[解決!Python]ユークリッドの互除法で最大公約数を求めるには解決!Python

2つの自然数の最大公約数を求めるために使われるユークリッドの互除法の説明と、それに基づいて最大公約数を求める関数の実装を幾つか紹介する。

» 2024年08月27日 05時00分 公開
[かわさきしんじDeep Insider編集部]
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連載目次

def gcd(a, b):
    while b != 0:
        a, b = b, a % b
    return a

# 再帰を使った書き方
def gcd_recursive(a, b):
    if b == 0:
        return a
    elif a == 0:
        return b

    return gcd_recursive(b, a % b)

# ユークリッドの互除法を愚直にコードにしたもの
def gcd0(a, b):
    if a < b:
        a, b = b, a
    
    if b == 0:
        return a
    
    r = a % b

    while r != 0:
        a, b = b, r
        r = a % b

    return b

r0, r1, r2 = gcd(10, 25), gcd0(10, 25), gcd_recursive(10, 25)
print(r0, r1, r2)  # 5 5 5

r0, r1, r2 = gcd(66, 24), gcd0(66, 24), gcd_recursive(66, 24)
print(r0, r1, r2)  # 6 6 6

r0, r1, r2 = gcd(10, 0), gcd0(10, 0), gcd_recursive(10, 0)
print(r0, r1, r2)  # 10 10 10

r0, r1, r2 = gcd(56, 98), gcd0(56, 98), gcd_recursive(56, 98)
print(r0, r1, r2)  # 14 14 14

r0, r1, r2 = gcd(7, 1), gcd0(7, 1), gcd_recursive(7, 1)
print(r0, r1, r2)  # 1 1 1


ユークリッドの互除法とは

 2つの自然数aとbがあったとき、両者を割り切れる自然数のことを公約数といい、その中で最大の値を最大公約数(GCD:Greatest Common Divisor)という(ここでは自然数に0を含めることにする)。手作業やプログラムで2つの自然数の最大公約数を求めるのによく使われるのが「ユークリッドの互除法」と呼ばれるアルゴリズムだ。

 ユークリッドの互除法での最大公約数の求め方を以下にまとめる。

  1. 2つの自然数aとbがあったとする(ここではa>bとする)
  2. aをbで割った余りrを求める。このとき、2つの数の関係はa=b×q+rと表現できる(qの値は知らなくても問題ない)
  3. 余りrが0であれば、直前の割り算における除数(b)が最大公約数である
  4. 余りrが0でなければ、bをrで割って新たに余りrの値を求める
  5. 余りが0になるまで3と4を続ける

 なぜこの考え方で最大公約数を求められるのだろう。

 2つの自然数aとbがあり、aをbで割ったとき、その関係は上でも述べたように「a=b×q+r」と表現できる。この式を変形すると「r=a−b×q」となることも覚えておこう。

 ここでaとbの両者を割り切れる最大の自然数d0について考えてみる(d0はaとbの最大公約数)。上で示した式「r=a−b×q」に注目すると、d0がaとbを割り切れるのでこの式は「r=a0×d0−b0×q×d0=d0×(a0−b0×q)」とも表現できる(a0とb0はaとbとは異なる値かもしれないことを意味している)。つまり、余りrもまたd0で割り切れる(d0はbとrの公約数でもある)。

 同様に、bとrを割り切れる最大の自然数d1について考えてみる(d1はbとrの最大公約数)。すると、「a=b×q+r」という式は「a=b1×q×d1+r1×d1=d1×(b1×q+r1)」であり、d1はaとbの公約数でもある。

 d0はaとbの最大公約数であり、d1もaとbの公約数であることを考えると、d1はd0以下の値となる(d1≦d0。なぜならd0がaとbの「最大公約数」だから)。一方、d1はbとrの最大公約数であり、d0もbとrの公約数であることを考えると、d0はd1以下の値となる(d0≦d1。なぜならd1がbとrの「最大公約数」だから)。この2つの条件を満たすのだから「d0=d1」となる。

 なお、余りrが0になった時点で、最初の式「a=b×q+r」は「a=b×q」となり、このときのbの値が最大公約数となる。また、2つの数aとbのどちらかが0であれば、それらの最大公約数はもう一方の数となる(両者を割り切れる最大の数は0ではない方になる)。

 ここでd0=GCD(a, b)、d1=GCD(b, r)と置くと、GCD(a, b)=GCD(b, r)である。これは最大公約数を求めるには剰余が0になるまで両者の整数除算を続ければよいことを意味している。

 このことを愚直にコードにしたのが以下だ。

def gcd0(a, b):
    if a < b:  # a > bとなるように調整する
        a, b = b, a
    
    if b == 0# bが0なら最大公約数はもう一方
        return a
    
    r = a % b

    while r != 0# 余りが0になるまで整数除算を繰り返す
        a, b = b, r
        r = a % b

    return# 余りが0になった時点でのbの値が最大公約数


 だが、上のコードはよりシンプルに次のように書ける。

def gcd(a, b):
    while b != 0:
        a, b = b, a % b
    return a


 gcd0関数の冒頭ではa>bとなるようにしているが、gcd関数ではそうしたチェックをしていないのは、a<bであっても、while文にある「a, b = b, a % b」行によりa>bとなるような代入が行われるからだ。また、gcd0関数ではb(小さい方の値)が0ならもう一方を戻り値とするコードもあるが、gcd関数ではこれも省略されている。呼び出し時点でbの値が0ならwhile文の実行がキャンセルされaの値が返されるからだ。

 また「GCD(a, b)=GCD(b, r)」であることから、再帰を使って次のようにも書けるだろう。

def gcd_recursive(a, b):
    if b == 0# 余りが0、または一方が0ならもう一方が最大公約数
        return a
    if a == 0# 一方が0ならもう一方が最大公約数
        return b

    return gcd_recursive(b, a % b)  # GCD(b, r)を返す


 これらの関数は0と0の最大公約数として0を返すようになっている。これが許されない場合、関数冒頭に以下のようなコードを含めるのがよいだろう。

def gcd(a, b):
    if a == b == 0:
        raise ValueError('gcd(0, 0) is not defined.')

    while b != 0:
        a, b = b, a % b
    return a


 最後に最大公約数を求める例を示す。

r0, r1, r2 = gcd(10, 25), gcd0(10, 25), gcd_recursive(10, 25)
print(r0, r1, r2)  # 5 5 5

r0, r1, r2 = gcd(66, 24), gcd0(66, 24), gcd_recursive(66, 24)
print(r0, r1, r2)  # 6 6 6

r0, r1, r2 = gcd(10, 0), gcd0(10, 0), gcd_recursive(10, 0)
print(r0, r1, r2)  # 10 10 10

r0, r1, r2 = gcd(56, 98), gcd0(56, 98), gcd_recursive(56, 98)
print(r0, r1, r2)  # 14 14 14

r0, r1, r2 = gcd(7, 1), gcd0(7, 1), gcd_recursive(7, 1)
print(r0, r1, r2)  # 1 1 1


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