用語「イライザ効果」について説明。コンピュータプログラム/AIモデルの動作が人間の動作に類似していると無意識に想定する傾向のこと、つまり例えばチャットボット/チャットAIを「擬人化」して感情移入することを指す。
コンピュータ・サイエンス/人工知能(AI)におけるイライザ効果(ELIZA effect)」とは、コンピュータプログラム/AIモデルの動作が人間の動作に類似していると無意識に想定する傾向のこと、つまりコンピュータプログラム/AIモデル(例えばチャットAI)を「擬人化」して感情移入することである。
このキーワードは、非常に自然な応答ができるようになった最近のチャットAIを巡って使われるケースがある。例えば、2022年6月にGoogleのあるエンジニアがチャット用大規模言語モデル「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)には“意識”(sentient)がある」と主張したことがあったが、このときのLaMDAとの会話は、過度に擬人化されていると見なされて「イライザ効果」と呼ばれることがある。
この用語の起源である「ELIZA」(イライザ)とは、1966年にジョセフ・ワイゼンバウム(Joseph Weizenbaum)氏が公開した小さな自然言語処理ソフトウェア(=チャットボット、チャットAI)のことだ。ちなみに、日本語のネットスラングで「人工無脳」(英語ではchatterbot/chatbot)という用語があるが、ELIZAは「人工無脳の元祖」と言われている。
ELIZAは、シンプルな回答パターンを使用して心理療法士のような会話スタイルでユーザーに応答と質問を繰り返すコンピュータプログラムに過ぎなかった。しかし、そのチャットボットを使用した人々は、「ELIZAは会話を理解しているわけではなく、そう会話するように設計されたコンピュータプログラムに過ぎない」と意識的には分かっていても、その会話に熱中することで「ELIZAが“意識”を持って会話している」ように無意識に感じていた、ということが明らかとなった(図1)。この傾向をジョセフ・ワイゼンバウム氏は「イライザ効果」と命名した。
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