニュアルや各種教材の執筆に携わる。また、通信、コンピュータ関連のメールマガジンの記事、各種雑誌においてインターネット、パソコン関連の記事やコラムなども執筆。コンピュータや通信に関連する漫画の原作を執筆することもある。 主な著作は、『SEのための 図解の技術、文章の技術』(技術評論社)、『ソフト契約と見積りの基本がよ〜くわかる本』『よくわかる最新 通信の基本と仕組み』(秀和システム)、『図解 通信プロトコルのことがわかる本』『入門ビジュアルテクノロジー 通信プロトコルのしくみ』(日本実業出版社)、『図解 ネットワークセキュリティ』『マスタリングTCP/IP IPsec編』[共著](オーム社)など。
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