1つずつ、詳しく見ていきましょう。
アイデアの源である問題設定を検証することは重要です。では、いい問題とは何でしょう?
連載第1回で、問題を「理想と現実のギャップ」と定義しました。理想はまだない状態なのでフィクションであり物語ですね。
問題の評価は理想という物語がどう受け止められるか次第です。ギャップは長さで表せるという話をしましたが、理想が想像の域を出ない着想ならば、ギャップの距離が短く物語としての魅力がありません。
また、物語が「幸福な社会になる」のように抽象的過ぎると、漠然として刺さりません。一方で、具体的過ぎると未来の予想自体が短期間で的外れになります。
モノサシの紹介の最後に書いた例題で、発想⇔着想、抽象⇔具体からなるマトリクスの象限を移動しながら考えました。各象限を移動することは、試行錯誤を繰り返してアイデアをブラッシュアップすることであり、あたかもアイデアの進化のようです。
進化は、外部からの影響を受けにくいロバスト性がある自然界で最も優れたアルゴリズムです。心が動かされるアイデアは、進化のように矛盾などの脆弱(ぜいじゃく)性が少なくなるまで磨き上げられた丈夫な物語になります。
まとめると、いい問題とは「現実と理想のギャップが大きく、適度な抽象度を持つ、丈夫な物語」です。
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