愛媛が何となく気になる。住んでみてもいいかも―――愛媛に気持ちが傾いたなら、移住の「要件」を考えてみよう。鬼北町で起業をして20年の筆者が、地理的条件を味方に付けた、愛媛暮らしを指南する。※「支出額変動予測」テンプレート付き
日本全国の魅力を伝え、移住者向け情報を提供する本連載、愛媛編は今回が最終回だ。
まずは2回に分けて、愛媛を構成する3つの地方の風土や産業を紹介した。愛媛編第1回では新居浜市(東予地方)を、第2回では松山市(中予地方)と鬼北町(南予地方)を取り上げた。第3回では、社会人教育や理系の学生教育を紹介した。第4回では、仕事の探し方と創り方を提案した。
風土や産業から愛媛に関心を持ち、自身や子の学びに適した市町があり、働き方も検討したなら、移住先での生活を具体的に考える段階だ。
移住とは、新しいプラットフォームの上に人生を再構築すること。自分の未来の要件定義を行い、アジャイルで進めよう。
新天地への憧れだけでは生活はできない。移住後の収支を把握しておこう。
問題は収入そのものよりも、収支のバランスと生活レベルに満足できるかどうかだ。筆者の家計簿を基に、費用の増減状況をまとめてみた。
愛媛では、地産地消で食費が都会より安くなるから、生活費全般は抑えられる。水道代などは移住先の市町によって異なる。忘れてならないのは「保険料」と「税金」だ。正社員を継続する「テレワーク移住」ではない場合は、前年度の収入を基準とした支出の可能性がある。最低でも1年分の生活資金は用意しておいた方がいいだろう。
表1「支出額変動予測」のテンプレートを用意した。ダウンロードして数値を入力し、移住前後のマネー管理の参考にしてほしい。
見知らぬ土地で想定外の事態に見舞われたとき、親身になってくれる地元民がいると心強い。
そこで、移住後速やかにイベントや交流会に参加することをお勧めする。愛媛県は日本初の異業種連合法人を生んだ場所だけあって、今では数多くの交流会がある。どこに参加するか迷ったら、同年代の参加者が多い会を選ぶとよい。
見知らぬ土地に移住しても、「考えること(企画力)」「書くこと(発信力)」「待つこと(タイミング)」、この3つのスキルがあれば道は開ける。このことを筆者は、ヘルマン・ヘッセ著「シッダールタ(高橋健二訳)」から学び、実践し、道は開けた。
テレワークでは、WebサイトやSNSで企画を自ら発信することが最大の営業になる。愛媛から全国へ、世界へ、発信すればいい。
また、ビジネスチャンスの到来を辛抱強く待ち、取引先やチームメンバーのペースを尊重して待つ姿勢が必要だ。拙速な言動はチャンスを壊し、脊髄反射の一言は人間関係を壊すと心得よう。愛媛のゆったりした風土から、待つことを学ぼう。
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