ネットワークが成長し続ける限り、米ジュニパーは自社開発チップを投入し続ける新CEOラミ・ラヒム氏が戦略を説明

米ジュニパーネットワークスは、2015年3月11、12日(米国時間)の2日間、米国でイベントを開催し、同社の戦略を説明。自社設計チップによるデータセンタースイッチ「QFX10000」シリーズ、コアルータ「PTX」シリーズにおける新ラインカード、そして同社のセキュリティ製品「SRX5000」シリーズにおける機能強化を発表した。

» 2015年03月16日 07時26分 公開
[三木 泉,@IT]

 米ジュニパーネットワークスは、米国で開催した記者・アナリスト対象のイベント「Juniper Networks 2015 Innovation Showcase」で、2014年11月に同社のCEOに就任したラミ・ラヒム(Rami Rahim)氏は、今後もネットワークとセキュリティに特化した、数少ない有力ベンダーとして、「パフォーマンス」「自動化」の2つのテーマに注力していくと話した。

米ジュニパーネットワークスのCEO、ラミ・ラヒム氏

 「(強靭性とスケーリングを含む)ネットワークパフォーマンスの問題は、軽視されすぎている」(ラヒム氏)。インターネットトラフィックは急速な伸びを続けている。データセンター内のトラフィック(「East-Westトラフィック」とも呼ばれる)もどんどん増えている。トラフィックの爆発的な増加に、専門的に取り組む企業を、世界は求めていると同氏は話した。

 高い性能と安定性が必要な場面では、今後も自社設計のチップを投入していくのがジュニパーの方針だ。「マーチャントシリコン(米ブロードコムなどの専門ベンダーが開発し、ネットワーク機器ベンダーに供給している汎用ネットワークチップ)を使えば済むのなら使う」。だが、それではニーズに応えられないとラヒム氏はいう。

 今回ジュニパーが発表した、新データセンタースイッチシリーズ「QFX10000」、およびルータ「PTX」の新ラインカードは、それぞれの製品のために同社が開発した、自社設計チップが目玉だ。

 新開発のQ5チップを搭載する「QFX10000」は、データセンターにおけるスパイン(脊髄のようにスケールするバックボーン)を構成するためのスイッチ。データセンター内のトラフィックが急速に増大する中で、スパインへの接続を10Gbpsから40Gbps、さらに100Gbpsへと容易に拡張できるようにしていくのが大きな目的だという。

 「QFX10000」はボックス型が1モデル、シャーシ型が8スロットと16スロットの2モデルで構成されている。1シャーシで最大96Tbpsにスケールでき、40Gbpsインターフェイスのみで構成すれば576ポート、100Gbpsの場合480ポートを提供可能。100Gbpsのポート密度は、これまでの最高の競合製品の4倍だという。

 ジュニパーは、コアルータ用にはExpressPlusという新たなチップを開発した。1チップで500Gbps(全二重で双方向を合わせれば1Tbps、以下同)のスループットを提供。100Gbpsならチップ当たり5ポートを提供できる。400Gbpsイーサネットの新規格が成立すれば、対応する準備はできているという。

 同社はさらに、この新チップを搭載した「PTX」用のラインカードを発表。「PTX5000」では1スロットで3Tbps(30x100Gbps)、1シャーシでは24Tbps(48 Tbps)のスループットを提供可能という。スループット、ギガビット当たりの電力消費のいずれにおいても、競合を大きく上回るとしている。

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