AI/機械学習/データサイエンス関連で筆者が注目する、データサイエンティスト検定、G検定/E資格、統計検定、データサイエンス数学ストラテジスト、人工知能プロジェクトマネージャー試験という5つの認定資格や検定試験を紹介する。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
AI(人工知能)や機械学習、データサイエンスに関連する資格/検定試験が日本国内で幾つも提供されている。本稿では、そのうち筆者が注目する以下の5つを紹介する。
以下では、各資格/検定の概要と(筆者が考える)特徴を紹介する。※ちなみに筆者自身が取得しているのは「G検定」と「統計検定2級」のみでそれ以外の資格資格を受験したことがないので、それらの試験内容や合格後の特典について詳しくは知らないことをあらかじめご了承いただきたい。
なお、TensorFlow/GCP/AWS/Azure/IBM/NVIDIA Jetson AIといったテクノロジーに関する認定資格については「AI/機械学習の認定資格ガイド(主要テクノロジー別)」という記事で紹介している。
数理/データサイエンス/AIを日常生活や仕事で使いこなすための基礎知識が備わっているかを証明するための検定試験である。データサイエンティスト協会が実施している。受験対象者は以下の通りだ。
合格率は公表されていないようなので不明だが、「合格するのが難しい試験ではないだろう」と筆者は予想している。
参考書籍として『最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック』(2021年9月)が提供されており勉強しやすい(図2)。Amazon.co.jpでのレビューは高評価で、その感想には筆者も同意する。データサイエンス力/データエンジニアリング力/ビジネス力という3分野にわたる広範な内容がコンパクトにまとめられている。いずれの項目も概要レベルの記述でしかないが、どういう知識が必要かが分かり、自分に足りない知識に気付けるのではないかと思う。また、ここから各項目を掘り下げて(他の書籍を読むなどして)より詳しく学んでいくきっかけにもなるだろう。
また、(2022年3月31日の執筆時点で)受講料無料(オプションの講座資料+模試セット:8800円)のオンライン講座や対策アプリもあり、勉強できる環境が整っているのも特長である。
試験については、CBT(Computer Based Testing)方式なので、全国の試験会場で受験できる。不定期に開催され(年に1〜2回ぐらいの模様)、受験可能期間は約3週間しかない(第1回の試験日は2021年9月11日〜2021年9月30日の20日間だった)。いつでも受験できるわけではないので、試験期間を公式ページの他、TwitterやFacebook、データサイエンティスト協会の一般(個人)会員へのメール(無料)などでウオッチしておくとよいだろう。
第2回の試験日は2022年6月10日〜6月30日が予定されており、執筆時点では勉強し始めるのにちょうどよい時期なのでお勧めしたい(※筆者も受験してみようかと考えている)。申し込みは執筆時点でまだ開始されていないが、間もなく始まるものと思われる。詳しくは公式ページを参照してほしい。
G検定は、AI(人工知能)やディープラーニングを事業で活用するための基礎知識が備わっていることを証明するための検定試験である。受験対象は、ディープラーニングを活用する側、ジェネラリスト(Generalist)人材である。
E資格は、ディープラーニングを中心としたAI/機械学習を実装する能力を有することを証明するための資格試験である。受験対象は、ディープラーニングを作る側、エンジニア(Engineer)人材である。
また、検定試験ではないが、G検定よりももっと広く、全てのビジネスパーソンを対象とした「AI For Everyone(全ての人のためのAIリテラシー講座)」も提供している。いずれも日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している。
合格率は公表されており(G検定/E資格)、2022年第1回のG検定(2022年3月実施)は62.1%、E資格は74.0%だった。やや簡単な検定/資格試験の部類に入るだろう(比較として簿記検定の例では3級が約46%、2級が約21%、1級が約10%なので、それと比較するとG検定/E資格はかなり合格しやすい)。
G検定/E資格の魅力は試験だけでなく、合格者だけが参加できるCDLEコミュニティーにある。定期的にオンライン勉強会で最先端の技術情報などを収集したり、LT(ライトニングトーク)に登壇したり、Slackやコミュニティーサイト(β版)などのオンライン掲示板/SNSで交流したりできる。面白いのは、オンライン名刺交換会などコロナ禍の中でも交流できる場を用意してくれているところだ。「AIの社会実装に関わる人であれば、受験して損のない検定/資格試験」と言えるだろう。
G検定の参考書籍として『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版』(2021年4月、第1版は2018年10月)が提供されており勉強しやすい(図4)。こちらもAmazon.co.jpでのレビューは高評価で、その感想には筆者も同意する。AIの概要/定義/歴史から、これまでに発生した問題点(例:シンボルグラウンディング問題)、代表的な機械学習の手法、ディープラーニングの概要と手法、社会実装で関連する事項など、非常に広範な内容がコンパクトにまとめられている(※記事などを書いていると分かるが、これだけ広範な内容を一冊に分かりやすくまとめるのは非常に大変なはずである)。全くの初心者がAI/機械学習/ディープラーニングを幅広く満遍なく学び始めるのに適していると思う。全体像が整理できるので、ここから各項目を掘り下げて(他の書籍を読むなどして)より詳しく学んでいくきっかけにもなるだろう。
最も代表的な書籍を取り上げたが、問題集を含めて、さまざまなG検定向けの本が出版されている。ぜひ書店やAmazon.co.jpなどのオンラインで自分に合うものを探してみてほしい(※ちなみに筆者は2017年の第1回でG検定に合格したが、その当時は勉強しやすい教材がまだなかった。現在では多数の書籍が発売されており勉強に困ることはないだろう)。
試験については、オンラインでのIBT(Internet Based Testing)方式なので自宅のPCなどで受験できる。G検定は年3回で約4カ月おき(3月と7月と11月)に開催され、E検定は年2回で半年おき(2月と8月)に開催される。試験日は公式ページの他、TwitterやFacebookなどでウオッチしておくとよい。
2022年第2回の試験日は、G検定が2022年7月2日、E資格が2022年8月26日〜27日が予定されており、こちらも執筆時点では勉強し始めるのにちょうどよい時期なのでお勧めしたい。G検定の申し込みは2022年5月中旬〜6月24日が予定されている。詳しくは公式ページを参照してほしい。
統計(学)/データサイエンスに関する基礎知識とその活用力が備わっているかを証明するための検定試験である。統計質保証推進協会が実施しており、日本統計学会が公認し、総務省や経産省などの省庁が後援している。
受験対象者は統計やデータサイエンスに関わる人全般だと考えられる。具体的には、以下のようにレベルに応じて受験する試験も多種多様である(※筆者による理解に基づく説明となっている)。
合格率は公表されており、2021年6月20日試験では4級が72.8%、3級が75.6%とほとんどの人が少しの勉強で合格する難易度である。2級から34.1%とグッと難易度が高くなることから、まずは2級合格を目指すのがお勧めだ(※筆者自身も2級に合格している)。準1級は23.6%で、統計学関連で自信を持ちたい場合は受験を検討するとよい。2021年11月21日試験では1級「統計数理」が25.8%、1級「統計応用」が24.0%である。1級は午前と午後に分けて実施される両方の試験に合格する必要があり、ハードルが高い。
統計検定は、データサイエンティスト検定やG検定に比べると、統計学がテーマなのでより学術的な内容になっている。そのためか受験者は、学生や大学院生の20代ぐらいの受験生が多い(と、2019年に筆者が試験会場で2級を受験した会場で感じた。参考:「受験者の年齢分布」)。
統計検定の参考書籍として、例えば2級向けには『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎』が、準1級級向けには『統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック』が提供されている(図6)。ただし、いずれも学術的な教科書のように数式と文字が多い内容で(人によっては)勉強しやすくはないと思うので、特に数学自体や学術的な教科書での勉強が苦手な場合は、より易しく書かれた書籍や動画、講座、大学講義を併用しつつ、各領域を1つずつマスターしていくような勉強方法をお勧めする。
試験については、1級を除いて全てCBT(Computer Based Testing)方式なので、全国の試験会場で試験実施日(※通常は週に何度も実施)に受験できる。詳しくは公式ページを参照してほしい。1級だけは紙によるPBT(Paper Based Testing)方式なので、毎年11月に全国の会場で実施されている。
2022年の1級試験は2022年11月20日となっている。試験日は公式ページの他、Twitterなどでウオッチしておくとよい。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.