PwCは「2024年DX意識調査 ITモダナイゼーション編」を発表した。アジャイル開発などの活用は定着しつつあるが、日々の業務に追われて工数を捻出できないといった課題に多くの企業が悩んでいることが分かった。
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PwCコンサルティングは2024年12月11日、「2024年DX意識調査 ITモダナイゼーション編」を発表した。この調査は、売り上げ500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業の課長レベル以上の人を対象に実施したもので、500人から有効回答を得た。
同調査では、回答者を「アジャイル開発」「パブリッククラウド」「クラウドネイティブ技術」の活用状況に応じて3つの成熟度に分類している。3つ全てを活用中であれば「先進」、一部でも活用中なら「準先進」、それ以外は「その他」だ。ITモダナイゼーション成熟度別割合を見ると、「先進」が9%、「準先進」が48%、「その他」が43%。「先進」企業の割合は2023年(8%)から微増し、「準先進」企業は2022年(29%)から大幅に増加した。
アジャイル開発、パブリッククラウド、クラウドネイティブ技術の活用状況を個別に見ると、アジャイル開発は72%、クラウドとクラウドネイティブ技術はどちらも78%だった。2023年と同様に高水準を維持しており、活用が定着しつつある。アジャイル開発の阻害要因では、「過去の失敗のイメージが払拭(ふっしょく)できない」の割合が、2022年の21%(2位)、2023年の23%(1位)に対して2024年は9%(8位)と大幅に減った。PwCは「企業がアジャイル開発を活用し、実際にその効果が実感できた結果だ」と分析している。
システム企画や開発、運用での生成AI(人工知能)の活用状況を見ると、「打ち合わせなどの議事録作成」(13.1%)や「要件定義書、設計書、テスト仕様書などドキュメントの作成支援」(12.9%)が上位に挙がった。この点についてPwCは、生成AIが文書作成に有効であることを示しており、生成AIの自然言語処理能力を活用することで、時間のかかる文書作成作業を効率化し、従業員がより高度な業務に集中できる環境を整えられるとしている。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の成果については、「期待以上の成果が出ている」と回答した割合が14%、「期待通りの成果が出ている」が27%、「期待通りではないが、一定の成果が出ている」が49%、「ほとんど成果が出ていない」が9%、「全く成果が出ていない」が1%。半数以上の企業が、DXに関して想定通りの成果が得られていないことが分かった。DXによって実現した効果では、「業務効率化」「従業員の生産性向上」「コスト削減」が上位を占めた。
調査ではデジタル人材育成やシステム開発、運用の自動化に関する課題についても聞いている。その結果、どちらも「日々の業務に追われて時間が割けない」が上位に並んだ。PwCは「こうした状況を打破するには業務の非効率な領域を洗い出し、無駄を排除し、必要な業務領域でも生成AIを活用して効率化を図るなど、現行業務を抜本的に見直すことが重要だ」と指摘している。
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