最近、Windows Serverの半期チャネル(Semi-Annual Channel、SAC)バージョンを操作する機会が増え、Server Coreインストール環境のコマンドライン環境にも慣れてきました。2019年11月になって、2019年5月にリリースされたバージョン1903以降に信じられない不具合があることに気が付きました。その不具合とは、「日本語版なのに日本語の入力と変換ができない」ことです。この問題は、2020年1月末時点で利用可能な最新の累積更新プログラム(ビルド18362.628および18363.628)でも解消されていません。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
「Server Core」インストールオプションは、「Windows Server 2008」で初めて導入された、エクスプローラーシェルをはじめ、GUI環境を廃したWindows Serverの最小インストールオプションです。その後の長期サービスチャネル(Long-Term Servicing Channel、LTSC)のWindows Serverは、Server Coreインストールと「デスクトップエクスペリエンス」(旧称「GUI使用サーバー」)のいずれかを選択してインストールできます。
2017年10月から始まった「Windows Server SAC」は、Server Coreインストールオプションのみで提供されます。現在はServer Coreよりもさらにフットプリントの小さい「Nano Server」もありますが、これはWindowsコンテナイメージとしてのみ、Windows Server SACバージョンで提供されています。
LTSCの「Windows Server 2019」とSACの「Windows Server, version 1809」からは、Server Coreアプリ互換性オンデマンド機能として、「Explorer.exe」(エクスプローラーシェルではなく、ファイルエクスプローラーとして)や「Microsoft管理コンソール(MMC)」の各種スナップイン、「Iexplore.exe」(Internet Explorer 11)を追加して利用できるようになりました。しかし、初期構成やシステム設定は、コマンドプロンプトやWindows PowerShellでコマンドライン操作するのが基本です。
初期構成やシステム設定、その他の日常的な管理操作のために、日本語の入力や変換を必要とする場面はほとんどありません。そのためつい数カ月前まで気が付かなかったのですが、Windows Server, version 1903(2019年5月リリース)と、このバージョンとコア部分を共通とするWindows Server, version 1909(2019年11月リリース)では、MS-IMEによる日本語の入力と変換が全くできないという、フルローカライズ版のOSとしては信じ難い問題に遭遇しました。Windows Server 2019のServer Coreインストールや、Windows Server, version 1809以前のSACリリースではそのような問題はありません(画面1)。
Windows Server, version 1903および1909では、[Alt]+[半角/全角漢字]キーや[変換]キー、[カタカナひらがなローマ字]キーを入力しても無反応です。「メモ帳」(Notepad.exe、Server Coreでも利用できない数少ないGUIツール)のコンテキストメニューから「IMEを開く」や「再変換」を選択しても無反応です。入力できるのは、半角英数字記号だけです(画面2)。
Windows Serverの管理作業では、日本語の入力や変換の必要性はほとんどないかもしれません。でも、以前のバージョンでできてきたことができないのは明らかに不具合です。日本語ローカライズ版OSで、日本語の入力や変換ができないなんて冗談にも程があります。
MS-IMEの設定がおかしいのではないかと、できる範囲で調査しました。Windowsに含まれるMS-IME関連のバイナリ(「C:\Windows\System32\IME」など)に関しては、Windows Server, version 1903以前と以降でこれといった違いは見当たりませんでした。
Server Core環境なので、できることは限られます。Windows PowerShellで言語に関連しそうなコマンドレットを探してみたところ、「Get/Set-WinLanguageBarOption」というのを見つけました。次のコマンドラインを実行すると、旧型式の言語バーを表示できるようです。オプションなしで実行すると、既定の設定(旧型式を使用しない)に戻ります。
Set-WinLanguageBarOption -UseLegacySwitchMode -UseLegacyLanguageBar
日本語入力が可能なWindows Server, version 1809、またはWindows Server 2019のServer Core以前で実行すると、真っ黒なデスクトップの右下に言語バーが出現し、マウスで操作できるようになりました(画面3)。一方、日本語入力ができないWindows Server, version 1903および1909で実行しても、言語バーが出現することはありませんでした(画面4)。
他にも言語に関連しそうなコマンドレットを試してみました。例えば、「Get/Set-WinUserLanguageList」「Get/Set-WinDefaultInputMethodOverride」などです。Windows Server, version 1809以前では、どのコマンドレットも期待通りに機能します(画面5)。
一方、「Set-WinUserLanguageList」コマンドレットで既定の入力方式を上書きすると、「Get-WinUserLanguageList」コマンドレットが例外をスローするエラーを表示しました(画面6)。
この辺りの問題に関連しているのかどうかは不明ですが、「intl.cpl」(Server Coreに標準搭載されている「地域」コントロールパネルアプレット)で「ようこそ画面と新しいユーザーアカウント」の「設定のコピー」を開くと、「入力言語:設定を読み取れませんでした」というエラー状態を確認できます。このエラー状態は、入力方式の上書き設定をしていない既定の状態でも表示されます。問題のない環境では、同じ場所に「入力言語:日本語(日本)- Microsoft IME)」と表示されます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.