ノークリサーチは、ローコード/ノーコード開発ツールの提案で生じやすい障壁とその打開方法に関する調査の結果を発表した。それによると「コーディングせずに何でもできる」という過剰な期待が課題となっていることが分かった。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
ノークリサーチは2023年12月11日、ローコード/ノーコード開発ツールに関する調査結果を発表した。これは年商500億円未満の中堅中小企業1300社を対象に、導入時の課題やその解決方法について調査した結果をまとめたもの。それによるとローコード/ノーコード開発ツールの導入状況では「導入済み」(34.5%)が最も多かったが、「導入しておらず、導入予定もない」は22.0%、「導入しておらず、今後導入するかどうかは分からない(判断不可)」も23.2%と比較的多かった。
「導入済み」を細分化すると、「導入済みだが縮小予定」は全体の10.2%。これに「過去に導入していたが現在は廃止した」の5.5%を加えると、「導入予定」の14.8%を上回る。この点についてノークリサーチは、「ローコード/ノーコード開発ツールの市場を拡大させるには『ツールを導入したが、期待した成果を上げられなかった(その結果、縮小または廃止する)』といったケースを減らすことだ」と指摘している。
ローコード/ノーコード開発ツールの課題について聞くと、回答が多かったのは「ツール固有のノウハウやスキルが必要になる」「コーディングが必要となる場面が意外と多い」「実現できる画面仕様や処理内容が限られる」などだった。これをツールの導入状況別に見ると、導入予定企業についてはいずれの課題も同じくらいの回答割合となっていた。一方、導入済み企業においては「実現できる画面仕様や処理内容が限られる」が、廃止企業(一度はツールを導入したが現在は使っていない)においては「コーディングが必要となる場面が意外と多い」が最も高かった。
このことからノークリサーチは「『実現できる画面仕様や処理内容が限られる』や『コーディングが必要となる場面が意外と多い』といった課題は、実際に導入した後にユーザー企業が直面し、ツールの廃止につながりやすい課題だ」と指摘。「ローコード/ノーコード開発ツールを提案するIT企業は、早い段階でユーザー企業に『全くコーディングせずに何でもできるわけではない』ということを伝えることが重要だ」としている。
ローコード/ノーコード開発ツールの活用方針を聞くと「用途別に専用の開発ツールを適材適所で選ぶ」を挙げた割合が、導入済み企業と導入予定企業のどちらも20%を超えていた。
また、「内製による開発は『Microsoft Excel』の代替に範囲を絞る」と回答した企業よりも「汎用(はんよう)のローコード/ノーコード開発ツールでさまざまな用途をカバーする」を挙げた企業の割合が高かった。ノークリサーチは「中堅中小企業はMicrosoft Excel代替に限らず、さまざまな用途でノーコード/ローコード開発ツールを活用しようとしている。IT企業は単体のツールで全てをカバーするのではなく、用途に応じて複数のツールを併用することを提案するのが重要だ」と分析している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.