高成長企業が実践する業績向上の3つの秘訣Gartner Insights Pickup(314)

高成長企業は経済の混乱をよそに、2023年度に2桁成長を見込んでいる。成功に向けて戦略の多様化、集団的リーダーシップ、ストレスやショックへの耐性を独自に活用している。

» 2023年08月18日 05時00分 公開
[Dave Aron, Gartner]

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大局を見る。2桁増収を見込む企業はどこが違うのか

 Gartnerが2022年に実施した調査「Understanding Corporate Growth Strategies」(企業の成長戦略を理解するための調査)は、ビジネスリーダーの37%が、2023年度に10%以上の増収を見込んでいることを示している。5〜10%の増収を見込んでいる企業も38%ある。調査で37%を占めた高成長企業は、成長目標の達成に向けて3つの取り組みを展開している。

  1. 成長に対する経営陣の連帯責任を確立する
  2. 戦略とポートフォリオを多様化する
  3. “反脆弱(ぜいじゃく)性”を目指す実践をオペレーティングモデルに組み込む。これにより、さまざまな外部環境により適切に対応し、さらには成功を収められるようになる
(出所:Gartner)

高成長企業はチームスポーツとしての成長を追求

 高成長企業では、さまざまな上級幹部が事業拡大をけん引していると認識されているが、ほとんどの低成長企業は、CEOのリーダーシップに大きく依存している。だが、経営幹部の貢献に関する認識はさまざまだ。例えば、成長のけん引役としてのCIO(最高情報責任者)とCFO(最高財務責任者)の貢献については、他のCxO(最高責任者レベルの経営幹部)からの評価よりも、CIOとCFOの自己評価の方がかなり高い。

ビジネスリーダーが取るべき行動

  • 個別に、そして共同で成長を追求することを目的に、経営陣が共通の目標と成長アジェンダを採用し、経営陣の間で共有する
  • 政治的手腕とリーダーシップスキルを磨く。感情的知性(心の知能指数:EQ)を高め、コラボレーションを促進する文化やインセンティブを奨励し、CEOが成長を担う負担を軽減する。また、他のリーダーと連携して仕事を進める中で、自分が他のリーダーから想定されている以上に貢献できているか、貢献が足りないかを判断する

高成長企業は戦略とポートフォリオを多様化

 市場の混乱期には低成長企業は内向きになり、事業を縮小し、自社が知っていることに集中する。対照的に、高成長企業は新しいものや自社にないものを探し、道を切り開く。

 例えば、高成長企業は、新しいビジネスアイデアやビジネスモデルを試したり、他の業界から学んだことを活用したりする傾向が非常に高い。また、デジタル活動を成長にとって「非常に重要」または「極めて重要」と評価する傾向も非常に高い。

ビジネスリーダーが取るべき行動

  • 現在手掛けている市場の外に成長機会を求め(つまり、全く新しい市場を探し)、有望な機会の幾つかを迅速に検討、開拓する。既存商品の機能を拡張し、新商品の発売に際しては、より大きなリスクを取る。例えば、新しいビジネスモデルを実験したり、新市場を攻略することなどが考えられる
  • 社内でも、顧客や商品に関しても、より小規模で安全な実験を重ねる。不確実な時代には、こうして学ぶしかないことを受け入れる

高成長企業は“反脆弱性”を実践

 反脆弱性とは、企業が経済的、社会的な不確実性やショックに直面しても、さらなる価値創造に向けて進化できる態勢を指す。こうした反脆弱性を目指すプラクティスは、現状を守ることに重点を置くリスク管理とは対照的だ。反脆弱性を実現している企業は、外的なショックから立ち直るだけでなく、そうしたショックをバネに競争優位性を高める。

 高成長企業は低成長企業と比べて、反脆弱性に向けた戦術を実践していることが多い。例えば、多様な人材を活用して外部からの弱いシグナルに耳を傾けたり、“レッドチーム”を設置して、競合企業の動きをシミュレーションしたり、自社に固有の脆弱性を表面化させたりしている。

ビジネスリーダーが取るべき行動

  • 不確実性を自社の課題として捉え、選択肢を評価し、実験して学ぶことで、反脆弱性を推進する戦略を導入する
  • サステナビリティ(持続可能性)をビジネス戦略に取り入れる。成長を促進するためにサステナビリティをどう活用するかを判断する。例えば、既存商品をよりサステナブルにしたり、新商品を最初からサステナブルにすることが考えられる

要約:高成長企業の特徴

 経済の不確実性が続く中、一部のビジネスリーダーは、野心的な成長目標を掲げている。高成長企業は低成長企業と比べて、マクロ経済の不確実性を機会の源泉と見なし、未開拓の市場に目を向け、大きなリスクを取って新商品を投入し、高級志向と低価格志向の両方の市場向けに柔軟な価格戦略を採用する傾向が強い。

同僚に伝えるべき3つのこと

  1. 経済の混乱をよそに、高成長企業は2桁成長を目指している
  2. 高成長企業のやり方を模倣することは、自社の成長戦略の推進に役立つ
  3. 高成長企業における3つの特徴。戦略の多様化、集団的リーダーシップ、反脆弱性の実践だ

出典:3 Ways High-Growth Companies Drive Business Performance(Insights)

筆者 Dave Aron

Distinguished VP and Gartner Fellow


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