Windows 10 Sモードの「よくある」かもしれない質問(バージョン2004版)その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(168)

Windows 10の各エディションに用意されている「Sモード」(Pro in S modeなど)は、システムの安定性やセキュリティ、パフォーマンスのために“ロックダウンされた”動作モードです。Sモードでは何ができるのか、できないのか、最新のWindows 10 May 2020 Update(バージョン2004)のSモード環境であらためて探ってみました。Sモードが登場してからWindows 10は複数のバージョンがリリースされてきました。公式ドキュメントにはまだ反映されていない変更点があるかもしれません。

» 2020年09月09日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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Windowsにまつわる都市伝説

まずはおさらい、Windows 10 Sモードって何?

 「Windows 10 Sモード」(Windows 10 Pro in S mode、Enterprise in S modeなど)は、Windows 10 Pro バージョン1703をベースに作成された「Windows 10 S」というエディションとして登場し、バージョン1803で動作モードとしての「Sモード」に変更されました。Windows 10の各エディションと各エディションのSモードは共通のバイナリであり、SモードはWindows 10の一部の機能や利用可能なアプリが“ロックダウンされた”動作モードです。

Windows 10(S モード)とは、使い慣れたWindowsエクスペリエンスを提供しつつ、セキュリティとパフォーマンスに特化して合理化されたWindows 10のバージョンです。セキュリティを高めるために、Microsoft Storeからのアプリのみが許可され、安全な閲覧のためにMicrosoft Edgeが必要になります。
(「Windows 10(Sモード)に関してよくあるご質問」から引用)

 Sモードの制限の詳細については、以下のOEM向けのドキュメントで説明されています。

 具合的には「コマンドプロンプト(Cmd.exe)」「Windows PowerShell(PowerShell.exe)」「レジストリエディター(Regedit.exe)」「Windows Script Host(WSH)スクリプトエンジン(CScript.exe、WScript.exe)」「Windows Subsystem for Linux(WSL)」など、システムの詳細なカスタマイズを行うことができるコマンドシェルやツール、スクリプトエンジンの使用が禁止されます(画面1)。

画面1 画面1 Windows 10 Pro バージョン2004のSモード。コマンドプロンプトやWindows PowerShell、レジストリエディターは使用がブロックされる

 Sモードでは「Microsoft Store」で提供される「ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)」アプリのインストールと実行が許可され、Webブラウザとしては標準の「Microsoft Edge」の使用が勧められています(「Internet Explorer」の使用がブロックされることはありません)。また、「Microsoft Office」アプリは「OEMプレインストールキット(OPK)」を使用することで、Microsoft Storeで提供されるバージョンと同じものをプリインストールできると説明されています。

 少し気になるのは、展開計画のドキュメントがWindows 10 S登場時の2017年6月に公開されたものであり、“その後のバージョンもこの通りであるのかどうか”ということです。SモードのプリインストールPCを購入した場合、通常のWindows 10と同様、機能更新プログラムは半期に一度提供され、Sモードを解除しない限り、Sモードのまま新バージョンにアップグレードすることになります。そこで、最新の「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」のSモードで筆者がいろいろと試してみました。

 通常、SモードはプリインストールPCでしか入手できませんが、筆者のHyper-V環境には「Visual Studioサブスクリプション」(旧称、MSDNサブスクリプション)向けに提供された英語版「Windows 10 S」エディション(バージョン1703)からバージョン2004までアップグレードを繰り返してきた最新のSモード環境があります。なお、Windows 10の以前のバージョンでは状況が異なる可能性があります。

新しいEdgeやMicrosoft 365アプリは使えるの?

 2020年6月から、Chromiumベースの新しいMicrosoft EdgeのWindows Updateによる配布が段階的に始まっています(ただし、ドメイン参加デバイスやWSUS管理下のデバイスは対象外)。Microsoft Storeからのみアプリを入手してインストールし、使用できることになっていますが、Sモードでも新しいMicrosoft Edgeは利用できるのでしょうか。

 新しいMicrosoft EdgeのWindows Updateによる自動配布は段階的に拡大されるため、全てのPCですぐに利用可能になるわけではありません。そこで、以下のダウンロードサイトから一般向けの「MicrosoftEdgeSetup.exe」とビジネス向けの「MicrosoftEdgeEnterpriseX64.msi」をダウンロードして、手動でSモードのWindows 10環境にインストールしてみました。

 Webからダウンロードした実行ファイル形式(.exe)やWindowsインストーラーパッケージ(.msi)形式のインストーラーは、Microsoft Storeからのダウンロードではないため、Sモードの制限によりブロックされるものと思っていました。しかし、何の問題もなくインストールを完了し、新しいMicrosoft Edgeを起動することができました(画面2)。これならWindows Updateによる自動配布も問題なさそうです。

画面2 画面2 新しいMicrosoft Edgeのダウンロードサイトから入手したインストーラーを使用して、Sモードにインストールしてもブロックされなかった

 さらに、Officeポータルからの「Microsoft 365アプリ」(旧称、Office 365 ProPlus)のダウンロードとインストールも試してみました(画面3)。こちらも問題なく完了し、デスクトップ版Officeアプリを起動することができました。ちなみに、「Office Professional Plus 2016」や「Office Professional Plus 2019」のインストールメディアの「Setup.exe」によるインストールはSモードの制限によりブロックされました。

画面3 画面3 OfficeポータルからのMicrosoft 365アプリのダウンロードとインストールもブロックされることなく完了

WSLやWSL2は使えないの?

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